ネットに次の記事が載っていました。紹介します。ニコニコ

 “日本の南極観測事業が70周年を迎えました。最新の調査・研究が行われる白銀の大陸には、地球の記憶が刻まれ、宇宙を知る手がかりがあります。第66次南極地域観測隊を史上初の女性隊長として率いた原田尚美さん=帯広市生まれ=と、元科学者で直木賞作家の伊与原新さんが、南極の魅力や研究について語り合いました。(3回連載します)
 *原田尚美(はらだ・なおみ)1967年、帯広市生まれ。弘前大理学部卒。名古屋大大学院理学研究科博士課程修了。東京大伊与原新大気海洋研究所国際・地域連携研究センター教授。専門は生物地球化学、古海洋学。南極地域観測隊には91年に初めて参加し、2018年は副隊長兼夏隊長、24年は隊長兼夏隊長を務めた。
 *伊与原新(いよはら・しん)1972年、大阪府吹田市生まれ。東京大学大学院博士課程修了(地球惑星科学)。富山大助教を経て、2010年に「お台場アイランドベイビー」で横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビュー。2025年に「藍を継ぐ海」で直木賞。著書に「月まで三キロ」、「翠雨の人」など。
 ――原田さんは観測隊員として3回、南極へ行かれました。魅力を教えてください。
■やりがいが魅力
 原田 観測隊の仕事そのものが魅力です。夏隊が現地で活動する12月中旬から3月中旬ごろまで、南極は夏です。この期間に観測隊の仕事の7、8割が計画されています。とても忙しい時期ですが、仲間たちと一つ一つ仕事をやり遂げていくことへの喜びや達成感があります。気が付けば近くにペンギンがいる、という素晴らしい自然環境の中で仕事ができますしね。
 伊与原 実は僕、南極に行ったことがあるんですよ。大学生のころですが、旧石油公団が南極海で海底地質調査などを行っていたんです。通っていた神戸大の地磁気研究室から毎年1人、旧公団の調査船「白嶺丸」に乗せてもらっていると聞き、南極に行きたいがために地磁気の研究室に入りました。そして、4年生の冬に数カ月、白嶺丸で南極海のロス海へ行ったんです。学生アルバイトなので海底地形の観測装置を見張るなど、簡単な仕事ばかりでした。南極大陸には上陸していませんが、大陸から海に押し出された棚氷やオーロラを見ました。
 原田 それは貴重な体験ですね。
 伊与原 僕は子供のころから南極に憧れていました。高校の先輩に雪氷学の研究者がいて、越冬隊の経験者だったんです。高校の文化祭にその人をお呼びして話を聞いたらすごく面白くて、いつか南極に行きたいと思っていました。
■恩師に影響され
 原田 私が南極に興味を持ったきっかけは、弘前大学時代の卒業論文の指導教官です。外国の隊の南極地域観測に参加して、露岩地帯の湖沼調査をした方でした。自然は美しい、フィールドワークも楽しいというのがお話しするときの表情から伝わってきて、私も行きたくなりました。それで極地観測に研究者や学生を派遣していた名古屋大大学院理学研究科へ進みました。博士後期課程1年だった1991年に初めて南極に派遣されたんです。このときは音がしないことに感激しました。自分の心臓の音が聞こえてきそうなくらいシーンとしているんです。
 伊与原 太陽が沈まない白夜とか、南極は異世界な感じがしますよね。
 原田 地球影(ちきゅうえい)にも感動しました。太陽と反対側の地平線に現れる地球の影です。日本でよく見る夕焼けのオレンジとは違って紫のような青系の色なんです。その景色が見える時期と、夏の作業が終盤を迎える時期が重なり、「そろそろ帰国する時期だな」とセンチメンタルな気持ちになります。それで余計に美しく見えるのかもしれません。
 伊与原 南極は閉ざされた地域です。いつも同じ顔ぶれですし、話題も尽きますよね。早く帰りたくなる人もいるでしょうね。
■祭りで気分転換
 原田 越冬隊は1年以上南極で過ごすので、つらいこともありますよね。特に、6月の極夜は太陽が昇らなくて気分が落ちてきます。だから、この時期は「ミッドウインターフェスティバル」という催しを開きます。まあ、お祭りですね。スポーツで体を動かしたり、ボードゲームやカラオケ大会をしたり。洋食のフルコースや会席料理など、調理隊員の2人はそれぞれの得意分野で腕をふるって楽しませてくれました。
 伊与原 そういえば、白嶺丸では船内の人たちと一緒にテレビドラマを見ていました。みんなで大笑いしたのが「王様のレストラン」です。数少ない娯楽を共有し、すごく楽しかった。現代では大勢で同じ娯楽を味わう機会が少ないじゃないですか。あの楽しさはよく覚えています。
■東京で特別展 9月27日まで
 日本の南極観測70周年を記念した特別展「大南極展」が9月27日まで、東京・お台場の日本科学未来館で開かれている。34万年前の空気を含んだアイスコア(氷柱)や隕石(いんせき)、ペンギンの標本などが展示されているほか、地質調査の疑似体験ができるコーナーなどがある。9月1、8、15日は休館。19歳以上2千円、18歳以下(小学生以上)1300円、未就学児(3歳以上)900円。”!!音譜