ネットに次の記事が載っていました。紹介します。ニコニコ
 

 “渡辺克己(わたなべ・かつみ)さんは、1965年、東京都生まれ。北大中退後、30歳でナレーター・俳優として独立。ディズニー映画の予告のナレーションのほか、CS放送などで見ることができるナショナルジオグラフィックTVを宣伝する「ブランドボイス」を開局当初から担当。トヨタ自動車、GUCCIなどのCMのほか、FMノースウェーブのラジオ番組「ROYCE' SWEET MUSIC」のDJなども務めました。十勝管内浦幌町の「うらほろマラソン」進行ディレクター。

 渡辺さんが北大に入学した1985年ころに、車椅子に乗っている弟の聡さんは亡くなる1週間ほど前に人工呼吸器を付けた後も、スムーズな発声ではないけれど、亡くなる直前まで自分の思いを伝えていました。うまくしゃべることが大事なのではないという、コミュニケーションの本質を聡さんは気付かせてくれました。

 ディズニー映画「モンスターズ・インク」「アナと雪の女王」など数多くの予告CMのナレーションを渡辺さんは手がけてきました。落ち着いた深みのある声が特徴で、イベントの司会なども務めるベテランだが、吃音(きつおん)を抱え、プロになり31年がたった今も「人前で話すことは得意ではない」。それでも努力を重ねて「伝える仕事」を続けている原動力は、若くして亡くなった弟さんにありました。
 

 渡辺さんは「人前で話すのが得意とは思っていません。吃音のため第一声は毎回緊張します。早めに発声の体勢を整えるなど工夫を重ねましたが、今も仕事では毎回ドキドキします。子どもの頃には、アトピー性皮膚炎があり、物心が付いた頃から他人の目を気にするようになりました。人から注目されるのが怖く、吃音もあり会話の流れにうまく言葉を挟むことができない子どもでした。自分の話すことには価値がないのではとすら感じていました。そんな自分でしたが、小中学生時代を過ごした地元の私立玉川学園(東京)が掲げるモットー<人生の最も苦しい いやな 辛(つら)い 損な場面を 真っ先に微笑(ほほえみ)を以(も)って担当せよ>という言葉には何度となく励まされ、成長しました。」と話しています。

 都立高校卒業後、浪人を経て1985年、当時交際していた女性と一緒に北大へ進学しました。「彼女と同じ大学に行きたかったのはもちろんですが、本心は別にありました。筋ジストロフィー(筋ジス)を患う11歳年下の弟・聡の介助に忙しい母は、私にきつく当たることもしばしば。母から優しくされていた弟をねたんでおり、実家から早く離れたかったのです。北大では恵迪寮に入りました。その後、失恋を経験。自分を変えなければ、と心機一転、札幌の劇団に入団しました。これが表現の世界に入るきっかけでした。HBCラジオのアシスタント・ディレクターにも挑戦し、パーソナリティーの故・ジャンボ秀克さんにしゃべり手の基本を教えてもらいました。」と渡辺さんは話しています。

 そんな中、父親ががんを発症。渡辺さんは実家の古紙回収業を引き継ぐために帰京。当時は休学するという発想がなく、北大をそのまま退学。回収業の仕事は肉体的、精神的にきつく、体調を崩しました。父親の死後、札幌の番組製作会社に再就職しましたが、激務のため再び体調が悪化。今度は母にもがんが見つかり、弟の介助も必要なため、渡辺さんは再び東京に戻りました。
 転機は、神奈川県の団体職員として働きながら、自分で立ち上げた劇団で活動していた30歳の時でした。たまたま出演した朗読劇に関わっていたキャスティング担当者から「いい声だね」と褒められ、それを機にナレーターを志望。母が亡くなった直後に開催された、登竜門とされるコンテストで入賞し、プロとしての歩みを始めました。
 

 その後、弟も29歳の若さでこの世を去りました。
 筋ジスが原因で体が動かず、できることが徐々に減っていく弟を見て、私は内心「かわいそうだ」と思っていました。けれど、振り返ってみると自分にもできないことはありました。例えば、日常生活でのささいなことですが、部屋の掃除が毎日しっかりとはできず、英語の勉強は続かない。そう思った瞬間、「できないことを嘆くより、できることを喜ぶことが大切」と思えるようなったそうです。「弟が気付かせてくれたのかもしれません。ですから、今自分が前を向いて生きていられるのは弟のおかげです。」と話しています。
 

 現在は中高生への演劇指導のほか、教育機関で進学や就職、コミュニケーションなどをテーマにした講演も行っています。
 得意ではないはずの話す仕事を続けているのは「伝える手段は何も言葉だけではない、ということを伝えたいという思いがあり、この仕事を諦め切れなかったからでしょう。どんなに強い思いがあっても、伝えなければ無かったことと同じです。お疲れさまですと声をかけるのが難しければ、温かいタオルをそっと手渡すだけでも気持ちは伝わります。しゃべりが下手であることを理由に諦めてしまえば、自分が感じている本当に大切なことを失うことにもなりかねず、それはもったいないと、講演などで子どもたちに伝えています。
最近、受け取る側の気持ちを想像せず、インターネット上で一方的に他人に文字情報を送る場面が増えていると感じています」と語っています。”ニコニコ

 人間はそれぞれ個性があり、育った環境も異なります。そもそも自分の気持ちは他人に伝わりにくい。そのことを嘆くのではなく「どうしたら伝わるか」を考え続けることが大切。それが、豊かな人間性を育むことにもつながるはずではないでしょうか・・。飛び出すハートキューン