「指定野菜」ってご存じですか? たくさんの人に食べられ、国が安定生産に力を入れている品目のことです。ニンジン、ダイコン、タマネギなど。今春、その仲間に新たなメンバーが加わりました。ブロッコリーです。栄養満点なことが人気の理由。野菜としては珍しくタンパク質が豊富で、筋トレが好きな人も注目しています。収穫量は30年間でほぼ倍増。都道府県別でトップの北海道が特に暑い時期の生産を担っています。ニコニコ

 農業生産法人アンビシャスファームの畑では、10人ほどの社員やアルバイトが早朝から収穫にいそしんでいました。カゴを背負って畝の間を歩きます。ドーム形をした花蕾(花のつぼみが集まった部分)が直径13センチほどに育った株を選び、ナイフで土から伸びた茎をカット。まわりの葉っぱを切り落としますが、花蕾を守るために少しだけ残すのがポイントだそうです。1カゴに16株入れるとトラックの荷台へ。この日は1時間ほどの作業で約1200株を収穫しました。社員のMさんは「ピーク時は朝から夕方まで続きます。1日8千株はとりますよ」と笑って話しています。ニコニコ

 アンビシャスファームのブロッコリー畑は約4ヘクタール。甘みが強い「サマーポイント」など6品種作っています。3月からハウスで育苗を始め、4月に苗を植えて6月から10月末まで収穫します。社長のHさんによると、おいしいブロッコリーの見分け方は「花蕾がしまっている」「色が鮮やか」「茎が太い」「ずっしり重い」の4点。収穫後も花蕾が呼吸して鮮度が落ちていくため、産地に近い北海道民は有利だそうです。6月の平均卸値(1キロ当たり)は、東京の市場で500円台半ばのところ、札幌市中央卸売市場は460円台で取引され、価格面でもお得になっています。音譜

 北海道産は全国の収穫量の約2割を占めています。高温になると病気になりやすいため、夏場の生産のほとんどを道内で支えている形です。「北海道でも最近は暑くなりました。暑さに強い品種を植えるなど、安定して作るための工夫を重ねています」とHさんは話しています。ぐすん

 野菜が主役のレストラン「美肌ダイニングkei」。オーナーシェフのKさんが作ってくれたのは「江別産ブロッコリーとエビのマヨネーズソースあえ」でした。花蕾はシャキシャキ、茎はコリコリ。ほどよい食感と同時にほんのりとした甘さが口の中に広がります。「寒暖差が大きい北海道だからこそ、甘いブロッコリーができるのでしょう。素材の魅力を引き立てるシンプルな味つけを心掛けています」とKさんは話します。にっこり

 農林水産省は消費量に応じて野菜を分類しています。コマツナやアスパラガス、カボチャなど34品目は「特定野菜」。さらに消費量が多く、暮らしに重要なものが「指定野菜」です。このグループに入ると、価格が下がった時の農家への補償が手厚くなります。生産量や価格を維持するための国の制度です。指定野菜は14品目でしたが、今年春、52年ぶりにブロッコリーが加わりました。農水省によると1人当たりの購入量が30年間で3倍ほどに急増。出荷量も倍増しています。ニコ

 栄養面でも注目されています。金城学院大(名古屋市)のA教授(給食経営)によると、ベータカロテンやビタミン、葉酸などが豊富。野菜の中ではタンパク質が特に多く、昨今の筋トレブームで人気に火がつきました。優れた抗酸化作用があるスルフォラファンも含まれています。「味のくせがなく子どもに人気。栄養バランスもすばらしいイチ押しの野菜です」とKさんは話します。キューン

 上手な調理法を管理栄養士Bさんは「沸騰したお湯でゆでるとビタミンCなどが水に溶けてしまいます。レンジで急激に加熱するとスルフォラファンが生成されません。<低温蒸し>を推奨します」と話しています。蒸し器のふたを半分くらい開け、70度前後でゆっくり蒸します。調理して冷蔵庫に入れれば常備菜や弁当のおかずに最適。「茎だけでなく葉の部分も栄養価が高いので、スープに入れるなどして食べ切りましょう。うま味を凝縮させたオーブン焼きなども美味。和洋中どんな料理にも合わせられる名脇役です」とBさんは話します。飛び出すハート