杉山響子さんが『憤怒の人』で、母・佐藤愛子さんとの幼い日の記憶から最晩年までの実像を活写しました。鳥

 ベストセラー『九十歳。何がめでたい』の作家・佐藤愛子さんは、2026年4月29日に逝去しました(享年102)。杉山さんは「憤怒の人」「怒りの佐藤」と呼ばれた佐藤愛子さんの娘で、一つ屋根の下に長く暮らした杉山さんが、自身の記憶の中にある母との濃密な思い出から認知症になった最晩年までを、愛情と哀切たっぷりに綴りました。現在10万部を突破するベストセラーエッセイ集です。ニコニコ

 杉山さんはこの著書の「グルグル歩道橋」の中で次ぎのように書いています。ニコニコ
 “かなわん人だった。うるさい人だった。何度クソババア、と思ったかわからない。けれどこうして母との思い出をたどっていくと、冷えて固まった火山岩のところどころにキラキラ瞬いているカケラを見つけるのだ。それは雲母のようで水晶のようで私はしばし見入ってしまう。するとみるみる遠い昔に引き戻され、忘れていたいろいろが色鮮やかによみがえってくる。”

 ネットに載っていた『憤怒の人』の記事を少し長くなりますが紹介します。キョロキョロ
 “「母のことを書くのはずっと嫌だった」と著者は言います。文章に厳しい母が放っておかないからです。
 たまに頼まれて母について書くと、母はあれこれ口出しし、怒鳴りつけ、何度も書き直させます。最後は自分で書いて「この通りに書きなさい」と。その「困ったお母さん」というエッセーを読んで、「やっぱり私はウマイねぇ」と悦に入っていたというのですから、娘はたまったものではありません。
 ところが、母が認知症になって、著者は一大決心をします。「私は母自身が忘れてしまった母を覚えているのだ。それを書く」
 とにかく、よく怒っていた母。幼稚園くらいの頃、風呂場でよくお話を聞かせてくれたのに、娘がもう一度とせがむと「何べん同じことをいわすのよ」と怒りだし、娘は泣き出してしまう。
 人間観察に絶対の自信をもち「十五分も話せば相手がどんな人間かわかる」が口癖。一番好きな話は「悪口」。でも「陰口」は嫌い。本人が聞いて、笑いだすのが悪口で、不機嫌になるのが陰口だと。
 母が認知症になった後の苦労も書いています。ふとした時、悪口しか言わなかった元夫のことを「会いたいなぁ」とつぶやく姿に、母の意外な恋心を発見します。”

 著名人のこの本への感想等から・・音譜
◎俵万智さん
「目の前の母に振り回されながら、かつて母に振り回された思い出を、とっておきのものとして書く。時に大笑いしながら、こんな乗りこえ方があるんだと胸が熱くなりました」
◎阿川佐和子さん
「どうして文士とは、総じてワガママで変人なのか。そして、文士の子どもがこれほど酷い目に遭っているというのに、どうしてみんな笑うのか!まことに不可解!」
◎真矢ミキさん
「泣いて笑っての大忙しで読みきりました。昭和の音がみるみる広がり、私の大切な記憶までこの本の中で居場所を見つけたようで嬉しかったです。佐藤愛子さんは人間遺産です」

 朝日新聞「折々のことば」(2026年3月25日付)でも次ぎのように紹介されました。キューン
 “杉山響子さんは、「母が亡くなった後では、この本は書けなかった」と仰っています。
愛子先生が認知症になり、記憶をなくしていく中で、「私だけが覚えている」母との大切で幸福な記憶を綴っていただきました。先生が生前にこの本をお読みになることはできませんでしたが、響子さんは便せん7枚にわたるお手紙とともに『憤怒の人』を納棺されたそうです。先生はどんなふうに仕事をし、どんな母親だったのか。『憤怒の人』の中には、在りし日の先生の、実に先生らしいハチャメチャなエピソードが詰まっています。笑い声や憤怒する姿がありありと浮かびます。最晩年、先生が認知症になってからのエピソードには、老親を介護をされているかたに参考になる心構えや、共感するお話も多いと思います。”

 「笑い声や憤怒する姿がありありと浮かぶ」本です。みなさんも一読してはいかがでしょうか!!!赤ワイン

 

憤怒の人 ~母・佐藤愛子のカケラ~