SDGsの目指す持続可能な世界の実現を、地方の小さなコミュニティーで実践する場が後志管内余市町の「余市エコビレッジ」です。丘陵地の6ヘクタールに農場や果樹園、共同生活のためのシェアハウスやセミナーハウスなどがあります。太陽光など再生可能エネルギーを活用し、おがくずを使って排せつ物を処理するトイレも備えます。![]()
エコビレッジはエコロジー(環境)とビレッジ(村)を合わせた造語です。欧州をはじめ世界中に大小1万カ所以上あるとされています。食やエネルギーの地産地消、自給自足による循環型で持続可能な生活の場を目指します。![]()
余市エコビレッジで「農的暮らしの講座」が開かれました。そのことを書いた記事を紹介します。![]()
“「農的暮らしの講座」の講師役を務める坂本純科さんが「生ごみや刈草などを発酵させた堆肥に手を入れてみて。あったかいから」と声をかけた。参加者は触れると「本当にふかふかで温かい!」と声をあげた。
この講座の参加者は、堆肥作りなどを学び、トマトやシソの苗を植えました。坂本さんは「単なる野菜の栽培講座ではありません。自分の生活に必要なものを、一方的に消費するのでなく、自分たちの手で、協力し合って生産する。自然とのつながり、人とのつながりを自覚するための講座です」と話した。
午前の作業を終えての昼食は高校家庭科教師の加藤佳江さんがボランティアで札幌から来て作った。アスパラやタマネギ、セリやワラビなど、この農場や地元で採れた野菜、山菜をふんだんに使った手料理が並ぶ。加藤さんは「旬の食材で料理が作れて、それを食べた人が喜んでくれるのがうれしい」と話す。
ここで採れたヨモギを練り込んだ団子も振る舞われた。作ったのは胆振管内豊浦町の北海道シュタイナー学園いずみの学校からインターン(就業体験)で来ている山崎白さん。循環型社会に興味があって今年中にアフリカに行きたいという山崎さんは「国内外から訪れるいろんな人と話すことができて視野が広がります」と話した。
参加者は講座後、丘を少し登って、坂本さんの住居のタイニーハウス(小さな家)を見せてもらった。出力300ワットの太陽光パネルで電気を賄う。冬場の暖房はまきストーブ。風呂や冷蔵庫、洗濯機などはシェアハウスと共有。「電気は無駄につけずに消す。使う水も少なくしようと工夫する。自分が暮らすために、どれだけの電気や水が必要なのか、おのずと考えることになる」と。
この日の講座にも参加した会員のAさんは小樽市でアレルギーのある人も食べられる菓子の店を営んでいます。農業は未経験だったが「土づくりから分かりやすく教えてもらって勉強になります」とのこと。「春の景色がすごくきれい。黄色いじゅうたんのようなタンポポやピンクや白の花。楽園のような場所です」。講座以外でも週末に訪れ、3歳の娘が喜んで走り回るそう。”
余市エコビレッジの会員は約120人。自分探しの若者が3分の1、第2の人生を考える中高年が3分の1、あとは都会の生活様式に田舎暮らしの要素を入れたい人といったイメージだとのこと。「エコビレッジを訪れた人が『気づき』を持ち帰って、家庭や職場などで環境にやさしい暮らしを実践してほしい。身近なところから、地域や地球の環境を考えるきっかけにしてほしい」と坂本さんは願っています。![]()
坂本さんは昨年出版した著書「遊ぶように暮らし、暮らすように働く」で、“「エコビレッジに住みたい」と言ってくれる子どもたちの言葉が、この場所の可能性であり、希望。”と書いています。![]()
*坂本純科(じゅんか);余市エコビレッジを運営するNPO法人北海道エコビレッジ推進プロジェクトの理事長。埼玉県出身で北海道大学を出て札幌市役所で働いた後、欧州各地のエコビレッジを訪問。帰国後、2009年に空知管内長沼町で体験塾を開き、2012年に拠点を余市に移した。今では年間約2千人が視察や研修などで訪れるようになった。
持続可能な暮らしの実現に向けて、坂本さんのエコビレッジの挑戦は続きます。その努力を賞賛したいと思います!![]()