全国の書店員が最も売りたい本を投票で決める「2026年本屋大賞」の受賞作が4月9日発表され、朝井リョウさんの小説「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)が大賞に選ばれました。鳥
 

 東京都内で開かれた授賞式で朝井さんは「たった1人で書く以上、どうしても偏った極端な作品になる。たくさんの書き手の偏りが詰まった書店を守ってくれるみなさんに感謝する」「共同体の構造を考えることで生きる推進力を探った」と語っていました。ニコニコ

 受賞作「イン・ザ・メガチャーチ」は、世代や立場の異なる3人が語り手。アイドルや俳優の熱狂的ファンが生み出す「ファンダム経済」を描きました。ニコニコ

  ネットに載っていたこの本の感想の中から、私も共感したものをいくつか紹介します。音譜飛び出すハート

 “三者三様の、「自分を使い切る」までの物語。いまの時代の空気を、文章化することに成功した、著者の物語でもあるのだなと思った。推し活により、思い込みで熱狂し、暴走するさまは、 恋愛にも似ていると感じる。しかし、相互理解を必要としない(得ることができない)分、 ソロ化が進んだ現在に、良くも悪くも馴染みすぎる世界が推し活なのだなと感じた。”
 “メガチャーチという仕組みを背景に複数の登場人物がそれぞれの立場から知らず知らずその枠組みで仕掛けたりハマったり。ラストで理解した当事者は自分の仕事に誇りを持てるのか?痛烈な批判がこめられている気がします。情報社会のなかで知らないうちに操られる恐ろしさを感じて、とても興味深い内容でした。”
 “推し活によって視野を狭められたり、視野を広く持たなきゃと思うあまり何もできていなくなることもある。推しのことだけ考えて視野を狭くしたら人と関わるのも苦しくなる。ただ、誰かや何かを推すことが一概に悪いとはやはり言えない。こんな世界で正気に戻ったら辛くて生きていけないかな・・・。”
 ”推し活を推進する者、嵌る者、推しの対象を失い更なる闇に落ちる者。結局推し活とは何なのか。タイトルのメガチャーチ商法のように信者を半ば洗脳し視野狭窄に陥らせファンダム経済に囲い込みグッズ販売・投げ銭等により搾取するのか。一方推し活を推進する側の論理は無理やり何かを搾り取っているのではない。何もかも揺らぎやすい今、確固たる信仰対象があり、それに対して自分を使いきっている姿そのものに希少価値が生まれる。一度何かを「幸せ」だと認識させたのなら、最後まで自分を使い切らせてあげるというもの”!!キューン

 *朝井リョウ;岐阜県生まれ。早稲田大学在学中の2009年に「桐島、部活やめるっ 

  てよ」でデビューした。
  *メガチャーチ;平均週末の信徒数が2,000人以上のプロテスタントのキリスト教

 会。  

*ファンダム経済;アイドル、アニメ、スポーツチーム、YouTuberなど、特定の「推  

 し」を熱狂的に応援するファンコミュニティ(ファンダム)の消費活動によって生

 まれる巨大な経済圏のこと。単なる商品購入にとどまらず、ファンが自発的に情報

 を拡散し、イベントを企画するなど、愛と熱量で経済価値を創出する新しいビジネ

 スモデル。