ネットに次の記事が載っていた。紹介する。
“鉛色の寒空から、ぱらぱらっと雨粒が落ちてくる。<弁当忘れても傘忘れるな>という土地の言い伝え通りだった。石川県の能登半島を半月前に回った。金沢から鉄道と車で北上し、羽咋(はくい)、七尾、穴水(あなみず)を通り半島の先へ。
黒光りする瓦屋根に青いシートが目立ち、道路の交互通行で何度か止められた。2年前の正月に起きた地震の爪痕は生々しい。庭先のユズやカキの彩りになごむ。
古風な家並みが続く輪島に入ると、工事中の建物が多い。大火に見舞われた朝市通りは一面の更地だった。ぽつんとたたずむ電柱には高熱で溶け落ちた樹脂が残る。街が流した黒い涙のように見えた。
最盛期は300近い露店が並び、年に200万人が訪れたという朝市。いまは40店ほどが大型商業施設に場所を移し、商いを続ける。祖母から数えて3代目になる冨水長毅(とみずながたけ)さん(57)は「10年、20年先を見すえ、新しい朝市をつくりたい」
帰りは西海岸を南下し、名産の桜貝を探しに志賀(しか)へ向かった。だが道の駅は閉店時間を過ぎていた。婦人服を商う隣の仮設店舗で聞くと「うちにたくさんあるわ」。店主の小間(こま)美津枝さん(75)が手芸用に拾った貝を譲ってくれた。仮設住宅の落ち着かない生活が続くというのに。
ピンクのはかなげな二枚貝は幸せを運ぶそうだ。能登の人のやさしさに触れ半島を後にした。”
「やさしさは 幸せを運ぶ」は 気持ちをなごませてくれる言葉だ。
- 前ページ
- 次ページ