亭主が見てる! | 西村治彦の日記

西村治彦の日記

日々の出来事を書いています。

亭主が見てる!
私の顧問先に〇〇工務店と申す会社がありました。私の事務所とこの会社が近かったので、急用であれば、工務店の奥さんが 私の事務所に書類を持ってやって来ました。

私は まだ さほど忙しくなく、奥さんに電話で呼ばれれば、この工務店に出掛けました。社長は、普段は工事現場に出掛けていて、ほとんど会社には、おりませんでした。

 

ある日 奥さんに電話で、会社に呼ばれました。当時 私は近場は自転車で廻っておりました。坂の上に この会社はあったので 息が切れました。早速、依頼された手続きを済まし
たところ、奥さんが、何か相談があると申します。

 

 

 

 

「何でしょう?」 ここの社長は超太っておりました。血圧も高く、酷い糖尿病でした。 社長であるご主人はこう言ったそうです。

「俺は太りすぎで糖尿病だ!男として機能しなくなった。まだお前は若いし、男なしでは 辛いだろう!誰か気のあった男を見つけて 抱いて貰え!お前が可哀相だ!」
「西村さん!私は可哀相でしょうか?」
「はい、可哀相です!」
私は、ムラムラと気持ちが燃え上がるものを感じました。

 

 

次に理性です。「こんな日中に、会社の縁側で、<奥さん!>などと抱きしめ合ったら、誰かが見ているかも知れない!」
私は周囲を見渡しました。キョロキョロと見渡しました。
「あれ!」遠くの柱の陰で 誰かが二人を見つめています。  眼が合いました。「あれ!」、ご主人の眼です。
先ほどから、二人の関係が怪しいと思って、ご主人は 柱の陰から、二人の様子を見ていたのです。眼が合った私は 背を伸ばし、それまでのダラダラした態度を、即座に改めました。

 

 

 

本来の私に戻ったのです。
奥さんは、気が付いていません。相変わらず嬉しそうに話し続けています。

「いや~!良かった!」。社長は たいそう、短気なことを、私は知っておりました。もし、二人が調子に乗って 柱の陰の社長の前で、いちゃつき始めていたならば、工務店のノコギリかトンカチを持ち出され、 めった切りか めった打ちにされていたと思います。「良いよ!」と言われてやっても眼の前で堂々だと、どうなのでしょうか?

 


私は、危うい誘惑を 運よく乗り気って来たものです。
血圧が高く、糖尿病であった社長は、この後、温泉に旅行に行き、湯の中で発作を起こし、亡くなってしまいました。社長に心配を掛けてしまった私が悪かったのかも、と後悔の念でいっぱいになりました。私はそれ以降、奥さんとは、一線を引き、亡くなった社長の霊を弔ったのでありました。

 

 

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