一般組はいつもこう言う。
「推薦組はずるい。インチキやって合格している」と。
確かに一般入試に向けてゴリゴリ勉強していると
それを知らずに軽々と合格を決めている「推薦入試組」を悪くも言いたくなるだろう。
実は私もそう考えていた。
それが間違っていた事に気付いたのは、わずか5年前のことだ。
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東京大学や京都大学の推薦入試合格者は
みんな飛び抜けて優秀である。
皆、数学オリンピックのメダリストやら
高校時代から起業してたり、と言った
周囲から飛び抜けた異才が集まる。
早慶・MARCH・関関同立クラスともなると、
近隣の資産家の子弟や、地方のトップ進学校の生徒が集まる。
皆、多様な人材の集団だ。
そりゃ中には、チャラいバカ共もいるだろうが、
皆、押しなべて意欲的だ。
問題は、それ以下の大学の推薦入試組だ。
数合わせだけに執着し、金儲けのことしか考えないのではないのか?
そうとしか思えない所が多すぎる。
まあ、そう言う大学は、この先10年以内に淘汰されることになるだろう。
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ここで特筆したいのは、朝倉光陽高から国立鳥取大学に進学したAのことだ。
先日、Aが塾にやって来て、パンパンに膨れ上がったカバンの中身を開けた。
各教科の膨大な参考書と問題集だ。
A「この中でいらない物を返しに来ました。」
まぁ、色々なものが出てくる。
次に出たものはコレだ。
A「色々とやりたいことがあるんですよ。」
例えば?古文なんかいらないだろ?
A「いえ、更級日記なんか、最高じゃないですか!」
更級日記(※)・・・・
※更級日記:平安時代中期の「源氏物語オタクの勘違い恋愛少女の物語」
なんでそんな本に興味持ったの?
A「可愛いじゃないですか!」
・・・ということで、更級日記の現代訳を渡す。
これで飽き足らなかったら、文法書を渡すよ。
A「地理なんかも面白いですよね?」
は?・・地理?
「鳥観図みたいに世界を見渡して、一人悦に入るのがたまらないんです!」
んじゃ、これかな。
これで飽き足らなかったら・・・
A「はい、もっと詳しい本を貸してくれるんですよね?!」
ウチに本が大量にあるからそう言ってくるんだが。
まぁいい。
今度来たら、渡してやろう。
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彼女は、大学からの課題(推薦入試合格者に配布する)は
すでにやり終えている。
・・・とまぁ、
知的好奇心が溢れまくっている状態だ。
ところで朝倉高校の諸君。
彼女みたいに、好奇心満載で授業や参考書に没頭できているかな?
偏差値で20も下の彼女たちに負けていないか??
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実際に、大学内でも結構混乱しているのだ。
例えば、九州大学(地方の旧帝大)だと、
やる気に満ち溢れている推薦入学者と、
本気で試験に合格してきた一般合格者と、
何の違いがあるのか?
最初は、純粋に学力だけだと推薦合格者は遠く及ばない。
だが、
実際に講義が始まれば、推薦合格者の意欲とアイディアが顔を出す。
足りない基礎知識は、一般合格者がサポ―トしてくれる。
とは言っても、頭の固い一般組はなかなかついて行けない。
というか、一般入試合格者は、校内で落ち込んでいる。
皆「合格者ばかり」だから、
「今までのように、優秀だから褒めてくれる人がいない!」
と、「井の中の蛙」が世間の大海に放り出された
ような状態になってしまった。
ということが、実際に起こっているのだ。
一般合格者は、下手をすると
「大学入試=人生の勝者」
とでも思っているかもしれないが、
あくまでも
「入試のゴール=新たな人生へのスタート」
に過ぎない。
これからあと少なくとも
40年の人生の輝かしいスタートを切っただけだ。
互いに仲良く、と行かないまでも
切磋琢磨して、それぞれの目標に向けて、再発進しよう!



