「簡単な話だよ。給料がいいからさ。」

「何でその会社を選んだの?」と聞かれた時に、

メガバンク勤務の友人がこう言い放った。

 

AIの発展で、人気が無くなってきた銀行系。

しかし、東大や一橋大の最優秀な層では、金融系への就活が逆に盛んになってきた。

 

その理由を尋ねると

「この先縮小するのは、末端の少額融資業務のみ。本社での運用やディーリング部門は堅調に動くからだ。」

 

こういう業界で「東大・京大・東京科学大」の少なくない理系や、わずかな文系エリートは、

高等数学を使いこなして運用系や審査部門のスペシャリストとなることを目指している

 

その先の幹部昇進まで見越しているようだった。

 

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本当はこういうデータを出すのには気が重かった。

 

何と言っても、私の大学生活を(最初の方だが)支えていたのは父(銀行勤務)だし、

今でも銀行には色々とお世話になっているわけで、

恩ある方々に後ろ足で砂を掻けるような気がしていたからだ。

 

もちろん

「社会の進歩に寄与したい」

「地域社会の発展に貢献したい」

などという有志の若者が続々と入社していることは事実だ。

 

それでも言わなきゃならん。各業界の真実を。

 

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人気企業100社の中に、

「三菱UFJ銀行」や「みずほ銀行」といった銀行系、

「第一生命保険」や「東京海上日動火災保険」といった生保・損保系、

「野村證券」や「SMBC日興証券」といった證券会社、

「JCB」、「オリックス」や「三菱UFJニコス」といったCC・リース信販系

はたまた「日本政策金融公庫」などの政府系金融系

とどめは「ゴールドマン・サックス」や「JPモルガン・チェース」などの外資系

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などと言った名だたる金融系企業が並んでいる。

総数22社

・・・ということは、

人気企業100社のうち、22%くらいは金融系企業が占めることになる。

 

 

ところがどっこい

データは多少古いが(2010年)出してみると

今現在なら「IT・コンサル」が増えて10%にはなってそうだが、

他の分野はそう変わらないだろう。

 

各大学のイメージだと

「早稲田ならマスコミかな。」

「上智なら英語力を活かして商社系かな。」

「慶應義塾なら手堅くハイテクかITコンサルあたり」

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といった校風がらみの印象が溢れてきそうだが、

実は、

全ての大学で金融が一位を独占しているのだ。

しかも

圧倒的シェアで他の業界を頭二つ引き離している。

 

関西学院など、89.8%という異常とも言える圧倒的シェア率だ。

しかも、就職実績の高い大学ほど金融のシェア率は低く、

逆に就職実績の乏しい大学ほど、金融のシェアが高まっているのだ。

 

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何でこんなことになっているのかというと、

「金融系は1社の採用数が他と比べ物にならないほど多い」

ことにある。

 

この7大学からの「1社平均採用数」はというと

他の業界が18~62.6人といった数字なのに対して

金融のみ際立って高く122人にもなっている。

 

ちなみに金融の次に多いIT・コンサルやハイテク・メーカーは、

採用のかなりの割合を理系学生が占めている。

文系のみに絞った場合、金融の採用数は突出した多さになる。

 

これだけたくさん採るからには、

それほど大学名にこだわってはいられなくなる。

そこで、金融系企業は、色んな大学から幅広く採用することになる。

(逆に他業界だと、少数精鋭採用なので、名の通った大学に採用傾向が偏る。)

 

つまり、就職にあまり強くない大学でも、

金融業界の人気企業には、それなりの採用者が出てくる。

(ただ、他業界の人気企業にはなかなか採用されない。)

 

だから、こういう大学では、人気企業への業者別に示すと、

金融の率が際立って高くなるわけだ。

 

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では、なぜ金融系は採用数がこれほど多いのか。

 

「都銀は、支店の数が多いから?」残念。全くの的外れ。

 

流通系だって、たくさんの店舗があるし、

メーカーは販売会社というカタチで全国に支店網を張り巡らせている。

 

しかし、

金融系企業は、流通やメーカーとは全く異なる採用構造

なのだ。

 

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例えば、メーカー系の人気企業、例えばトヨタに就職できた場合を考えてみよう。

 

では、トヨタの新人・総合職社員が、

地方の営業所でトヨタのクルマを売り続けることはあるか?

 

答えは「限りなくゼロに近い」だ。

 

顧客対応するのは、「トヨペット」や「トヨタカローラ」という系列販売会社であり、

その仕事は本社社員ではなく、販売会社の社員に任されているからだ。

 

だから、トヨタ本社に入社した場合、

研修の一環で数年程度、販売会社に出向することはあるかもしれないが、

定年まで延々と営業・販売を続けることはあり得ない。

 

トヨタ採用の総合職社員は

「本社勤務」が前提となる。

 

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これが流通系企業ではどうか?

ロードサイドショップとしてどこにでも偏在する「イオン」を例に挙げよう。

イオンの各店舗には、本社採用の店長がいる。

その部下として、数人の本社採用の幹部がいるかもしれない。

 

しかし、販売の前線に立つのは、

各店舗で採用されたスタッフであり

パートタイマーの主婦や学生アルバイト

または商品搬入した時の他社の従業員である。

 

こちらも

新卒の本社社員が、現場で長期勤務するということはない

 

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では、金融系はどうだろうか。

 

銀行や証券は、こうした企業とは全く違うのだ。

 

総数で言うと、日本国中に何千という営業支店がある。

 

ところが、銀行や証券には系列の販売会社というものはない。

店舗採用のパートタイマーや学生アルバイトもいない。

(もしそんな人物がいたら、安心して資金を預けられないだろう。)

 

代わりに、新卒採用された多数の総合職社員が各店舗に配属され、そのまま最前線に立つ。

 

トヨタやイオンの社員が、

販売現場に研修の為に短期配属になるのと対照的に、

銀行員の多くが

本社勤務の大半を支店で過ごし、選ばれた少数の者が本社に栄転する。

 

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誤解を恐れずに言えば、

銀行・証券の採用とは、

「本部と販売会社」を合わせた採用であり、

現実的に言えば、

「販売会社での採用が多数」ということになる。

 

それではとどめを刺そうか。

 

こういう文系就職の「金融のすさまじさ」について延々と語ってきたが、

最後に「金融を抜いた人気企業の就職率」を出して、締めくくろうと思う。

 

早稲田・・・・・就職数796・・・・就職率8.7%

慶應義塾・・・・就職数418・・・・就職率11.5%

上智・・・・・・就職数223・・・・就職率10.1%

同志社・・・・・就職数318・・・・就職率6.0%

明治・・・・・・就職数249・・・・就職率3.7%

青山学院・・・・就職数123・・・・就職率3.1%

関西学院・・・・就職数33・・・・・就職率0.8%

いかがかな。

 

早慶でも10%前後。

関学など1%未満にまで下がってしまった。

 

あらためて金融以外の人気企業に入ることの難しさがおわかりいただけたろうか。