午後11:30

 

ようやく寝静まった塾の中を蠢(うごめ)き回るものがある。

 

クモである。

あちこちで跳梁跋扈しているのは、クモだ。

 

どうしてもドアを開け閉めする時に、蚊が入ってくる。

これはどうにもできない。

 

時々耳元に

「プゥ~ン」

と音が響き、集中力が削がれていくこともある。

 

「別に気にしなくてもいいからね」

「そういうわけにはいかないじゃないですか!」

 

「いや、朝になったら消えるからね。」

「( ゚Д゚)はぁ?」

 

その証拠に

朝、塾にやって来ると、ウソのように消えている。

 

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深夜に活躍するのは、何度も言うがクモである。

 

蚊の放つ「プゥ~ン」という羽音を追って、とっ捕まえてその身体に消化液を注入。

その後、体液になった中身を吸い尽くしたら、後はそのままポイ。

 

それで翌朝には、虫の音が全く聞こえないわけだ。

 

そこで僕は、中央階段でクモを見つけると

「(食料が少ないところにおいて)済まないねぇ。」

と念じながら、捕まえて塾内に入れているわけだ。

 

そういうわけで、約30匹ほど塾に招き入れている。

最近では、超小っちゃい子グモも現れて、ちゃんと世代交代しているようで

私としても安心している所だ。

 

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すると、時たまに、こうやって顔を出すこともあるわけだ。

 

ところが、農学部志望の女子が

「気持ち悪っ(; ・`д・´)!」

と、潰そうとしているのを見て

「何やってるんだ!生物農薬という概念を知らないのか?!」

生物農薬とは

「有害生物の防除に利用されている拮抗微生物、植物病原微生物、昆虫病原微生物、昆虫寄生性線虫、寄生虫あるいは捕食性昆虫などの生物的防除資材」

とされている。

 

この場合のクモは「蚊や蝿などを捕食する捕食性昆虫」にあたる。

 

「こんな100平方メートルにも満たない場所に、殺虫剤撒いたら、それこそ勉強どころじゃないだろう?!」

 

「(*´ω`)・・・・・」

押し黙ってしまった。

 

まぁ、こうやって、生物農薬に守られながら、勉強もできるわけだ。

 

それこそゴキブリなんか出ようものなら

(フトアゴヒゲトカゲ)

こいつを投入することも考えたが、幸いにも飲食店が入ってないためにお役御免となった。