私は、基本的に全科目を教えている。

・・・・・と言うと、「忘れないの?」とたまに言われる。

 

そりゃぁ、忘れることもあるだろう。

でも、その記憶を、たまに思い出してメインテナンスしているから、

その記憶の維持だけはしっかりしているつもりだ。

 

どうせ聞いてくることは、限られていく。

英語なら状態動詞とそれ以外の動詞との違い。

数学なら因数分解と二次方程式・二次関数への発展。

生物ならDNAとRNAの違い。

物理なら3番目の公式(VーVо=2at)の利用方法etc・・・

(まぁ、歴史の細かいところは参考書に頼ることになるが。)

 

しかし、時には思い出させられる。

どんなに長期記憶に入れようと、

思い起こさないことには全て忘れてしまう。

 

私の場合、生徒から質問に来る。

「ココがよく分からないんですが・・・」と。

 

本人がかなり読み込んで考え抜いた質問に、

瞬時に解答を提示しなければならない。

 

これには並大抵でない各教科の深い理解が必要なのだ。

 

そういう時には決まって

「一段低いところに下げてから、復習してごらん。」

という事にしている。

高2で三角関数が分からないならば、高1・三角比を。

高1・三角比が分からないならば、中3・三平方の定理を。


 

私でも、こういうことがある。

それが数学ならば問題だ。

 

先日、Haru(高2)が質問してきた。

 

問題:AB=ACをとり、三角形ABCをつくる。

ABの中点を点Dとして、∠ACD=∠α、∠BCD=∠βとおく。

(1)cos(α+β)を求めよ

この問題、解説を読んで(2)(3)は分かるんだが、(1)だけが分からないらしい。

それが

(1)cos(α+β)を求めよ。という点だ。

 

中点連結定理かな?

加法定理を使うのか??

余弦定理を使うのか??

中3~高2レベルの知識を総動員して考え込んだが、まるっきり分からない。

解答にある、簡単に1/4にならない。

 

「・・・すまん、分からん。先生に聞いておいて。」と敗北宣言

 

次の日に、Haruがやって来て、あっさりとこう説明した。

 

「こう補助線を引いて、直角三角形を作って出すやり方です。」

「ああっ!!」

あれほど基礎が重要だ、と言っておきながら

二等辺三角形の基本定理※のことを忘れていた!

※二等辺三角形の性質は、以下の3つである。

①2つの辺が等しい。

②底角が等しい。

③頂角の二等分線は、底辺を垂直に二等分する。

 

このうちの③が覚えられないので、ボードに書いて何度も覚えさせていた。

それを言い出しっぺの私が忘れているなんて!

 

それを何度も繰り返して思い出し、後悔した。

 

センター9割をたたき出したことも忘れて、なんてことだ!

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それ以来、中学レベルからの復習を欠かさないようにしている。