朝倉高校で、たった一人の九州大学の現役合格者です。

福岡県の塾関係者なら、気にならないわけにはいかないの
「九州大学に合格者を出す」
ということです。

同様に、
北海道大学・東北大学。東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学
これら各地方都市の「旧帝国大学に合格」というのは、塾にとっては一つの実績です。

誇ることはあれ、後悔するようなことではないのは確かでしょう。

しかし、私はちょっと後悔しています。
「F君は、もっと上に行けたんじゃないか?」という事を

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F君との出会いは、彼が中3の夏休み前でした。
体験授業前に、フクトの模試をやらせてみて驚きました。
245/300点!(偏差値64)
塾に行ったことの無い生徒とは信じられないほどの好成績です!

これは
「越境受験で明善高校(偏差値66)にも行けるぞ!」
と思ったものです。

鼻息荒くそう言う私に対して、F君の言葉は素っ気ないものでした。
「いえ、朝倉高校(偏差値54)に行きたいんです。」

「野球と勉強、どちらも頑張りたいんです。」

その頃の朝倉高校野球部は、県大会でベスト8に入り、優勝した九州国際大学付属高を、9回までリードするという「公立高のロマン」を実現していました。

しかし、今のこの成績ならば、

受験時は280/300点という朝倉高校トップ・明善上位レベルに高められます。

それを惜しみましたが、その学年の塾の高校受験クラスは

「100/300点も取れないダメ受験生だけど、朝倉高校や朝倉東高校に行きたい!」
こういう生徒が多く、手間がかかってました。
それを考えたら、このF君は
「スケジュール作って毎日自習して、疑問があれば質問OK」
この「指導付き自習室」スタイルでいいんじゃないか、とも思いました。


しかし、F君の才能を考えると、
「ココのような個別指導ではなく、集団塾のハイレベルクラスで、級友と切磋琢磨した方がいいんじゃないか」
、と思ってしまったのです。

塾の学費も、他の集団塾より1.5~2倍する(※)ため、コストパフォーマンスの観点からも、他の集団塾で勉強するほうがいいのではないか・・・・・

(※その代わり、入学金や参考書代込み)

それを静かに伝えると、母子共々深く礼をし、帰っていきました。

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そして3年後の昨年夏、F君は「大学受験生」としてこの塾に戻ってきました。

部活を最後までやり切ったにも関わらず、成績は相変わらずの学年トップクラス。

感心した私でしたが、F君の成績表を見て驚きました。

センター模試・・830/900点
センターで9割オーバーという、東大合格者レベルを越えていました。
そして志望校を見ると「一橋大学・社会学部」。判定はE判定

これは
「あまりにも高い基礎学力」
と共に
「あまりにも不足している志望校対策」
これを語っています。

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一橋大学は、東京大学に次ぐ関東最高峰の文系大学です。

多くの方は
「日本で最も難しい問題を出すのは、東京大学だ。」
と思っておられるでしょうが、そうではありません。

東大の問題は、

質のいいバラエティ豊かな標準~やや難レベルの問題を、限られた時間で解く

という情報処理能力が必要です。

それに比べて、京都大学や一橋大学は、

クセのある難問に、時間内にどれだけ当たる力があるのか、を試されます。

ということは、

その過去問を徹底的に分析し、

その偏った傾向の問題で、

どれだけ「部分点勝負」に持ち込めるかが勝負のカギになります。

オールラウンドで骨太な学力を試される東京大学は、半年程度の対策では歯が立ちません。

しかし、京大や一橋は、そのクセを読んで対策を立てれば、逆転合格するのは不可能ではないのです。

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F君の場合、学年トップクラスでありながら、全く一橋対策が出来てませんでした。
あと半年というのに、赤本や青本(過去問)すら持ってないのです。

まずは一橋の過去問を5年分解きます。

傾向を肌で感じた後で、「一橋の○○15年」(教学社)という、重点的な「一橋対策の参考書」を片付けていきます。

国語・・・「システム現代文」シリーズ

数学・・・「文系数学の良問プラチカ」(河合出版)「

英語・・・「パラグラフリーディングのストラテジー」(河合出版)「ディスコースマーカー英文読解」(Z会)

社会・・・「段階式・日本史論述のトレーニング」(Z会)「考える日本史論述」(河合出版)

これらを最終到達点において、苦手な分野を個別に基礎参考書で補強して行きます。

 

最終模試ではD判定。もう少しでC判定というところまで上がりました。

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しかし、遅きに失しました。

センター試験は840/900点。9割3分という好成績でした。

それをセンター利用入試に出して
明治大学、法政大学、中央大学の法学部に合格。

しかし、一橋大学は不合格

後期試験で、九州大学法学部に合格。


これが入試の結果でした。

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もし高3春に塾に来てくれていたら・・・・

その高い学力で一橋大学対策をじっくり行い、合格できたのではないか・・・

いや!
中3の夏に来た時に
「そうか!じゃ朝倉高校トップをとって、東京大学でも狙ってみるか!」


そういうこともできたはずです。

というわけで、九州大学法学部合格も、それを手放しで喜べないほど後悔しています。

これからは、いかなるレベル、いかなる志望校であろうとも、

余計な情けをかけずに全力で指導せねば

・・・・・・と思った次第です。

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