「星の王子様」で有名な

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

その処女作

「南方郵便機」

私の好きな本だ。

 

だが、小説家アンドレ・ジッドに酷評されている。

未だに故障の多い機体で、まさに命がけで飛ぶ飛行機乗り達の金字塔だ。

 

若き操縦士ジャック・ベルニスが若き貴族婦人ジュヌヴィエーヴをさらって逃避行した挙句、彼女の高貴な貴族的な指向について行けずに破局する。

そして彼女は、失意の中で死んでいく。

ベルニス自身も砂漠で消息を絶ってしまい、同じ飛行士であり、親友でもある語り手の「僕」が捜索に向かう。そこでベルニスの死亡を知る。

・・・といった内容だ。

 

サン=テグジュペリは第二次大戦の時に祖国・フランスの陥落という悲劇に面する。

 

彼も40代になっていた。

 

戦争に参加しようとしたが、いかんせん米国製の戦闘機は体力を激しく消耗し、

爆撃機乗りとして志願していた。

 

本当は、「知り合いたちと戦いたくなかった」として、極東への配属を志願していた。

 

だが結局は、フランス戦線における偵察機として従軍することになった。

 

(もし、彼の志願通りにいったら、B-29で日本本土を爆撃することになっていただろう。そうなったら、日本での彼の評価もずいぶんと違ったことだろう。)

 

結局のところ、敵国ナチス・ドイツの戦闘機に撃墜されてしまう。

(この時に撃墜したドイツ軍のパイロットはサン=テグジュペリの大ファンであり、そのことを生涯悔やんでいた。)

 

・・・ちょっと話が脱線した。

 

この小説の中で、ベルニスは、寄宿舎学校にOBとして立寄る。

 

慣れ親しんだ学校と教師に会うために。

そして

自分を子ども扱いして怒ってた教師たちに復讐(ドヤ顔)するために。

 

そういう複雑な思いは、OB/OGなら誰もが持っているものだろう。

 

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いきなり駐車場からドスのきいた排気音が聞こえて来た。

 

アウディA6だな。

 

誰が乗ってるのか、と見てみれば

卒10年OBのLだった。

「お久しぶりです!」

しばし旧交を温めた後で、

「そう言えば、彼ら(塾OBたち)4人と会って食事しましたよ!」

 

大学を出て、社会人になると、色々と暇が無くなり、段々と疎遠になる場合が多い。

 

それでも旧交を忘れずに、集っているのか・・・

 

「今度帰ったら、塾頭たちが元気なのか寄ってみて!」

と言われたらしい。

 

おいおい、「長生きしてください」と色紙に書いたのは

君だろう?!

そう言って私たちの前で、800万円の高級車を披露するとは、

彼の心の中にもそういうドヤ顔したい気分が多少はあったようだ。

「楽勝でしたよ。勤務先(大手生保会社)を伝えたら、審査がすんなり通るんだから、先生の言った通りでしたね!」

そう。

 

難関大学を卒業し、大手企業に勤めるということは、

とてつもない信用を得ることに直結するのだから。

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「今度はみんなでやってきますよ!」

 

そう言い残して、彼は去っていった。