ところが、一言で緑化といっても、なかなか容易ではない。
300年経っても緑化が進んでいないという事実がその困難さを表している。
事実、富士山に自生する樹木を植樹しても活着してくれないのである。
過去、一部の地域でカラマツやモミの植栽が行なわれたが成功していない。
みなさんは、岩場と砂場と植物はどちらに早く進出してくるとお考えであろうか。
岩場なのである。岩場では、
ちょっとした窪みがあれば、そこへ水が溜まり、種が発芽する。
ちょっとした割れ目があれば、そこへ根が伸びていく。
それで成育していくことができる。(写真3参照)

写真3/岩の割れ目より植物が芽を出している
しかし、砂場では、発芽しても成育していけないのである。
風が吹けば、砂とともに飛ばされる。
植物にとって、土地の流動は致命的である。
また、夏、海水浴で海の砂場を素足で歩いて、
熱くて歩けなかったという経験をお持ちであろう。
せっかく発芽しても、夏の暑さにやられてしまうのである。
この事実を観察するのに丁度良いのが、獅子岩である。
御殿場口駐車場から富士山山頂へむかって右前方に、
黒々とした砂礫地帯に一箇所、みどりに包まれたところがある。
そこが獅子岩である。
そこは、溶岩でできたところで、岩場である。
周辺の砂礫地帯にはまったく植物の進出はみられないが、
獅子岩には植物が進出している。
さて、現地である富士山南東側のこの大砂礫は、
荒い火山砂礫の急斜面で、積雪が多く、雪崩も多発する。
雨量も多く、太平洋上から強い南風が吹き、突風も多く発生する。
その上、ほとんど栄養分の無い荒い砂礫地である。
気象・土壌共に植物にとっては極めて劣悪な条件なのである。
従って、300年たっても緑の進出がみられないように、
自然の遷移に任せたままでは、森の復元は不可能なのである。
続く・・・
特定非営利活動法人富士山ナショナル・トラスト