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NPO法人富士山ナショナル・トラストのブログ

富士山ナショナル・トラストは、静岡県御殿場市を拠点に森林の復元を図り富士山火山荒原の崩落防止や世界遺産登録に向けての美観保持のための植樹活動を続けています!

先ずんば、苗木作りから

1,996年(平成8年)3月、会が発足して最初の仕事が、

バッコヤナギの苗木づくりである。
バッコヤナギは、富士山に自生しているもので、

富士山に出かけ、バッコヤナギの枝を採集する。

その枝を、25cmから30cmの長さに切り、穂木をつくる。

その穂木を畑に15cm間隔で挿し木する。

春挿しと秋挿しとあり、春挿しは、翌年の春には、植樹できる。

秋挿しは、1年半後の春より、植樹できる。

この間の管理がいろいろとあるわけである(写真4参照)。

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写真4/バッコヤナギのさし木風景

まず、どのくらいの太さの枝を挿し木にするかということである。

1年目は、鉛筆くらいの太さを基準に行なった。

成績は良く、問題はなかったのだが、

できあがった苗木を掘り出すとき、

挿し木の位置決めに使った2cmくらいの太い枝が、

ちゃんと苗木として活着しているのだ。

こんなに太い枝でも挿し木できるのなら、大きな苗木ができるわけだから、

富士山に植樹した後も成長が早いだろう、ということで、

1cmから2cmの太い枝を挿し木することにした。

それはそれで、成功したのだが、

今度は、細い枝が沢山捨てられることとなった。

もったいないではないか。

今度は、使えるものはすべて活用しよう言うことになって、

鉛筆より細い枝も挿し木するようにした。

その挿し木の仕方は、1本づつするのではなく、寄せ挿しといって、

10本くらいまとめて挿し木するのである。

これもうまくいき、いまでは、採集してきた枝を最大限活用している。

雑草との戦い、これは今でも続いていると言えるわけだが、

初年度は、平畝を作り、そこへ挿し木をした。

その年の夏は、苗木よりも雑草が大きく育ち、

このままでは、苗木がやられてしまうということで、畑の雑草取りに苦労した。

当時、まだ、会員も少なく、雑草取りの人手もない。

なんとかみんなの協力を得て、乗り切ったが、

今度は、なんとかしなければ、と、黒いビニールでマルチをしよう。

そうすれば、雑草対策も少しは、楽になるだろうと始めた。

さて、畝を作り、マルチして、そこへ挿し木をするのだが、

最初は竹の棒で穴をあけ、そこへ挿し木をする。

1本づつ、竹の棒で穴をあけるのもなかなか面倒である。

直接挿し木できるのだからと、ちょっとズルをこいたら、

翌年、そのしっぺ返しを受けた。

挿し木の成績があまり良くないのである。

枯れた枝を抜いてみると、

黒いビニールが挿し木の切り口にべっとりとういている。

これでは、活着するはずがない。

そこで、桑田3代目会長の発明品、挿し木穴あけ器。

板に15cm間隔に棒がつけられており、

マルチの上に板をぶすっと押さえつけると一遍に10個の穴が空く。

これは便利と今でも大活躍している(写真5参照)。

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写真5/さし木の穴あけ作業

今日では、先ず畑を十分に耕し、

草の根などを取り除き、穂木を挿し木する。

穂木の3分の1くらい十分にさし、根のまわりの土を踏みつける。

そして、十分に水をやって作業完了と言うことである。

夏場の水遣りも大変な作業である。

今では、水遣り用の水道も完備し、

基本的な問題は解決したといえるのだが、誰が、その水遣りを行うのか。

1週間単位で、グループを作り、交替で管理している。

草取りと水遣り、地味な作業だが、これをやらなければ、植樹はできない。

害虫にも泣かされた。

今日まで観察された害虫は、

ドロノギハムシ、ケムシ、ヤナギルギハムシ、イモムシである。

バッコヤナギの葉を食べてしまって、枯らしてしまうのである。

殺虫剤「スミチオン乳剤」に展着剤を混ぜ合わせて散布している。

なぜ、害虫が発生するのか。

バッコヤナギの育苗畑は、毎年の連読使用である。

連作障害なども考えられるのか。

また、害虫を発生させない環境整備、

草刈り、風通しを良くする、日照の確保、排水溝の管理など、

また、殺虫剤の予防散布なども検討しなければならない。

益田眞助会長の努力で、駆除対策がすすめられている。

枝の採集場所の確保も、何年も続けていると苦労する。

一度、バッコヤナギの枝を採集すると、3年~4年は、採集できない。

次の枝がしっかりと伸びてくるのを待たなくてはならないのである。

新しい採集場所の開発に努めている。

また、富士山ナショナル・トラストの苗木育苗畑で、

母木を育てて、その枝を採集し、挿し木できないか、とチャレンジしたが、

思ったように活着してくれなかった。

日あたりが悪かったようである。

しかし、イヌコリヤナギは成功し、昨年、挿し木した。

枝の採集の補助的手段として、充実を検討したい。

続く・・・

特定非営利活動法人富士山ナショナル・トラスト