「なぜ、バッコヤナギか?」参加者から良く聞かれる質問である。
その理由は、まず、先駆植物の樹木の中で、最も数が多く、
挿し木が容易で、苗の養成が可能であるという事。
また、生命力が大変に強いことである。
一般の樹木だと、根こそぎ流されてしまうと、枯れてしまうが、
バッコヤナギは、枝が少しでも地上に出ていさえすれば、
そこから根が出て、生きていく。
その上、木の幹の皮、樹皮が剥がされても、
根が生きていれば、そこから枝を出すのである。
この一帯は、砂磔地帯である。強い風は、砂を巻き込み、樹皮を剥がしてしまう。
普通の木だとそれでかれてしまうのであるが、
バッコヤナギは、枯れずに、地上を這うように枝を伸ばし、生き延びるのである。
そこで、笑い話がある。
植樹に参加した人は、
自分が植えた木がどのように成長していくか大変に楽しみにしている。
そこで、「来年も参加します」、というリピーターが多い。
ところが、翌年参加した人は、自分が植えた木をみて、奇訝な顔をするのである。
20cmくらいの木を植えたのに、それから、1年たったのだから、
それなりに成長して25cm、30cmと大きくなっているはずだと思っていたら、
小さくなっている。なんとなく、がっかりしているのだ。
そこで、事情を説明すると、改めて富士山の厳しい自然環境を理解し、
新たな感動と共に、今後の協力を約束してくれるのである。
砂磔地の現状を見てもバッコヤナギに期待が持てる。
砂磔地の中に浮島状にあちらこちらに草地がある。
その草地の中には、必ずといっていいほど、バッコヤナギが自生しているのだ。
砂磔地にバッコヤナギが根つく。
その日陰で先駆植物の草が進出してくる。
草地になる。
草地は、根が大地をしっかりとつかまえているから、流動しない。
その周辺は流されて、結果として、浮島のような草地ができたのではないか。
私たちは、その浮島の間を植樹して、全面的な草地にしたい。
草原化を目指そうとしているのだ。

写真4/島状の草地には必ずといっていいほどバッコヤナギが自生している。
続く・・・
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