今回の3冊です。
群ようこ「散歩する猫」
貯金を切り崩して月10万円で楽しむことを決め早期退職し、
格安アパート「れんげ荘」に住み始めたキョウコを主人公にする物語のシリーズ。
キョウコは、相変わらずのひとり暮らしで無職。
六十歳すぎのおしゃれでしっかり者のクマガイさんや
「旅人」をしていたが戻ってきた三十歳を過ぎて人生模索中のコナツさん、
近所のネコ・ぶっちゃんなど、個性豊かな人々&猫に囲まれて、
のんびり楽しく過ごしていた。
しかし、突然倒れて救急搬送されたキョウコの母親の入院は長引きそうで……
親元に帰ったものの落ち着かず、その後も自由気ままに生きるコナツさんに
あれこれ助言するキョウコですが、
古いアパートで貯金を切り崩して月10万円で暮らすキョウコの生活も
兄夫婦から見ると危なっかしいもの。
ラストのコナツさんの行動もキョウコでなくても“大丈夫?”と思ってしまいますが、
れんげ荘の住民の良さは、立ち入らず懐の深いところ。
今後もちょっとした騒動を繰り返しながら物語は続きそうですケロ。
村田喜代子「雲南の妻」
昭和50年代に商社の駐在員の夫に同行し中国の奥地・雲南で数年間を
過ごした妻が、25年後当時を回想する・・・
雲南省には少数民族が独自の習慣をもって暮らしている。
夫の通訳の20代の女性・英姫も少数民族出身で、
ある日わたしは英姫から結婚しようと提案される。
雲南の少数民族では、織物や茶摘み、畑仕事などの働き手である女性同士が結婚し
パートナーとして暮らす習慣がある。英姫に魅力を感じていたわたしは
彼女を妻として迎え、夫と英姫の3人での生活が始まる・・・
雲南の気候やお茶をはじめとする文化、少数民族の生活が丁寧に描かれていて
とても興味深く読むことができました。
思わぬことで突然の帰国となり、日本での夫との生活が定着したころ
健やかだった雲南での生活を“夫婦の恥部”と感じてしまいます。
ある種の習慣はその土地でこそ生かされるものなのかもしれません。
“雲南に封じ込めた極彩色のアルバム”
その世界に引き込まれるようでしたケロ。
村田喜代子「人を見たら蛙に化れ」
骨董屋の馬爪健吾と元妻・富子。旧家の蔵に眠るお宝を探して回るハタ師の
飛田直彦と妻・李子。埋もれた窯跡をから盗掘師する萬田鉄治と妻・安美。
歴史ある北九州の焼き物の里やロンドン、フィレンツェといったヨーロッパの
骨董の街を舞台に骨董に取りつかれた3組の男女の物語が描かれている。
大切なものが取られないよう、手持ちの骨董に“人を見たら蛙に化(な)れ”と
声かけ愛するというところから来ている表題。
骨董市や焼き物の歴史、修復師など骨董の世界について描かれていて面白かったです。
骨董の価値はわかる人にしかわからないということが多いですが、
わからないなりにそのモノに価値を見出す人もいます。
骨董屋は仕入れた値段の何倍もの値段をつけますが、それでも売れる。
傷がついていても売れる。
何が適正なのか・・・奥深いと思いました。
一種ギャンブルのような生活の中、転落する男たちに比べ、
たくましくなる女たちが印象的でしたが、
この後まだまだ男たちの逆転人生もあるのではと思いましたケロ。
かわいいケロちゃん


