今回は大作2作品。

 

宮部みゆき「模倣犯」

昔映画を観た時には印象が薄かったですが、代表作の一つなのでずっと読みたいと

思っていました。

が、1冊700ページ近くあり、しかも上下巻!

二の足を踏んでいましたが、読もうと決意し図書館で借りて表紙をめくると

まさかの1ページ2段!

読み始めた時には気が遠くなりそうでした…

公園のゴミ箱から女性の右腕が発見されたところから始まる連続女性殺人事件。

犯人は被害者宅やテレビの生放送に向け、不適な挑発を続ける犯人

物語はその女性を含む連続女性殺人事件の

被害者たち、被害者の家族たち、偶然かかわることになった少年、

ルポライターの女性、刑事、犯人に道具にされた人たちのそれぞれの物語を

一旦分解したものを組み合わせていく感じでの展開でした。

後半は真犯人となる人物の真相に迫り、ラストの彼の性格を逆手に取った展開で

題名の「模倣犯」に納得。

長い長い物語がうまくつながっていく構成は見事でした。

(なくてもよい部分も多々ありましたが)

自分勝手な理由、自己のオリジナリティを主張するような犯罪…

読んでいる途中、この物語に続くような犯罪が起こるのではないかと考えて

しまいましたが、そういうものへの牽制も感じることができましたケロ。

 

 

西加奈子「サラバ!」

 

これも上下巻の長い物語でしたが、長さを忘れるほど引き込まれ、作者の思いがこもったラストは圧巻でした。

1977年父親の赴任先イランで生まれた圷歩(あくつ あゆむ)が半生…

優しくおとなしい父、自己愛(?)の強い母、独創的で他者との関係が難しい姉の中に

育った歩は、

“圷家の明るく無邪気な末っ子”の立場を貫き、彼なりに平和な生活を送っていた。

イラン革命のあとエジプトへの引っ越し、エジプトでの生活中両親の離婚など圷家に変化があり、一家は日本に帰国する。

日本でも姉は引きこもり、母は恋愛を繰り返し、父は出家とさらに不安定さが

増す中、歩は、中学・高校・大学生活でも持ち前の立ち位置で周りに溶け込み平和に

暮らしていたが、

歩に思いがけない試練が…

姉の奇怪な行動が理解できず、その反動でフツーであることに徹した歩。

姉弟それぞれの人生が一つの分岐点を迎えた時、初めて姉弟の思いがぶつかり合う。

姉が歩に対し放った言葉「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。」は物語の一つのテーマ。

力強い言葉です。(力強い言葉を受け取れるかは受け入れ側の状況にもより

ますが…)

西加奈子さんは、最後に読んでいる人に「この物語の中であなたの信じるものを

見つけてほしい。

見つけられなければ他の物語を読んでほしい数えきれないほどの物語が存在

している」と投げかけている。

小説家としての信念を感じました。

姉のあだ名がラストでかなりいい効果となっていたり、小説の最初と最後のつながりなど表現力、構成、メッセージといい素晴らしいと思いましたケロ。