2016年後半は『逃げるは恥だが役に立つ』や『真田丸』、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』など、視聴率の高さ、内容の面白さで大きな話題になるドラマが登場しました。今日から2017年大河ドラマ『おんな城主 直虎』が始まります。あと、今夜は9時から新春ドラマ特別企画『しあわせの記憶』(MBS/TBS系全国ネット)が放送になります。

この作品、王道のファミリードラマって、どうなのかな? と、少し冷めた目でこの作品を見始めたのですが、思いがけずホロリとする場面があったりして引き込まれました。同じ家に住む家族だからってそれぞれに事情があるし、何を選びとっていくかは本人次第というのが前提。でも、人生の分岐点で迷っていたら思い切って踏み込んで、家族だからこそ背中を押すことができることもある。
この物語の主人公・太郎(渡辺謙)は事業の失敗から離婚し、家を出て5年。家賃滞納で金策に苦しみ、ネット販売ビジネスが好調の長女・夏波(北川景子)の会社にフラリとやってきます。そう、あの「寅さん」のような風来坊ぶり。当然、父の代わりに一家を支えてきた夏波は父親のダメ親父ぶりに激怒します。冷たく突き放すものの、新しい恋をしているらしい母(麻生祐未)のことが気になり、恋の相手のことを調べる代わりに家に戻ることを許可します。
一方、次女の冬花(二階堂ふみ)は就活がうまくいかず、やりたいことが見つけられないまま、コンビニバイトの毎日。責任感が強く、しっかり者の夏波も共同経営者の友人・吉岡(三浦貴大)との関係がギクシャクしていて、イライラが止まらない……。
家族を捨てるように家を出たのに、妻の恋愛や娘の悩みに首をつっこんでくる太郎。ただ、その根底にあるのが家族に対する深い愛情で、簡単に口にできない本心を理解しようと相手のことを真剣に考えたうえでの言動なので、彼に関わると思わず心を動かされてしまうのです。
お金も居場所もなく、誰よりも人生をやり直したいのは太郎自身のはずなのに、自分の得になることではなく、家族がしあわせになる方向に自然に動いてしまう とことんダメな男。その笑顔は、福の神といっていいかもしれません。
また、夏波と吉岡は、太郎という自由で風変わりな存在が現れたことによって、新しい視点で自分たちの関係を見つめ直すことができました。自分のやり方、価値観を貫くことにこだわっていた夏波は、父親との楽しかった記憶がよみがえったことで、自分が本来やりたかったこと、望む方向を思い出します。
恋愛は自分と相手の二人だけの問題になってきますが、その恋愛関係に進むまでのきっかけとしては、新鮮な視点や新しい考え方、誰かの協力が必要だったりします。登場人物それぞれに人生の葛藤があって、どう乗り越えていくか……。悩んでいると自分ひとりだけが……という気持ちになってしまいがちですが、家族でも友達でも、近くにいる人と深く関わることで心が軽くなったりすることがあります。
今年は照れずに、自分から大切な人にもっとぶつかっていって心温かく。観終わった後、素直にそう思える作品でした。
■作品情報『しあわせの記憶』
TBS-MBS系全国ネット 1月8日(日)午後9時~2時間SP
出演:渡辺謙 北川景子 二階堂ふみ 麻生祐未/千葉雄大 三浦貴大 山崎樹範 菅原大吉
脚本:大石静
制作:The icon 製作著作:MBS