一蓮托生の市場、マネーが世界で共鳴 | マクロ経済のブログ

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株式市場で注目されそうな経済のニュースを取り上げています。個人的な独断が多少入っていますが(^^)








 一見関係ないような出来事が、市場に大きな影響を与える事象が増えている。グローバル化の進展や産業構造の変化により、従来では考えなれないつながりが生まれつつある。複雑に絡み合う糸を解きほぐしていくことが、次の投資のヒントにつながる。

先進国と新興国の債券価格が連動、底流に日米欧の大規模緩和

 7月3日、6月の米雇用統計が好調な結果になったことを受け、初めて1万7000ドル台に乗せた米ダウ工業株30種平均。翌日には英国のFTSElOO種株価指数も1999年の最高値に接近し、翌週の8日にはインドSENSEX指数も最高値を更新した。

一斉に動く市場

 その数日後、ポルトガルの金融機関の経営不安をきっかけに、今度は世界の株式市場が一斉に下落する。10日に南欧の債券が大きく下落、欧州各国や米国の株価も売られ、翌日の日経平均株価も小幅ながら下落した。

 「世界がつながり過ぎている」。世界中の資産価格が連動する今の金融市場を、BNPパリパインベストメント・パートナーズ取締役の清川運用本部長はこう表現する。

 世界の市場のつながりを支配するものは何か。1つのカギが投資家のリスク許容度だ。投資家がリスクをとろうとする「リスクオン」になると株式がいっせいに買われ、「リスクオフ」になると逆に売られる。欧州債務危機時に強まったこうした傾向は、ここにきても変わらず続いている。

 みずは証券のシニアエコノミスト、北岡智哉氏は、投資家がどれだけリスクをとろうとしているか、リスクアベタイト指数という独自の指標で計算している。アペタイトは英語で「欲望」「欲求」といった意味がある。

米オプション市場の予想変動率を示すⅤⅠⅩ指数など、投資家の心理を敏感に映す17の数値を指数化したもので、高いほどリスク許容度が大きくなる。

 このリスクアベタイト指数は主要マーケットと強い相関がある。1に近づくはど相関が強いことを示すが、米ダウ平均との相関係数は足元で0.9に高まった。英国株との相関係数は0.7、ブラジル株は0.5などと、いずれも高い水準だ。

 リスクアペタイト指数は7月初めの時点で約85と、欧州債務危機のまっただ申だった12年初めと比べて約4割上昇、08年のリーマン・ショック前の水準まで戻した。米ダウ平均が最高値を更新したのとはぼ符号する。

 債券も奇妙な相関を見せている。三井住友アセットマネジメントによると、新興国の債券と先進国の債券の価格は長く逆の動きをしていたが、13年半ばから緩やかに連動し始め、足元で相関係数は0.2を超えた。相関係数は1なら全く同じ方向に動き、マイナス1なら真逆の方向に動くことを示す。0なら相関なしということになる。

 日米欧が大規模な金融綬和政策を続け、市場には大量の資金が流れ込む。「先進国の債券からあふれ出したマネーが利回りを求め、新興国の債券に流れ込んでいる」(バランスファンド運用グループヘッドの渡辺英茂氏)企業年金基金などの国内の機関投資家の間では、これまで新興国の債券を代替投資先の1つとしてとらえてきたが、先進国・新興国という区分けをなくし、外国債券としてひとくくりでとらえるところが増えているという。

 リスクオンとリスクオフが激しく入れ替わる世界の金融市場。マーケットを支配する投資家のリスク許容度をいち早く知るには、どうすればよいか。市場では様々な試みがある。

投資家の心を測る

 米モルガン・スタンレーやヘッジファンドなどでトレーダーを13年間務めた岡田克彦氏が立ち上げたマグネマックス・キャピタルマネジメント(大阪市)。最近、ここに多くの投資家があるデータを求めて尋ねてくる。

 日々配信される世界の金融ニュースを集め、膨大な言葉のビッグデータから投資家の心理状態を推測した「センチメント指数」。マーケットに肯定的な言葉と否定的な言葉の数の差などを基に指数化した。数値が高いほど市場のセンチメントが改善し、投資家のリスク許容度が高まることを示す。

 このセンチメント指数は世界や日本の株式相場と、ほぼ連動してきたという。だが今年に入って、変化の兆しも出ている。相関が薄れ違う動きをするケースが増えたのだ。

 背景には奇妙に上がり続ける世界の株価や債券に投資家が不安を感じ始めたことがある。相場が上昇を続ける―方、「こんな状況が続くのか疑心暗鬼の声を拾ったニュースが頻繁に流れるようになった」(岡田氏)。投資家の心の揺らぎは今後、実際の相場にも影
響を与えるかもしれない。

 世界の金融マーケットは人やモノの動きを上回るぺ-スで一体化している。様々な資産が同一方向に動く状況では、分散投資などのリスクヘッジは限界がある。「つながり過ぎた市場」が続けば、相場予測やリスク回避の手法も様変わりする可能性がある。