シェールガス採掘で出る大量の廃水が問題 | マクロ経済のブログ

マクロ経済のブログ

株式市場で注目されそうな経済のニュースを取り上げています。個人的な独断が多少入っていますが(^^)

マクロ経済のブログ

マクロ経済のブログ

世界のエネルギー地図を塗り替えつつある「シェール革命」。一方で深刻な水問題を抱えている。シェールガスやシェールオイルの産出量が急増している北米では、掘削に使う大量の水の確保や排水の処理が大きな課題に浮上。規制強化の動きの一方で、新たなビジネスチャンスも生み出している。

シェールガス・オイルは頁岩(けつがん=シェール)層と呼ばれる固い岩盤に含まれる。水を高圧で注入して割れ目を生じさせる「水圧破砕(フラッキング)」法で採取する。1本の井戸を掘るのに使われる水の量は1500万~3000万㍑。場所によっては4500万㍑以上使うケースもある。

問題となるのは、注入した水が、ガスなどとともに地表に戻ってくる「フローバック」と呼ばれる廃水だ。地下水や土壌の汚染が進めば、将来的に米国の主要輸出産業である農作物への悪影響は避けられないとの指摘もある。

ガスや石油の回収率を上げるために少量の砂や化学薬品を見ずに混ぜていることも周辺住民の不安を増幅させている。米バーモント州は昨年5月、フラッキングを禁止する州法を制定。

ニューヨーク州も一時的にフラッキングを凍結した。欧州でも農業大国のフランスがフラッキングを禁止するなど規制は広がりつつある。

フラッキング規制を受け企業も技術開発に乗り出した。米GEは廃水を蒸留して塩分や添加物などを取り除く方法で、最大100%の排水が再利用可能なシステムを開発。トレーラーに搭載できる可搬型も投入した。仏ヴェオリア・ウォーターは蒸留方式に加え、逆浸透膜を使う手法も実用化した。

ベンチャー企業も水処理事業に相次ぎ参入する。資金需要が強く、「米国の提携研究所から新技術やベンチャー企業の紹介があり、出資も可能性の1つとして検討している」と三菱商事(8058)の山東執行役員は明かす。

12年に1000億円だったシェールガス・オイルの水処理サービスは2020年までに2000億円規模に拡大する可能性もある。

水を全く使わない新たな掘削技術も登場した。カナダのガスフラック・エナジーサービス(アルバータ州)は、水の代わりに液化石油ガス(LPG)を使う独自の手法を開発。カナダ西部や米テキサス州、コロラド州などで2000回以上の「ガス・フラッキング」を実施した。

LPGは水よりも表面張力が低く、ガスや石油の流れを妨げないため、回収量が倍増するケースも珍しくないと言われている。

業界では窒素を使ったフラッキング手法も開発なども進むが、いずれもコストが割高なのが課題。ただ、開発ブースで水の廃棄コストも年々上昇しており、採算面からも再利用のニーズは高まっている。