中国企業、大幅減速、昨年2.6%増益で4年ぶり低水準 | マクロ経済のブログ

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株式市場で注目されそうな経済のニュースを取り上げています。個人的な独断が多少入っていますが(^^)

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中国企業の業績が低迷している。2012年12月期の上場企業の純利益の前の期比伸び率は2.6%にとどまり、リーマン・ショックのあった08年12月期以来4年ぶりの低い伸びとなった。

海運や鉄鋼、セメントなどで供給過剰が深刻になり、多額の最終赤字を計上した。株価は年初来の安値水準に下がっており、上場企業の業績回復の足取りは鈍いとの見方が広がっている。

 中国企業の決算期末はすべて12月末で、上場企業は4カ月以内に決算を開示する義務がある。

 中国証券報のまとめによると、4月末までに12年12月期決算を発表した2469社の合計純利益は約1兆9600億元(約31兆3600億円)。伸び率は11年12月期実績(同11.6%増)から大幅に減速した。売上高は同12%伸びたが、過当競争による販売価格の下落と人件費上昇や原材料の値上がりなどコスト高が響いた。

 日本経済新聞が銀行など金融を除くベースで集計した純利益は前期比14%減。製造業や金融以外のサービス業の業績不振が際立っている。

 特に業績が厳しかったのが鉄鋼やセメント、海運など供給過剰業種だ。国有海運最大手の中国遠洋は海上運賃の大幅下落で95億元の最終赤字を計上。2期連続の赤字となったことを理由に上海証券取引所は「上場を廃止する可能性がある」と投資家に警告した。鉄鋼では大手の鞍鋼や馬鞍山鋼鉄がそれぞれ40億元前後の最終赤字となった。

 鉄鋼や海運、セメントなどはリーマン・ショック後に中国政府が打ち出した4兆元の景気対策をきっかけに多額の設備投資を実施した。一時的に利益を伸ばしたが、公共投資の息切れで国内の建設需要が低迷。欧州債務危機で輸出も急減速し、供給過剰が一気に深刻化した。

 中国政府は共産党大会を控えた昨年9月、地方政府による計1兆元のインフラ投資を認可し、景気てこ入れ姿勢を鮮明にしたが、地方政府は必要な資金を銀行から想定通り調達できず、13年1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比7.7%増と再び減速。今のところ公共投資による景気浮揚効果は限られており、鉄鋼やセメントなどの需給は予想ほど改善していない。

 中国の上場企業は国有銀行など金融業が全体の純利益の約半分を占め、金融以外も大半は資源や鉄鋼など重厚長大分野の国有企業。市場では「ソフトウエアや医療・バイオ、IT(情報技術)など新興産業が中国でほとんど育っていないことが、上場企業全体の利益が伸び悩む要因」(銀河証券の孫建波チーフ・ストラテジスト)との声が出ている。

 中国企業の業績は株式相場低迷の最大の理由になっている。上海総合指数の26日終値は2177と終値ベースの年初来安値を更新。07年10月に付けた過去最高値(6124)のほぼ3分の1にとどまる。昨年末と比較すると上海総合指数は4%安。日経平均株価(同34%高)などと比べて一人負けが鮮明だ。


回復の足取り鈍く インフル・節約令、消費に影

中国上場企業の2013年12月期は回復に向かう見通しだが、足取りは鈍くなるとの予想が多い。国有企業の供給過剰問題が解決していないうえ、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の流行拡大や習近平総書記が打ち出した節約令が消費に打撃を与えるとの見方が強まっている。

 北京市に拠点を置く大手投資銀行の中国国際金融は13年12月期の上場企業全体の純利益について「前期比9%増」との予測を発表している。金融を除くベースでは7.6%増となる。中国景気は昨年秋を底に回復しているが足取りは緩やかで、消費面で不透明要因が多いためだ。

 北京ダックの有名店、中国全聚徳集団は26日、13年1~6月期の純利益が前年同期比10~40%減りそうと発表した。同社は「公務員の接待需要が落ち込んでおり、鳥インフルエンザが悪影響を与える」と説明する。飲食チェーンの北京湘鄂情集団が25日発表した13年1~3月期決算は6840万元の最終赤字に転落した。売上高は前年同期比33%減と大幅に落ち込んだ。

 海運や鉄鋼も回復の足取りは重そうだ。中国遠洋は「燃料費の高止まりが続いており、需給がどの程度改善するかどうかも楽観できない」とする。