#不本意アンロック
1.はじめに HKT48のメンバーが自ら企画・プロデュース・脚本・演出・衣装・美術・音響・映像・配信・広報・出演を担う、HKT48と劇団ノーミーツによるオンライン演劇公演プロジェクト「HKT48、劇団はじめます。」(以下、劇はじ)。 そのうち2021年2月20日から2月28日にかけて上演された劇団「ごりらぐみ」による「不本意アンロック」を観劇しました。 この「不本意アンロック」にはプロデューサーとして武田智加ちゃん(以下、もかちゃんと記載)そして脚本として豊永阿紀ちゃん(以下、阿紀ちゃん)がプロジェクトに参加。だから、見ることにした。 2人とも裏方なので役者として本番には出ないけれど、もかちゃんはプロジェクト全体を取りまとめ、そして阿紀ちゃんは一から物語を作り上げるべくもがきながら苦しみながらも4ヶ月間このためにたくさんのことを犠牲にして取り組んできた成果を見たかったのだ。 これまでのノーミーツ作品にも触れてこなかったので、この劇はじプロジェクトのもう一作である「ミュン密」の「水色アルタイル」と並んでオンライン演劇は初見だった。 オンライン演劇だと途中でだれたりしないだろうか?という不安があったが、チャット欄や劇中での劇場での演出、また開場中の「MORE MORE 不本意アンロック」、そして前説の鍵屋姫をはじめとしたたくさんの趣向が凝らされており、そのような不安は杞憂であった。 2.作品全般のこと 水色アルタイルはシンプルでわりかし気軽に見れるものだったが、この不本意アンロックはより示唆に富みまた細部にわたって数多くのこだわりと伏線を込めて綿密に計算された作品である。だから、見た者には考察がはかどるような内容である。ネタバレありの感想が言えるようにLINEのオープンチャットも開設されていたが、なかなかに盛り上がっていた。 テーマ自体は一見するとエニシという謎の人物が未来からやってくるというある種非現実的なものにも思えるが、一方でそれが現在とかみ合ってこの物語の主題を突き付けた時、見ている者に今我々が置かれているこの時代背景とも相まってそれぞれの視点で考えさせるような作品である。 またこの作品の世界観と、主題歌「カギトナル」が非常にうまくフィットし、また大きな余韻効果を生んでいた。 そして、これまたこれだけで音源化してほしいくらいにはとてもいい曲なのだ。阿紀ちゃんの書いた歌詞も、坂本愛玲菜ちゃんの歌声もそれぞれとても素敵。 本作品はで期間中合計10公演上演されたが、公演ごとにさまざまな楽しみがあった。 朱流セイルのクセの強さだったり、アドリブもそう。また、中日を挟んで5年前の仕事帰りのシーンが変更になったり。 特に前者の秋吉優花ちゃんのクセの強さは、ハイライトの1つである。そして部屋の小道具では、写真、名刺、チラシ、習字など本番で見えるところもあれば見えないところも含め細かいこだわりを感じ取ることができ、飽きることはなかった。 また登場人物それぞれに物語があるから、それぞれに焦点を当てて見る楽しみもあった。 本編ではそれぞれについて触れる時間がなくても、そのバックグラウンドを考えながら感激するのも楽しいものである。 役者で言えば、後藤佳役の堺萌香ちゃん(以下、オイモチャン)の演技が思っていた以上に良かった。これまで演技をやってみたい気持ちがあったもののなかなか自分から言い出せずにいたオイモチャン。これがいいきっかけとなってくれればいいな。 また、暮井周役の神志那結衣ちゃん(以下、じーな)の殺気迫る演技も印象的。もともと演技経験はHKTの中では豊富なわけで期待は高かったわけだけど。演者全体に言えるのは、稽古から本番までの成長はもちろんだけど、本番期間中の成長や変化が目覚ましく目をみはるものがあったということだ。事前に不本意アンロック公式Twitterや公式Instagramに稽古動画が上がって、初日公演と見比べればそれを実感できる。 確かに本番ギリギリになっての仕上がりっぷりは素晴らしいと思うけれど、やはり本番が演者をもう1段階も2段階も成長させるのだなと。 それはこれまで実際の舞台では幾度となく感じていたことだけれど、目の前に観客がいなくて直に反応を感じることができないリモート演劇においてもそれが同じような効果をもたらすことはまた1つ新たな発見でもあった。 もっと時間があったら個々にもっと踏み込んで欲しいという感じだったし、アナザーストーリーとして過去の抱えたものやその後の展開ももっと深く見たい気持ちになった次第。 このコロナ渦において徐々にリモートが広まってきたこの時代において、ネット社会における「誤解」「すれ違い」を描いたこの作品。否応なくこの時代においてはリアルだけではなく、それ以外の選択肢としてリモートが必要になってきている。実際のところは当初はリアルがリモートに代替されるのではないかと思ったりしたけれど、リモートはリアルには及ばない。また、これは日本社会の旧来的な体質が大きいけれど思っていたほどフルリモート化しなかった。また、リモートに移行できるのにそうならなかった部分も多い。 今だからこそ生まれた作品とも言えるし、今だからこそより考えさせる作品でもある。 自分の生きている時代においてあらゆる選択が機械ではなく自分の意志に基づいて行うことができることに改めて感謝して。 そして、これからも自分の気持ちに正直に生きて、公私共にいろいろなチャレンジを続けて生きたいと思う。その過程で仮に道を踏み間違ってしまっても、再チャレンジできる時代でありますよう。 作品として面白く、また改めて人との関わりについても考えさせられた。 私も、一人では生きていけないのだから。 3.このプロジェクトに関わったメンバーのこと 後ろに心強い劇団ノーミーツのバックアップがあったとはいえ、HKT48のメンバーが作品をゼロから上演まで作り上げ、そしてそれを増幅させていった4ヶ月間のプロジェクト、そしてこの作品。 最初は「文化祭のような、遅れてきた青春」のような一種の甘い言葉に誘われて始まったようだけど現実はそうはならず、その大変さや日々苦闘する様子はドキュメンタリー映像やビデオ日記、稽古動画を見ても十分に感じられた。 そんなことをやっていたからこそ、「こんなこともできるのね!」とか「こんな才能があったのか!」という新たな発見ができて良かった。 特に裏方メンバーは何をどうやってどういう段取りでやって、上演まで漕ぎつければいいか経験もなくわからない中で、自分から主体的に動いて作品を作り上げたことはかけがいの無い経験であり、これまでの活動を見つめ直すきっかけにもなったと思う。 そんな作品を作り上げたメンバーの皆さんには心から尊敬するし、素敵な作品を届けてくれてありがとうという気持ちでいっぱい。 この経験を今後のグループでの活動にいろいろな形で生かしてほしいし、どんな変化を見ている側に感じさせてくれるのか楽しみである。 4.豊永阿紀ちゃんのこと 脚本家としてこの作品をゼロから作り上げた阿紀ちゃん。そんな阿紀ちゃんが普段から思っていること・考えていることの片鱗を垣間見ることができる、そんな作品だった。特にプロローグの展開は素晴らしいし、知らず知らずのうちに作品の世界観に自然と引き込まれていった。 本番初日を見て正直なところ脚本家として日々奮闘する姿を見聞きしては阿紀ちゃんがなんだか遠くに行ってしまったというような気持ちになってしまったりもした。ただ実際本番を見て役者のセリフを聞いていると、本の中には阿紀ちゃんらしさがいろいろなところに散りばめられており、それが杞憂であったと思ったしまたなんだか安心できた。 また脚本の入稿が期限より遅れてしまったのはそれはそれとしてあるけれど、また公式ブログをはじめとしていくらこれまで文章を褒められることが多かったとはいっても脚本自体初めての経験だったわけで。それを時間がない中で組み立てて作り上げ、そして1つの形として完成させたのだから本当にそれだけでもすごいし、ただただ尊敬の念を抱くばかりだった。 私にはとってもじゃないが、できないこと。しかも、本編だけじゃなくてコラボ企画とか、千穐楽の追加もあったわけで。 そして、何よりもスタートはこのプロジェクトで脚本志望者に与えられた課題作品として阿紀ちゃんが書き上げた「不可逆の青」。 https://twitter.com/gekihaji_uhouho/status/1360891540189507584?s=20 tps://twitter.com/gekihaji_uhouho/status/136089404949 /#ごりらぐみ オリジナル短編ドラマ🎬 『不可逆の青』その① \ 初めて書いた脚本が、初めて形になりました。5人に増えた彼女たちの青。ぜひ、覗き見してください。 脚本:豊永阿紀✍️#劇はじ pic.twitter.com/gz1UXzQmv1— 『不本意アンロック』公式 (@gekihaji_uhouho) February 14, 2021 /#ごりらぐみ 短編ドラマ🎬 豊永阿紀オリジナル脚本 『不可逆の青』その② \ 環境の変化は誰にでもあるからこそ、役を身近に感じました! ( 水帆 / 秋吉優花 ) THE 青春だなぁと浸りながら、セリフが博多弁というのもあり凄く自然体に演じられました✨ ( 望 /神志那結衣 )#劇はじ #HKT48 pic.twitter.com/9dDOcn5gEK— 『不本意アンロック』公式 (@gekihaji_uhouho) February 14, 2021 /#ごりらぐみ オリジナル短編ドラマ🎬 『不可逆の青』その③ \ 最後までご覧いただき、ありがとうございました! いかがでしたか? ぜひコメントで皆さんの感想をお聞かせください😊 豊永阿紀が脚本を手がけたオンライン演劇「#不本意アンロック」 いよいよ2/20より上演スタート🗝✨ pic.twitter.com/bAtTnqlggK— 『不本意アンロック』公式 (@gekihaji_uhouho) February 14, 2021 この作品でも不本意アンロックでもそうだけど、阿紀ちゃんの言葉のセンスの良さと巧みさが見えるし、そして核心となるテーマまで話を持っていくにあたっての転換も心地よい。また観る者の想像力を掻き立てられ、いろいろなことを考えさせるスペースを与えてくれ息苦しさがない、そんな作品である。 https://twitter.com/gekihaji_uhouho/status/13608940494949こちら側が出来上がりを待っている間からずっとハードルを高めに設定して楽しみに待っていたけれど、その期待値を軽々と超えていくようなクオリティの作品を届けてくれた。その過程では自分のコンプレックスや苦手なこと、これまで避けてきたことにも正面から否応なく向き合わざるを得なかったわけだけど、それを乗り越えたように思う。 幾度となく逃げたくなることがあっても、たくさんたくさん自分の苦手なことにも向き合って作品を届けてくれてありがとう。 今後、この経験がどう生かされたか感じる日も楽しみである。 そして、この作品を見るともっと他の脚本を見てみたいとも思ってしまった。 1本書くのはものすごいパワーとエネルギーを必要とするクリエイティブな作業なわけで、簡単に軽々しくそんなことを言うことはとってもじゃ無いけどできないけれど、この作品を見るとそんなことを期待してしまうほどに素晴らしいモノだったように思う。 1作目ではこれまで考えてきたことをスーッと言葉に乗せることもできただろうけれど、2作目行こうとなればそう言うわけにもいかず自分で一から新たな世界観を構築しなければならないわけで。 https://twitter.com/gekihaji_uhouho/status/1360891540189507584?s=20そんな作品も見てみたいなあと思わずにはいられなかった、そんな出来栄えだった。 これまで阿紀ちゃんのことが好きでいろいろな活動を見てきたけれど、これまで表に出てこなかった潜在能力を今回でまた見た気がして、改めて阿紀ちゃんの凄さを感じたそんな作品であり、見て良かったと心から思う。 htt 3.武田智加ちゃんのこと ://twitter.com/gekihaji_uhouho/status/13608940494949867地頭江音々ちゃん(以下、音々ちゃん)とともにプロデューサーとしてこの作品を最初のスタートから公演が終わるまで全てに関わって作品を作り上げたもかちゃん。 この作品を作る過程を見ながら、改めてもかちゃんの魅力をたくさん感じとれたそんな期間となった。 もともと議論が紛糾して物事が進んでいかないことにモヤモヤするようなせっかちなタイプということもあり、出たアイデアを次々と実際に行動に移して形にしていく様はまさに敏腕プロデューサーといった感じだった。 そんなところが様々な場面でいかんなく発揮されていて、それを実感することができた。 最も印象的だったのは段ボールで鍵制作で、これは素晴らしいアイデアだった。 / #ごりらぐみ メイキング動画🦍✨ 「段ボールで鍵制作、もかP」 \ 実はあの鍵穴は段ボールで、しかも手作りで作られていたんですね〜! もかPナイスアイデア☺️👏👏 宣伝広報 S#不本意アンロック #HKT48 #劇はじ pic.twitter.com/BppDefmOrj— 『不本意アンロック』公式 (@gekihaji_uhouho) January 28, 2021 https://twitter.com/gekihaji_uhouho/status/1360894049494986753?s朱流セイルのところでは、いいね数が増えていってその結果がその後の栗内に反映されたり、またコメント欄がバグる演出も惹きつけられられたし、日々の楽しみがあった。 それ以前に、そういう演出がオンライン劇場ZAでできることが素敵なわけだけど。 またもかちゃんが画像を作った朱流セイルの占いサイトも、完璧に今風に作り込まれているわけではなくて、少し時代を感じさせて緩い感じがまた趣深く。 本番期間に話を移すと、前説の鍵屋姫がハマり役すぎて。 前日に決まったようだけれど、後から思えばもかちゃん以外の選択肢はなかったんじゃないかと思えるぐらいに。 あれも公演の1つのハイライトであり、花を添えていたように思う。 それ以外にも濃密生卵とアベベのアカウントや、朱流セイルの部屋に貼られたQRコードを実際に読めるようにするなど、こだわりを持ったアイデアの数々を本当に時間がない中で突き詰めて実現させていき、本編の中だけではなくてそれ以外のところでも様々楽しめる仕掛けを織り込んで楽しませてくれた。 さらには、年賀状や栗内の名刺のデザインで見られるようにセンスも良いんだから、すごい。 そういう素晴らしいところと紙一重だと思うけれど、一方で自分でなんでもやっちゃったり、抱え込むところもあって。 もともとそういうところは感じていたけれど、また再認識して。 そういう姿を見ながら、私と重ね合わせたりした日々であった。 元来考え方が大人っぽいと言われていたもかちゃんではあったけれど、書類作成や各役職のスケジュール管理、ビジネスメールの送信など初めてするようなとばかりを経験し、デキる社会人としての経験値を一気に高めていって。 こんなこともやるんか…。 そして、こんなこともできるんだ…という驚きの連続だった。 この時期はまだ高校生だったわけで、そんなこともできるアイドルなんてそうそういないよ。 だからこそ、アイドルでありながらそれを知っていてこなせるもかちゃんはすごい強みを手に入れたと思うし、それを踏まえて今後のさらなる活躍にもより期待値が高まった次第である。 4.最後に メンバー側も応援する側もなかなか思うようにいかないことが多い中だけれど、これがあったおかげでアイドル活動に加えて、同時進行的に色々な姿を見ることができた。 こちら側も初めてのことであり、どういう形で見ていけばいいのか分からず、また途中もなかなか形が見えてこず戸惑いもあったけれど、終わってみたらとても見ていて楽しかった。 アイドルを応援するとは一言で言っても、ビジュアルとかパフォーマンスとかの表面的・一面的なところを見て応援しているわけではなく、もっと深い部分も踏まえて人間として応援していきたいわけで。 そういう面では、このプロジェクトにおいてはこれまではなかなか見えてこなかったそういう深層的な部分をより知ることができたことも良かった。 それぞれの役職で力の限りを尽くして、素敵な作品を作り上げて上演してくれたことに感謝。 4ヶ月間走り抜けたメンバーの皆さん、本当にお疲れ様でした。 そして、またこうやってメンバー主体で1から何かを作り上げていくものが見れる機会があればいいなと思う。 P.S.一番好きな一節は「ですが、実はこんな彼女もまた、一人のリンゴ農家だったのです。」