船戸与一「南冥の雫~満洲国演義8~」読了。ミッドウェー海戦からインパール作戦を描く。
 
陸軍と海軍は軍が出来た明治より不仲だったらしいがこの戦争で更に悪化する。大本営も戦況不利の真実は公にせず都合良く情報操作をする。挙国一致と言っておきながら上の人間が一番団結していないことが本当に腹が立つ。一致団結は日本人の美徳と言ってもいいのに、未曾有の時に何やってんだよと残念で仕方がない。
 
●敷島四兄弟
次郎は玉名克樹とクアラルンプールへ一旦戻った後スマトラ島へ。マラッカ海峡を横切ってラブハンルクへ渡り、そこから油都パレンバンに向かった。スマトラの南端ランボン湾から漁船でスンダ海峡を越えジャワ島のバタビアへ。その後ビルマ・ラングーンから再びマレー、そして再びビルマへ。陸軍謀略課の要請により破壊工作を受け持つ。そして次郎はインパール作戦の影響によりマラリアと赤痢に罹り絶命する。
 
四郎は満映の仕事でフィリピン・マニラへ向かう。その後、関東軍特殊情報課で情報分析の仕事を受け持つ。
 
三郎は少佐へ昇任し、関東憲兵隊から関東軍第二課へと転属。
 
●大東亜戦争
山下奉文司令官の第25軍はシンガポール制圧後、香港・マニラ・ミャンマーの首都ラングーンも制圧。オランダ軍は降伏文書に署名、アメリカ、フィリピン軍総司令官ダグラス・マッカーサーはマニラ湾のコレヒドール島要塞から脱出。これにより戦意喪失したバターン半島の米比軍は降伏する。
 
石油資源の要衝スマトラ島のパレンバンを占領した第16軍は、ジャワ島攻略に着手、蘭印軍司令官は降伏文書に署名する。今村均司令官はジャワ攻略後オランダからの独立運動を続けていたスカルノを解放させ、軍政協力を依頼する。
 
ビルマ侵攻。エナンジョン油田制圧、マンダレー、ミートキーナ占領。英軍はインドのインパールへ撤退。
 
海軍、ガダルカナル島へ上陸も苦戦し撤退し、アッツ島も全滅。マキン島タラワ環礁の守備隊全滅。マーシャル諸島のブラウン環礁守備隊も全滅。アメリカ軍はサイパン島へ上陸。
 
連合艦隊司令長官・山本五十六大将戦死。
 
学徒動員体制を確立。
 
東条首相、東京で大東亜会議開催。
 
インパール作戦を開始するも壊滅状態に陥る。
 
●ヨーロッパ情勢
ドイツのヒットラーはモスクワ攻撃の失敗で東部戦線を停止、バクーの油田地帯を奪取するためのブラウ作戦予定。その後の独ソ戦、ドイツはスターリングラードで敗北。ドイツ・イタリア軍、北アフリカのチュニジア戦線でも降伏。ソ連軍、レニングラードを奪還。ヨーロッパ戦線、ソ連軍はクリミア半島のセバストポリをドイツ軍から奪還。
 
ルーズベルトとチャーチルのカサブランカ会談。
 
ブラジル、ルーズベルトの要請を受けて枢軸国側へ宣戦布告。
 
連合軍、イタリアのシチリア島へ上陸。その後ムッソリーニは首相解任を迫られ可決、逮捕される。
イタリアの新首相パドリオ元帥はファシスト党解散を命じる。
 
ルーズベルト、チャーチル、蒋介石のカイロ宣言。これは対日戦が協議内容だったのに対し、後日ルーズベルト、チャーチルとスターリンによるテヘラン会議が行われる。対独戦が協議される。
 
連合軍、ノルマンディー上陸作戦開始。
 
●アジア情勢
インドの革命家チャンドラ・ボース、亡命先のドイツから渡日し東条英機と面会。東条はインド独立のための無条件援助を約束する。
 

 

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