船戸与一「炎の回廊~満洲国演義4~」読了。
 
昭和9年(1934年)、執政・溥儀が皇帝となり満州国は満州帝国へと移行。これに始まり二・二六事件迄を描く。この間も日本は揺れ動く。斎藤実内閣総辞職~岡田啓介組閣。相沢事件が起こり二・二六事件と青年将校達の蹶起がついに起こる。
 
支那も情勢は移り変わっていく。共産党の抗日部隊、楊靖宇率いる人民革命軍の台頭。そして蒋介石は少しずつ抗日に向けての準備を進めていく。
 
欧米の情勢も目まぐるしい。
南米エルサルバドルによる満州国承認。これはアメリカが満州への投資の為の裏工作。ローマ法王省も満州を正式認証。
 
ロシア、スターリンのユダヤ人への弾圧から逃れるためユダヤ人のハルビンへの流入や、欧州大戦で大打撃を受けたドイツの矛先はユダヤ人へと向けられ、それがユダヤ人撲滅を叫ぶナチス党を生み出した。ドイツで発布されたニュルンベルグ法。ユダヤ人は二代前まで遡ってユダヤ系でないことを証明しないと国民としての権利を剝奪されるというユダヤ人にとって残酷な法律。
 
1935年インド統治法発布決定。インドのある程度の自治を認めながらイギリスの絶対的権限強化したもの。
 
スペインで社会党、共産党、共和派など八政党による反ファシズム人民戦線協定が成立、マヌエル・アサーニャを首班とする内閣が誕生。しかしこの内閣はコミンテルンの支援のもとに誕生、ヒットラーやムッソリーニはこの機に一段と独裁化を推し進める可能性がありヨーロッパの危機が懸念される。
 
敷島四兄弟も満州の地で時の渦に巻き込まれる。特に次郎の人種を越えての救出行動に胸を打たれる。5巻はどうなっていくのか?楽しみだ。

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村