宮部みゆき「理由」読了。

前に読んだ「模倣犯」がスゴすぎた。本に限らずだと思うが、衝撃的な作品に出会うとその世界から中々抜け出せなくなる。模倣犯ロスになっていたのだ。しかしそこは流石です。模倣犯ロスに陥ってた自分にこの本、初めは中々入り込めなかったがページを進めるごとにのめり込んでしまい、気付けば読み進める手が止まらなくなってしまった。

 

東京の高級高層マンションで一家4人が殺される事件が起きた。捜査を進めるとこの4人はこのマンションの住人とは別の人々だと分かる。この事件から次々と発覚する様々な事実。。。

 

宮部さんは日本の制度や体制にメスを入れると言う想いの元、ミステリーの手段を用いて描いていると思う。「火車」はサラ金問題だった。この「理由」は本書から引用すると不動産流通の問題、裁判所の競売制度の問題、法律の隙間で活動する占有屋の問題など。

 

宮部さんの小説は最高のエンターテインメントとして多くの読者を引き込み、読者に様々な日本の問題を分かりやすく、そして面白く投げ掛ける。この面白くが非常に重要ですね。表現者としてあるべく姿だなと思う。尊敬します!

 

宮部さんの小説は多数の登場人物の人生を細かく描写する。この登場人物の様々な人生ドラマが物語をよりドラマティックに彩る。今回の「理由」では、殺されてしまった4人の、現在に至る迄の人生ドラマに泣けてきた。犯罪をしてしまった全ての人々が凶悪ではない。犯罪を起こすことはいけないことだが、その元凶には何があるのか?合わせて知ってもらって一緒に考えて欲しい、と言うのが宮部さんの想いなのかなと感じます。

 

「理由」素晴らしかったです!

 

 

 

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