“ CLUB : Cats hunt ”
ここ…だな…
やっぱり入りづらいけどっ……
ここまで来たんだ…
いざっ…
\\カラン…コロン…//
乾いたベルが、店員に俺の来店を知らせる。
「いらっしゃいませ…お一人様…ですね?初めての来店でございますか?」
入り口のドアの正面にある受付らしきカウンターから店員が聞く…
「はぃ…ぁの…ネット見て来たんですけど…」
「…承知いたしました…隅から隅までご覧いただけましたでしょうか?」
「…はぃ……」
「…合言葉を…ご存知ですか?」
合言葉……たしか……
「……迷い猫を探してます…」
「…かしこまりました。…お探しの猫ちゃんが見つかりますように……こちらへどうぞ…」
左側の扉へと誘導された。
「ご新規1名様、ご案内お願いします!」
扉を開け、中のスタッフへ声を掛けた。
「…詳しいメニューは担当の者から説明させていただきます。……それではごゆっくり…」
パタンと扉が閉まった。
そして暫し待つ…
…ここは、繁華街の一角にあるビルの2階。
表向きは、普通のクラブ。
だけどウラ側は……
『…ぉ、お待たせしましたっ!ご案内いたします♪』
「ぁ、はっ…はぃっ…」
現れたのは…
小柄で華奢な子…
少し長めのサラサラな髪…
なにより顔が可愛いっ…
いきなりタイプの子、来たぁ…///
この店、アタリかもしれないっ///
『こちらへどぉぞ♪』
「ぁ…はぃ…///」
こっ、個室っ!?
完全に密室ではないけれど…
テーブルごとにパーテンションで仕切られてて…
なんか緊張するっ…
なんとなく、ソファに浅めに座る…
『ではメニューの説明をさせていただきますね♪』
そんな俺に、キミは隙間なく座るんだねぇっ…///
「はいぃっ…」
『んふ…お客さま、緊張してます?』
「あっ…いやっ…少しっ……初めてだからっ…こういうお店入るの…」
『…じゃあ…勇気いったでしょ?』
「…です…ね…でも…もうこういう所しか頼れなくて…」
『大丈夫ですよ♪きっとお探しの猫ちゃん、見つかりますから!誠心誠意、御協力いたします♪』
「あ…ありがとう…ございます…///」
『リラ〜ックスですよ♪』
「は、はぃ///」
『んふふ♪あ、説明ですよね!ん〜と…』
タブレットを使って細かく教えてくれてる…
……手…綺麗だな…
指…細いし長いし…
骨ばった感がまた…イイ…
『…何かご不明な点はありますか?』
「……え?」
やべ…
手に見とれてて聞いてなかった…///
「あ…えっと…その……」
『もぉぉ…聞いてなかったんですかぁ?』
「ご、ごめんなさいっ…」
『しょうがないですねぇ…いいですか?今度はしっかり聞いててくださいね?』
そう言って、俺の腕に腕を絡ませっ…
いきなりのボディタッチタイムっ…!?
『初めてのご来店なので、お客さまは1時間のコースになります。もちろん延長も可能です♪ドリンクは飲み放題、ソフトでもアルコールでも構いません。それから…色んな子がホールを回ってますので、たくさんお声掛けください♪』
「…は、はい…」
『あと…ブース内では、お触りは禁止です♪』
「え…あ、そうなんですか……え、でもコレは?」
絡められた腕に視線を移す…
『んふ♪こちらからなら問題なしです♪…ぁ、でも気を悪くされたのなら…』
「いやいや全然っ…むしろありがとうございますっ///」
『へへっ…よかったぁ♪』
「……///」
…やば…どうしよ…
この子、超絶可愛い…///
『あ、それでもし、お触りしたいな〜って子が見つかったら、このタブレットで、ココ、タップしてください。その子に予約がなければ、別のお部屋へご案内いたしますので♪』
…別の…部屋…
そこではたくさんお触りできる?
…上手くいけば、ほんとに俺の目的が果たされるかもしれないんだ…
『……以上ですけど…今度はしっかり聞いてくれました?』
「はいっ!」
『ふふっ♪では早速1人目をお連れしますね♪えっと…どの子にします?』
タブレットで、スタッフのプロフィール画面を見せてくれた。
けど俺は…
…もう決めてる。
「……あ、貴方がいい……です///」
『………ぇ?』
「…貴方ともっと話したい…」
『あ……ぁりがとぉございます///』
…指名なんてされ慣れてるだろうに、そんなに照れるなんて…
初々しさがなんとも可愛い……
『……嬉しいな///久々のご指名だ♪』
「え、嘘…そう…なんですか?」
『ボクまだ新人なんです…プロフィールのとこも…ほら、こんなにちっちゃいから、なかなか目に留めてもらえなくて…』
「…ほんとだ…」
『……ぁの…本当にボクで…いいの?』
「はい!…貴方がいいです!」
『…///…ぁ、ドリンクお持ちしますね///何がよろしいです?』
「あ、じゃあビールを…」
『かしこまりました♪…ボクも戴いても?』
「もちろんです!一緒に飲みましょう!」
『わ〜い♪ありがとぉございまぁす♪』
ぴょんと立ち上がり、一旦ブースを出ていった…
ほんとに可愛い子だ…///
…はぁ♪
1人になって、軽く深呼吸…
…足を踏み入れてみれば、案外…イイ所かも。
そう、ここは……
表向きは普通のクラブ。
だけどウラ側は…
合言葉を見つけた人だけが入れる、
ゲイのためのホストクラブ…
様々な闇を抱えた男たちが、癒しを請うべく訪れ、お気に入りのネコを可愛がる場所…
そんな場所に足を踏み入れた俺…
…ある目的を達成するためなんだ。