-Jside-







よっしゃぁ…///


やった……やったぞっ……


ようやくっ…


念願の、2人で買い物、に行ける!!



切ったばかりの携帯を握りしめ、思わずガッツポーズをしてしまった。


だって…休日をあの人と過ごせるなんて、夢みたいで…


…影の努力者であるあの人を、ずっと尊敬してた。


その尊敬は、いつしか憧れに変わって…


そしてその憧れが、恋、というものに変化するまでにそう時間はかからなかった。


…まぁ、認めるまでには結構な時間を要したけど。


認めてからは…あの人の何もかもが…もう…なんて言うか、愛おしすぎて…


そんなあの人と、明日…デート…って言っちゃうよ、もう。だって好きな人と過ごすんだもん。デートじゃん///


しかもっ…


半ば強引にだけど、家に行く約束まで出来て…


嬉しすぎるっ///


一緒に買い物して、家行って……


それから……


それからどうしよ…


勢いで家に行きたいって言っちゃったけど…


一日中あの人と過ごせて、その流れで家に行ったら俺……


…感極まって押し倒してしまうかも……



……ダメダメ!


それだけは絶対にっ…


んなことしたら、あの人……


俺らの前から消えてしまうかもしれない。


…壊しちゃいけないから……


俺たちの場所を。


守んなきゃいけないから……


俺の、この恋心は、絶対に知られちゃいけないんだ。







    *     *     *








「着いたよ〜準備オッケー?」




昨日の夜、メールで送られてきた住所に到着。


…ここが大野さんが住んでるとこかぁ…なんて感激しながら、到着を知らせるメールを送った。




【すぐ行く】




って返信がきたから、車を降りて外で待つ。


…はぁ…///


どうしよ///


これから大野さんと2人っきり…///


ドキドキそわそわ…


心臓がやべぇっ///





『……ふぁぁ……ぉ〜す…お待たせぇ…』





来たっ…





「…ふふっ……ぉはよ…」





でかい欠伸をしながらやって来た大野さんに、思わず笑ってしまった。


…自分だけが緊張してるってことに。


…当然だよな。


大野さんは俺のこと、なんとも思ってないだろうから。


ただのメンバーの1人としか…





『…何笑ってんの?』



「や、でっかい欠伸だな、と思って。」



『…せっかくのオフなのに早起きしたからな。』





俺との買い物が楽しみで早く目覚めちゃったとか?





「何時に起きたの?」



『ん?…10時半。』





…なわけないか……





「さっきじゃんww…それは早起きとは言わない。」



『…うっせ…ほら、行くぞ?』



「ぁ、うん!」





まぁ…しょげててもしょうがない。


せっかく2人っきりなんだ。


楽しまなきゃ勿体ない!!






     *     *     *






「あ♪いいじゃん!似合うよ、これ!」





行きつけの店に入り、見て回る。




『…な、なんでオレに合わせんだよ!おめぇの服、買いに来たんだろ?さっさと選べって…』





…べつに俺……今これといって欲しい服はない。


夏物だって…まだまだ着れるのは沢山ある。


そういう口実を作ってまで、2人で休日を過ごしたかった、なんて、大野さんには分かんないだろうな…





「…あれ?大野さんが選んでくれるんじゃないの?」



『うっ……い、一からはムリだっ…何枚か候補挙げてそん中から選ぶなら…できる!!』



「そ?…じゃあ…ちょっと物色してくる。…大野さんもついでに何か買ったら?」



『ん〜……そぉだねぇ…なんか探してみる〜…』





大野さんは…ゆっくりと店内を歩いて…


立ち止まって、ディスプレイしてある服を眺めたり…


Tシャツを手に取り、広げてみたり…


…って、俺、大野さんの観察ばっかりで、服、選んでない…


…だってそもそも買うつもりなかったから…


あ…こっち来る…


なんか良いもの見つかった?


ずんずんとやって来て、持ってた服を俺に合わせてきた。




『おぉ…良いじゃん♪この色、良くない?おめぇ、顔が派手だから、こんなシンプルな服でも映えんのな♪』




白地から淡い水色…そしてコバルトブルーにグラデーションしてる、シンプルなTシャツ。




『夏っぽいね♪んでぇ…この白のダボッとしたやつ履いてぇ…日焼け防止にこのジャケット羽織ればぁ…ほら!爽やか〜♪良いねぇ…我ながらイケてる♪』





一からはムリ、とか言ってたくせに。


…自分のを選んでたのかと思ったのに。


しっかり俺のを…


全身コーデで選んでくれてた…


今は俺だけを…みていてくれてる…


嬉しすぎる…///






「…じゃ、これにしよっと♪」



『えっ…これにすんの!?オレのセンス、あてにしちゃうの!?』



「うん。だって俺も、良いと思ったから。それに何より……」





大野さんが選んでくれたから。


俺だけのための、コーディネート…


買わない選択肢はないよ。





『何より…なに?』



「ぁ……なんでもない!それより大野さんのは?何か良いの見つかった?」



『ん〜とねぇ……さっきおめぇが似合ってるって言ってくれたやつ…に、しよっかな…』



「あ、あれで良いの?」



『え…だって似合ってたんだろ?』



「ぅ…ん…似合ってたけど…俺チョイスのでいいの?」



『……おまえチョイスだから良いんだよっ///』





え…///


なんか嬉しい…


俺チョイスの服、着てくれるんだ?


…これってなんか…お互いにコーディネートし合って、ほんとにデートみたいだな///





『…なにニヤけてんだ?』



「え?…いやっ///なんでもないっ!」





ヤバいヤバい。


こんな事でニヤけてたら、バレちゃうじゃないか。


俺の…恋心……





『……?……ぁ、じゃあ…お会計してくる〜…』



「あ、待って!それ、貸して?一緒に持ってく。」






俺が選んだ、大野さんの服も。


大野さんが選んでくれた俺の服と一緒にお会計。





『ちょ…待て!オレのは自分で払うし!』



「……今日付き合ってくれたお礼!」



『や、そういうわけには……』



「いいから!…払わせて?」






半ば強引に、服をプレゼント。


大野さんは、戸惑いながらも受け取ってくれた。






『……なんか…悪かったな?』



「全然!俺は嬉しい♪…大野さんにプレゼントできて♪」



『……買い物…付き合ってくれた奴には…こうやってお礼してんの?』



「え〜?まさかぁ!俺、そんなに気前よくないよ?」



『そうなん?……こういうのは…オレに…だけ?』






あっ…


マズイっ…


そんなこと言ったら、大野さんのこと、特別視してるってバレてしまうっ…

誤魔化さないとっ…




「あ〜…でも、たま〜に…ある、かな…」



『ぁ……そっか。そぉだよな…』






あっぶねぇ…


…気付いてない…よね…


俺の想いには。


絶対に気付かれちゃいけないんだから……










こんな感じで進めてまいります。
お互いに、好き、と自覚はしているけど…
イロイロな事情から押し殺してるっていう…
なんとももどかしい設定です(笑)

んで。
お家に行く、の場面はまた別のお話で。