前記事の『いつでもオレは!』から派生しました。
スピンオフです。
“ちっちゃくなってポケットに入っててよ”
の潤くんのセリフから。
ポケット智のご要望をいただいたので♡
挑戦してみました♪
短編の予定ですが…展開によっては長くなるかも…^^;












「ごめん、ちょっと長引いた。時間大丈夫?」



[大丈夫です。想定内ですから。…シートベルト締めました?出発しますよ〜]



「お願いします!」





療養期間が終わり、今日から活動再開…


…の前に。


どうしても、会っておきたかった。


1ヶ月も会えてなかったから…


だから…


顔見て、抱きしめて、貴方の温もりを…


感じたかったから…



マネージャーに懇願して、現場へ向かう前に貴方のマンションへ寄ってもらった。



おかげで…喝も入れてもらえて、元気出た。


また頑張れる。


けど欲を言えば…


まだまだ一緒に居たかった…






[そんなに混んでないですね。空港まで30分くらいで着くと思います。…少しお休みになりますか?]



「んー…台本読みしよっかな。」





…のつもりだったのに…





[……さん!……松本さ〜ん!着きましたよぉ!]



「……ん……着いた…?」





すっかり眠ってしまっていた…




『……大丈夫?まだ本調子じゃない?』


「ぃや……大丈夫だけど…急になに?]



[え?]



「いや、思いっきりタメ語じゃん…べつにいいんだけどさ…」



[え?……松本さん起こしてからは何も…言ってませんけど…]



「いやいやいや……今、大丈夫?本調子じゃない?って訊いたでしょ?」





この車には俺とあなたしかいないんだから。




[訊いてないですよぉ!]



「ウソだぁ!」



[ウソじゃないですって!!]



『んふふっ…それ、オレぇ♪オレが言ったのぉ♪』




は?…え?


この声…


この口調…


え?……でも…どこにもいない…


…俺の幻聴??





[──…っ!?ま、松本さんっ!か、肩っ…肩にっ…]



「は?肩が何っ!?」




マネージャーが
すごい顔して俺の肩を指差してる…


首を捩って、肩を見る…





「ぅおぉっ…なんか動いてるっ…む、虫!?」





ピッと飛ばしてしまえっ!


デコピンするみたいに、中指で弾こうとしたら…




『ま、待てっ…飛ばすなっ…絶対痛いやつじゃん!!……オレだってばぁ!!』


「虫が喋ったぁ!?……え…でもこの声やっぱり…」





肩にいる何かを、じっくり見ようと思って。


恐る恐るそれに手を伸ばす。


…手のひらが擽ったい…


乗ったんだな?


ゆっくりと目の前まで移動させる…




「……ウソだろ…」




俺は、目を疑った。

何度目を擦っても、見えるものは変わらない…





『やっほ〜♪』




手のひらの真ん中で、胡座をかいて…

呑気に手を振ってるのは…

紛れもない、俺の恋人…





「……大野さん…だよね?」



『おぅ♪』




…大野さんなんだけど…

身長縮み過ぎじゃない!?

10cmもないよねっ!?




「…え…何?どうなってんの?…なんでちっちゃいの?…てか、どうやってここに?」



『んははっ…分から〜ん♪』



「分からんって……そんな呑気な…」



『だって分かんないんだもん。さっき潤を見送ってぇ、ホッとしてソファにダイブしてぇ…そしたら眠くなっちゃってぇ…んで目が覚めたらここにいた!』



「…マジか……え〜…これ現実??どうなってんの…人間がちっちゃくなるって……ありえないんだけど…」



『そう深く考えんなって!ちっちゃくなってポケットに入っててよ、って言ったの潤だろ?』



「言った…たしかに言った。…え…まさか…俺の念力でそうなっちゃったの?」



『ぅおぉ…すげぇ!潤、念力使えんの!?』



「……なワケないでしょ…すごいって言うなら、ちっちゃくなった大野さんのほうでしょ…」



『ほえぇ!オレ、すげぇの!?』



「………。」



[…ぁの…とりあえず…飛行機の時間…迫ってるんで…]



「そしてなんでキミは冷静なのっ!?]




目の前にちっちゃくなった大野さんがいるっていうのに!




『潤、飛行機飛行機〜♪行こう!乗ろう!』



「大野さんも行くの!?」



『もちっ!そのためにちっちゃくなったんだぞ!いつでも一緒にいられるように!』




…やっぱ俺の…せい??




「…と、とりあえず、ポケットに隠れてて?不用意に出てきちゃダメだよ?…見つかったらえらい騒ぎになっちゃう…」



『らじゃ〜♪んじゃ、ちょいとお邪魔しま〜す♪』




ジャケットの左胸のポケットに。

スルスルと入り込んで…

ひょこっと顔だけ覗かせた…




『ふふっ♪いい眺め〜♪』




うわ…カワイイ…///

…じゃなくてっ…




「コラ。顔出しちゃ見つかっちゃうでしょ…ちゃんと隠れてて。」



『…ちぇっ……出ても良くなったら教えてな?』



「ん。…じゃ、行くよ?」



『おぅ♪♪』





まるでドラマのような出来事…

なのに冷静に対応してる俺…

だって…

ミニチュアになっても大野さんは大野さん…

俺の大好きな人…愛しい人。

その人が、ずっと側にいるんだもん…


夢なら覚めないで、って強く願った…