☆S☆








【姉ちゃん!
ちょっと聞きたいことがあんだけど…】



【なに?】



【潤くんがさ、職場まで送り迎えしてくれるんだけどさ、それって、オレ甘えすぎ?】



【別にいいんじゃない?
傲慢にならなければ。】



【傲慢??】



【それが当たり前、って思っちゃダメってこと!】



【なるほど!】



【お礼の気持ちは絶対伝えなきゃよ?】



【うん!…あとさ…】



【なによ…】



【恋人に仕事の愚痴を言うって…アリ?】



【愚痴かぁ…人によるかもね。】



【そっかぁ…】



【…松本くん、
愚痴を聞かせたら嫌がったの?】



【ううん、まだ…愚痴っていいのかどうか分かんなくて…】



【何事も経験よ?やってみてダメなら次からは止めればいいし…】



【…うん…】



【愚痴、聞いてもらったあとのお礼は、忘れちゃダメよ?】



【うん!】



【あ、誕生日、ちゃんと教えた?】



【まだ〜…言うタイミングが分かんねぇ】



【いつでもいいのよ!実はさ、って。ついでにプレゼントもねだっちゃいなさい♪】



【ん〜…】



【誕生日過ぎたあとに知らされるの、へこむからね?なんならちょっと怒りさえ沸きあがるからね?】



【そんなに!?】



【そっ!だから早めにね!】



【はぁい】



【今日はそれだけ?】



【うん】



【またなんかあったらいつでも聞いて♪可愛い弟に恋の指南をしてあげる♪】



【あんがと…じゃあね〜!】






『…ふぅ。』



「LINE、お姉さんから?」



『ぅん……実家に残してきた荷物…どうすんのか、って…相談…』



「そっか。
…手伝うことあったら言ってね?」



『ぅん…ありがと…』





ヤバい…咄嗟に誤魔化しちゃった…


だって言えないじゃん…


あんなこと、わざわざ姉ちゃんに聞くようなことでもないんだろうけど…恋愛に不慣れなオレは、何もかもが未知すぎて…


変なことして、潤くんに嫌われたくねぇもん…


だから…
姉ちゃんに聞いてみようと思って…


車に乗り込んでからずっと…姉ちゃんとLINEしてた。





「…よし!着いたよ〜♪」



『あ…ありがとっ……ぁれ?潤くんち?』



「ん〜…ちょっと荷物、降ろしたくて。」



『荷物?』




ふと、後部座席を覗くと、なにやら買った物がたくさん…




『けっこう買ってるね〜…』



「…ん。それと…明日の準備もしたくて…」



『…明日の?そっか、明日から新しいとこだったよね。』



「うん……そう…明日から…名古屋…行くんだ…」



『……へ?……名古屋?…に行くの??』



「うん。」



『…ずっと!?』



「ううん、違うよ…とりあえず、上がろ?詳しいことは部屋に入ってから。」



『あ…ぅん…』






名古屋に行くって…

さっそく出張??


…すごいな…期待されてるんだろうな…



潤くんの荷物を半分手伝って。

最上階の潤くんの部屋へ…





『お邪魔しや〜す……』



「は〜い♪…あ、荷物はベッドんとこに適当に置いといて?」



『ほ〜い…
…ぁ、もう荷造りは終わってるんだ?』



「ほぼね。で、足りない物を買ってきてたってわけ。」



『ほぉ…』





広げられたスーツケースの横にそっと荷物を置いた。




「ありがと♪
…さてと。…お腹は?空いてる?」



『ぁ……ぅん……』



「ん♪じゃ、先にご飯にしよう♪」





そう言って、手際よく準備を始めた。


昼間、少し時間が空いた時に下拵えしてたんだって。


お米もタイマーでセットしてあって…


あと15分で炊きあがるみたい。


その間に、下拵えしてたお肉を焼いて。


もう1つのコンロでスープも作ってる。


なんか動きに無駄がない…




『…すげぇ…///』





思わず漏れた心の声…





「ん〜?何が〜??」



『ぁ…ぃや…なんか…かっこいいなぁ…と思って///』



「ぇえ///?どこがよ…///」



『だってなんか……シェフみたい…手馴れてるし…オレもそのうち、それくらい出来るようになんのかなぁ…』





一人暮らし始めたばっかだし…

ごはん作んのも、まだぎこちないし…




「すぐなるよ!自炊しよう、って思ってる時点で、上達する見込みはあると思うな♪あとは数こなしていけばさ!」



『んふふ…そっかぁ♪…今はカレーしか作れないけど…早く上達して、美味しいごはん、潤くんにも食べてほしいなぁ♪…あ、ねぇ、オレもなんか手伝う!』



「…ふふっ///…んじゃあ…お肉乗せるお皿、出してくれる?」



『ほ〜い♪』




食器棚からお皿を出して…




「…あと、スープ用のお皿も…」




追加の注文!




『うん!…って…スープ用?どれだろ…?』



「そうだな…ちょっと深めの……これにしよう♪」





オレの後ろに立って手を伸ばし、上の段からお皿を取った…


…左手はオレの肩に乗せられてて…


…あ///


これってなにげに……バックハグ…///


超近ぇっ///





「…ん?…なに?」




下から潤くんを見つめる…
…いつ見ても…下から見ても…
イケメ〜ン…///




『ぃやっ……なんもっ///』



「ふふっ……」




…と微笑んだ潤くん…

離れ際、ちゅっ…とおでこにキスされたぁ///




『……っ///』


「さぁ、出来たよ!食べよっ♪」




ほんとっ…

何をするにもスマートなんだからっ…///