ここからは2年前の回想シーンになります♪
☆Ｊ☆
「ありがとうございました〜！」
深々と頭を下げ、お客様をお見送りする。
新生活に胸を弾ませやって来るお客様…
その新生活に、絶対欠かすことのできない、
“住まい”を、一緒に探し、提供するのが俺の仕事。
大手ではない不動産屋だけど、地域密着型の店として、地元に馴染んでるお店だ。
ここに就職してまだ2年だけど、
お客様とのふれあいも楽しいし、
やりがいは十分感じてる。
でもここは…不動産屋のスタッフ、っていうのは俺の夢のための架け橋でしかないんだ。
ここで働いてれば、無条件に、たっくさんの物件を目にすることが出来る。
内装の雰囲気とか外観とか…
単身者、カップル、ファミリー…それぞれの年代で求められてる間取りや設備…
そういうのを勉強するにはもってこいの職種だと思ってる。
そして、たくさん知識を詰め込んで…
いつかは、建築家として独り立ちするんだ！
［松本さん！…あのぉ…］
「はい？］
［今日15時から内覧のご予約頂いてた羽山様なんですけど…］
「あぁ！羽山様！…がどうかされました？」
［あの…他でもう、お部屋を決めたから、とキャンセルの申し出がありました…］
「…そうですか……分かりました、ありがとうございます！」
新居との出会いなんて、まさにタイミング。
少しでも早く見つけたいから、他の店も回って当然。そこで直感的に出会う部屋もあるだろう。
羽山様がご納得されたのであれば、
それでいい。
ふぅ……
だけど、手が空いてしまったな。
この後内覧に行く予定だったから…
新しいお客様がみえられるまで書類の整理でもしておくか。
\\…•*¨*•.¸¸♬︎//
…っと思った矢先！
さっそく新しいお客様のご来店だ♪
おっ♪
学生さんかな？
「いらっしゃいませ！」
とびっきりの営業スマイルでお出迎えする。
『…ぁ……ぁの…部屋を…探しに……』
でしょうねww
ここはそのための店なんだから！
「こちらへどうぞ！お掛けになってお待ちください！」
カウンター席に案内すると、ぺこりと頭を下げてイスに座った。
え〜っと…
お客様情報を記入するカードと駅周辺の地図と…
あ、ドリンクメニュー！
これらを持ってお客様の向かい側に座った。
「お待たせいたしました。私、松本と申します。よろしくお願いいたします！」
名刺を差し出し、挨拶する。
『…ぁ…はぃ…よろしくお願いします……』
おずおずと手を伸ばし、受け取ろうとしてくれた。
…あ…
顔に似合わず…男らしい綺麗な手だな…
『……あ、あの？』
しまった///
なに見とれてんだ…
お互いに、名刺を掴んだまま…
「あっ///…すみませんっ……」
慌てて手を引っ込めた俺……
仕事っ…
仕事しなきゃっ……
「ぇっと…あ、まずはですね、こちらのカードにお客様の情報を記入していただきたいのですが…」
『…ぁ、はぃ…』
カードとボールペンをお渡しして…
せっせと書き始めてくれた。
「……。」
……なんか…見とれてしまう…
ただ字を書いてるだけなのに…
…綺麗な指先だなぁ……
おまけに字も綺麗…
チラッ…
ちょっとだけ、顔も盗み見…
うわぁ…まつ毛長ぁ……
ふふっ…なんか口、とんがってる…
…可愛い子だなぁ……
………。
……え？
…俺…今、なんて…？
俺…なんか…変……
すっげぇドキドキしてる…
『……ぁ…書けまし……た……///』
「…！！…あ///…はいっ！ありがとうございますっ！」
やべぇ…
顔…盗み見してたのバレたかな…
思いっきり目が合っちまった…///
「ぁ…では、次にですね、探されてるお部屋の希望などを教えていただけたらと思いますので、すみませんが、今度はこちらの用紙に…ご記入をお願いいたします。」
『…は〜い……』
「それと…ご来店のお客様へサービスさせてもらっておりまして……お飲み物、なにがよろしいです？」
ドリンクメニューをお見せして、と。
『え？……っと…じゃあ……ぁ〜……冷たいココア…お願いします///』
「かしこまりました！アイスココアですね♪少々お待ちくださいね？」
『…はい…///』
アイスココアかぁ///
チョイスが可愛いっ……
…ていうか…なんかあの子…
可愛い、の塊じゃね？
雰囲気も喋り方も…
なんか…可愛い、が似合う…気がする…
はっ…
男の子に可愛いとか…
俺…やっぱなんか…変かもっ……
