Autumn festival  4













路地裏に引きずり込むのはグッと堪えて…





「……にぃんとこは?なにやんの?」





話題を、智のクラスへと変えた。





『オレんとこはぁ…カフェ?』




「カフェ?…ふつうの?」




『んにゃ…なんか、前に流行った…アレ…ご主人様〜とか言うやつの。』




「…メイドカフェ?」




『そー!それ!!

それのな?男女逆バージョン?』




「……ん?逆?」




『だからぁ、男子がメイドやんの。女の子の格好して。んで、女子が裏でパフェとか作んの。』




「ふ〜ん…男のメイドなんて…誰得なん?」




『わっかんねぇけど……結構人気らしいよ?毎年どっかのクラスがやってんだって。』




「へぇ………え…てことは、にぃもメイドやんの?」




『…だね?』




「…行く。……絶っっ対行く!…んで俺の専属メイドになって。」




『はぁ?んな無茶ゆうなよぉ…』




「…だって……」






絶対可愛いに決まってる。


…女装した智。


もしかしたら本物の女子より可愛くなるんじゃねぇの?



そんな智に…ご主人様〜♪とか言われたらっ…



…恋に堕ちるヤツら増えること間違いなし。



それは絶対阻止っっ!!






『ふふっ♪専属は無理かもしんないけど〜…そのまんまの格好で回る?…オレがメイドで潤が吸血鬼♪絶対誰だか分かんないから…デートできるぞ?』





…俺…吸血鬼、やること決定なのかww



…でも…ぅん。そのデートは楽しそうだ…



しょうがねぇな。



吸血鬼になってやるか。



…ってさっき決めたんだった。



智にカッコイイって思われたいから、する、って。



…どこまでも単純なヤツだ…俺って…







『さぁてと!晩メシは何にしよっかなぁ♪

潤は何食べたい?』






いつの間にかスーパーに到着…


智と歩いてると、

この距離も苦になんねぇな。





「え〜…あ〜…なんでも…いい。」




『……それが一番困るっ!…あ、じゃあさ、オレの食べたいもん、当ててみて〜♪』




「…は?……え、急に?…んなの分かるわけねぇじゃん…」





俺の食べたいもんじゃなくて、智の食べたいもんを作るわけね。



…いいけど…ほんと、分かんないって。





「…ヒントないの?」




『ん〜…最初の文字は〜…た!!』




「たぁ?

た、で始まるメニューっつったら…」




『うんうん♪』




「………た…まご焼き?」




『ブッブー♪』





…なんか楽しんでるなww





「え〜…じゃあ……たこ焼きっ!」




『ブッブー♪たこ焼きは晩メシになるかぁ?なんかおやつ感覚だもんな♪』




「たこ焼きじゃねぇの!?……え〜…ほかに何があるっけ……」




『あるじゃん♪まだまだ!』





卵とタコしか思い浮かばねぇ…


え〜……


た、た、た……

ターメリック!は香辛料だし…



あっ!





「タコスっ!!」




『ぅおっ…惜しいっ!!』





タコスが惜しい??


これに近いやつ……って…


え〜…何〜?


わっかんねぇよぉ……





「……分かんないって…教えてよ、答え!」




『しょうがねぇなぁ♪

……正解はぁ……タコでしたぁ♪♪』




「……………………は?」




『だから、タコっ!タコの酢の物食いてぇ!キュウリとワカメ入れてぇ…サッパリと!……なっ!』




「……ちょっと待て…にぃ…」




『んぁ?どしたぁ?タコはヤダ?』




「違くてっ!……タコが正解ならたこ焼きのほうが惜しいだろ!?…タコスなんてかけ離れてんじゃん!!」




『…だって、タコ・ス、じゃん。近い!』




「………発音の問題かよ……っとに……んなの、分かるわけねぇじゃん……」





智の頭ん中はどうなってんだよ…


ほんと…面白ぇ…


飽きねぇなぁ♪





食材をテキパキ選んで、カゴに入れて。



今日のメニューは…


タコの酢の物と肉じゃが。


あと味噌汁も作るらしい。



…楽しみだな。



智の作るメシは、なんでも美味いから。





会計を済ませてエコバッグに詰めていく。


智がその荷物を肩に掛けようとしたところで…





「…かして?持つよ。」




『いいよぉ…こんくらい…』




「いいから♪…晩メシは作ってもらうからさ俺は荷物持ちになるよ。」




『…ぅん…あんがと///

…なんか彼氏みてぇだな///





ポソッと言った言葉を聞き逃さなかった。


耳元で、



…みたい、じゃなくて、そう、でしょ…?



って囁くと、




『…ぅん///』





って、また顔赤くして…


クッ……こんなとこで…


そんな顔すんなよぉ…


さっき抑えた衝動がまた…///



クソっ///



早く帰るぞっ!








スーパーを出ると、

外気の暑さにクラっとした…





『あっちぃなぁ……』




「そだね。」




『…こんな日は〜…早く帰って、クーラー効いた部屋でアイスを食おう♪』




「お♪いいねぇ♪」






でも俺は…アイスより智を……///


なんて…ナニ考えてんだっ///






『だろ♪……よし!家まで競走だっ!』




「え?……ちょっ……待って!ズルい!!」




『…負けたら……勝ったの方の言うことなんでも聞くんだぞ〜♪』





俺が手ぶらの智に勝てるわけねぇじゃん!





『ほら〜早く〜♪』





振り返って俺を呼んだ智の顔が、また少し赤らんでいることに気付く。




…もしかして、智も…同じこと…考えてる?
















応募はこちらのコメント欄へ!