*いちごの妄想話*









「・・・智!もうちょいこっち!!」



肩を抱き寄せ、俺の体に密着させて。
できるだけ姿を見せないように。・・・ってもう手遅れかもしんねぇけど。



『わぁ!?・・・潤くん?』


「智、、、俺から離れんじゃねぇぞ?」


『うん?・・・ボクは潤くんと離れるつもりはないよ?』


「あ、いや、そういう意味じゃなくて・・・
今日はこっちから帰ろう!」




このまま真っ直ぐ智んちのマンションに帰ったら、奴らに家がバレちまう。いや、もう知ってるかもしんねぇけど、、、でも、なんとかあの車を撒かないと・・・

車では入ってこれない、少し狭い道を選んで帰ることにした。




『・・・潤くん?・・・どうしたの?』


「・・・どうもしないよ。・・・ただ、このまま真っ直ぐ帰ったら、あっという間に智とバイバイしなきゃじゃん?・・・少しでも長く、一緒にいたいんだよ。」



智に悟られるわけにはいかない。
怖い思い、させるわけにはいかない。
だから、上手いこと言って、誤魔化した。


『んふふっ♪・・・そっかぁ♪』


「・・・なんだよ?」


『ん〜?なんでもな〜い!嬉しいだけ〜♪』



なんだよ〜・・・
そんなにニコニコすんなよぉ・・・
俺の気も知らないで・・・って、言ってないからしょうがないか・・・

そんなんだから、狙われるんだぞ?
ふにゃふにゃの笑顔を容易く見せるから、いろんな奴が堕ちて、、、自分のものにしようと、付け狙われるんだぞ?

分かってんのか?
・・・分かってねぇよなぁ。



表通りから一本入った裏通りは、住宅街。

狭い道を通ってきたから、
あの車、撒いたかな。

振り返ってみても、それらしき姿はないみたいだし。とりあえず、一安心?


肩を抱いてた腕を腰まで下ろしたら、
智が急に駆け出した・・・



『・・・公園!けっこうおっきいね!!
・・・でも、暗いね・・・』


「ほんとだ。こんな所にあったんだな。通り一つ違うだけで、知らない街みたいだな。」




公園の入口で立ち止まった智の横に、立つ。

案内板を見てみると、公園を通っても、智んとこのマンションまで行けるみたいだ。



「・・・中、通っていく?」


『で、でも、、、もう暗いし、、、』


「なんだ、怖いのか?」


『ちっ、、、違うもん!!』


「ふははっ!!ビビりだなぁ!智は♪・・・ほらっ!手っ!!繋いでたら平気だろ?」


『う、うん・・・///』



右手を差し出すと、掌を無視して、腕に思いっきり絡みついてきた・・・ぎゅっと、ぎゅうっと力強く・・・


「・・・さ、さすがに、人はいねぇな。」


『・・・うん、、、』


「そんなに怖がんなって!!何も出やしないからっ!!」



公園に入ると、口数も減って、頻りにキョロキョロして。・・・智はすんごい怖がりらしい。


普通に公園歩いてるだけなのに、肝試しでもやってる気分だよ・・・


明日からは、無し、だな。ここ通るのは。




『・・・潤く〜ん、、、離れないでよ?
・・・そばにいてよ?』


「離れないよ。ずっとそばにいるから。」


『潤く〜ん・・・やっぱり公園は、
明るい時に来たい〜・・・』


「・・・そうだね。
次は明るい時に来ようか。」




ここまで怖がるなんて思わなかったな。

もう少し行けば、公園の出口。
あと少しだけ、ガマンして・・・