*いちごの妄想話です〜*









〈・・・智様!?〉


『あ、、、影山さん・・・』


〈お帰りになる時間になってもお戻りになられないから心配しておりました・・・〉



智のマンションのエレベーターから、飛び出すように降りてきたその人は、銀縁メガネにスーツ姿で、いかにもインテリです、って感じの人で。


・・・ん?・・・あれ?
今、、、智、様って、言わなかったか!?

・・・様ぁ!?

様を付けられるほどの人物なわけ!?



『・・・ごめんなさい。』


〈・・・遅くなるのであれば、せめてご連絡を・・・私も何度か電話を入れさせていただいたのですが、、、〉


『あっ、、、ごめんなさい。・・・マナーモードにしたまんまでした・・・』


〈ご親友に送っていただいたのですね?〉


『・・・親友、じゃ、ない、です。』


〈・・・?では、どういったご関係の?〉


『・・・付き合ってるんです。』


へへっ♪
改めて言われると照れるな♪

・・・なんてデレてたら。

その、影山サンて人が、俺に向き直って。
深く、ひとつため息をついて、お辞儀した。



〈・・・ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。私、智様の世話係を仰せつかっております、影山と申します。〉


「え?あっ、初めまして!
俺、松本っていいます!!」


〈・・・松本様、、、智様を送り届けていただき、ありがとうございました。〉


「い、いえっ!当然のことです!恋人なんですからっ!!」


〈恋、人、、、でございますか。・・・失礼ながら松本様。・・・貴方様は、何が目的で智様にお近づきになられたのですか?〉


『影山さんっ!?』


「は?目的ってなんすか?俺は智のことが好きなだけですけど。」


〈左様でございますか・・・しかしながら、そのお言葉、容易には信用致しかねます。・・・どうせ大野家の金目当てで、、、〉


『影山さんっ!失礼だよ、その言い方!!』


〈し、しかし、智様!
・・・今まで同様、、、〉


『潤くんは!・・・知らないから!ボクがどこの誰なのか・・・だから、そんな心配は無用です!!』



え〜・・・っと?なに?

影山サンは、俺が智んちの金目当てで、
智に近づいたと思ってんの?

え?・・・ていうかさ。
智の家って、、、そんな凄い家なわけ?



「あ、あのさ、智、、、」


〈さぁ、智様!会長へのご報告の時間でございます。・・・早くお部屋の方へ、、、〉


『・・・あ、はい、、、』


ちょっとぉ!俺が聞いてんのに!!
話、遮るんじゃないよっ!
そして、さり気なくエレベーターに誘導してんじゃないよっ!!



『あ、あの、影山さん、、、3分だけ待ってください・・・』



エレベーターに乗る寸前で
智が立ち止まった。



「・・・智!!」


『潤くん、ごめんね、詳しい話は明日、、、今日はもう時間切れになっちゃった・・・』


「智、お前一体何者なんだ?」


『・・・潤くん、また、明日、ね。』


「智、、、」


『明日もお店、寄ってね?』


「・・・あぁ。」


『・・・もう1回、ぎゅって、してくれる?』


「ふっ、、、あぁ。・・・おいで?』


〈智様!・・・お時間でございます。〉



あ〜もぉ、くそっ!!
影山サン、空気読んでよ〜・・・

智がそっと近づいて、
俺の胸におでこをくっつけた。


『送ってくれてありがと。・・・チョコ、大事に食べるね。』


「・・・俺も。」



腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。


〈・・・コホンっ!〉


わざとらしく、咳払いする影山サン・・・

・・・分かったよ。今日はもう帰るよ。


「じゃあな、智。また、明日!」


『・・・ん。おやすみなさい!』


名残惜しげに、体を離した。
エレベーターに乗り込むまで、智を見送る。


もう少し、温もりを感じていたかった。

そう思ったのは、
変な胸騒ぎがしたから・・・

もう智には触れられないような、
そんな予感がしたんだ・・・