「おっつかれ〜♪」


「おっはよ〜!どしたの?
松潤、なんかご機嫌〜!」


 楽屋にはまだ相葉さんしか来ていない。 


「ん?そぉかな?気のせいだよ。」


気のせい、じゃないけどね♪
だって、もうすぐ大野さんと会えるから。
機嫌も良くなるって♪♪ 

たった半日離れてただけなのに、
顔が見たくて、、、声が聴きたくて。
あ〜・・・重症だな、俺。 


 ・・・カチャ



「おはよ〜・・・」



来た来た〜♪

相変わらず、眠そう。
今朝、早かったもんね・・・ 



「おはよっ!リーダー!!」 



すかさず声をかける、俺。 
一番に俺を見てほしいから。



 「はよ。まつじゅん。」



あれ?そっけない・・・それに、目も合わせてくんない・・・・・・気のせい、か? 


いつものように、ソファに沈み込む。 

まだニノが来てないから、空いてる隣りに座ってもいいかな。
もちろん、振り付けを確認する、っていう体でね。



「リーダー!来て早々で悪いんだけどさ、
ちょっとココの振り付け、見てくんない?」



開いたノートパソコンを持って、大野さんの横に座った。



「ん〜?どれぇ?」



俺の策略通り、画面を観るためにくっついてくれた。でもパソコンはまだ立ち上がってなくて。
黒い画面に付箋が一枚貼ってあるだけ。



「・・・ど、どれ?」


「こーれっ!!」 



困惑してる大野さんに、
付箋を指さして、見せる。


 ───今日も終わったら俺ん家来る? 


俺らの関係はまだみんなには言ってないから大っぴらに、会う約束とかできないし。 
こういうやり方、俺は結構気に入ってて。

なのに、走り書きした付箋を目にして、大野さんの動きが止まった・・・ 



「あ〜・・・これね、、、ここはねぇ、、、言っても伝わんないかもだから、ちょっとやって見せるよ。・・・リハ室行こっか。」



あれ?振り付けの相談が続いてる? 
ていうか、、、付箋の答えなら、頷くだけで良くない?・・・今日はダメってこと? 

パソコンをとじて、ソファから立ち上がる。



「あれ?リーダーたちどこ行くの?」 


「ん?ちょっとリハ室!
振り付けのことでね!」 



相葉さんに軽く説明して、楽屋を出て行く。



「変更箇所出てきたら真っ先に教えてね?」 



相葉さん、練習熱心だからね。 
でも、大丈夫。本当は振り付けの確認じゃないから。って心の中でツッコミながら、大野さんの後をついて行く。

リハ室に入るなり、すぐに大野さんが口を開いた。



 「・・・ごめんな?」



なんのことだろう? 
謝られるようなこと、なにもないけど? 
今日は行けないってことに、かな? 


「今日はダメ?・・・朝早かったからね、終わったら自分ちでゆっくりしたいよね。」



「・・・」 


「・・・あ、じゃあ、明日は?大丈夫?」



なんか、俺、必死だ・・・ 



「ごめん、明日も・・・ていうか、しばらくはまつじゅんち、行けない。」 



「え?・・・そしたら、俺が大野さんち、行ってもいい?」



「や、、、それも、ダメだ。」 



なんで?なんかワケでもあんの?
急にどうしたの? 



「じゃあ、いつならいいの?」 


「・・・それは、、、えっと、、、」 



返事を濁す大野さんが、
ふと、あの夢と重なった・・・



 ───まつじゅんとはもう付き合えない。



「・・・まさか、他の奴と会うの?」 


「・・・違う、けど、、、」 




じゃあ何で?って、聞けなかった。
・・・駄々こねて嫌われたくない。
聞き分けの良い奴になりさがろう・・・



「・・・分かったよ。しばらく、だろ?行けるようになったら、連絡ちょうだいよ?」



「・・・うん。」 



「じゃあさ、しばらく二人で会えないんだから、今のうちいっぱい充電させてよ。」



 何がなんでもあんたに触れたいんだよ。少しくらい、いいだろう?



「・・・じゅう、でん?」



首を傾げてるあんたをキツく抱きしめ、
そのまま唇を重ねた。



「っ・・・ちょっ、ダ、メ・・・ん・・・」 



ダメ、とか言いつつ、しっかり俺のシャツ握りしめてるし。顔、赤らんでるし。そういうとこ、やっぱり可愛いし。 


なんかワケがあるんでしょ。ちゃんと待ってるからさ、これくらい許してよね。
そんで、ちゃんとそのワケ、教えてよ? 


それから俺は、おあずけを食らってる犬みたいに、ずっと“待て”を守ってる。 

会いたいとか、家に来てとか、言わない。 

合間をみて二人っきりになるとか、しない。



そんな日が2週間も続いたんだ・・・