どうしても見たかったのに
野暮用で上演時間を逃しまくり
迷った末に電車に乗って最終上映に。


ウェス・アンダーソン監督
『ムーンライズ・キングダム』


周囲から疎まれて暮らしている
12歳の少年少女が駆け落ちする
他愛もない話なのですが


絶妙なキャスティング。
キャストののびやかな演技。
細部まで愛しくて愛しくて
中盤から涙ぐんでしまった。

主演の2人の子役の
いまいち噛み合ってない感は圧巻だし
なんてったってエドワード・ノートンを
でくの坊に使うってのが素晴らしい。


昨今の日本映画は
エロか荒んでるかばっかりで
刺激ばかりを求める傾向がある。

それに引き換え
こういう映画を輩出できる時点で
アメリカって国は好きじゃないけど
人間という概念が守られているというか
精神面で先を行っているんだなと感じる。
きっと私の中で今最もホットな(悪い意味で)
夫婦別性問題のような非人間的なことが起こり得ない。

ダメさも含めて
とにかくすべてをひっくるめて
生きていくことを肯定するような文化は
わが国ではいつまでたってもマイナーの域を出ない。

負を抱きかかえてもなお
生きていくのも悪くないと思える。
それこそが今一番大事なのに。


この国は遅れている。
自覚しなければいけない。


とにかくウツウツと過ごしていたのが
寛容であたたかい気持ちに変われた。
まるで人としての位が上がったかのように。


予告編を貼っつけるのもアレなんで。
ウェス・アンダーソン監督スペシャル映像版。