moon PREMIUM EDITIONの特典のひとつ、
ムーンボイスシアターCD「The Child of Happiness」についてレビューします。
【公式サイトからの紹介文】
この一枚でmoonの世界を始まりから終わりまで一気に味わうことが出来るプレミアムCD、空想上の舞台空間「The Child of Happiness」。moonには「FAKE」と「REAL」という二つの視点がある。そして本作では、さらにその裏側にある三つ目の視点「あの少年」から見た物語を音で表現。ムーンワールドのキャラクター達のボイスと本作のために特別にアレンジしたBGMで構成。音楽担当はセロニアス・モンキース。
これを違法アップロードする輩はさすがにいないと思いましたが、いました。ラヴのないヤツめ……
1.開演 0:58
劇場の喧騒から始まります。
それから弦楽器のチューニングやドラムの練習。
楽団が準備をしている雰囲気が出ていて、これがコンサートもしくは舞台演劇であることを表現しています。本編が始まる前に、枠組みを作る。The Beatlesの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』と同じ構造ですね。
開演を告げるブザーが鳴り、客席も静かになります。
2.第一幕 滝壺の年 9:24
「あの少年」から見た物語であり、透明な主人公がムーンワールドにやってくる前、いわばエピソード0です。
ラジオをチューニングするノイズに続き、「月の光」が流れます。おばあちゃんの家です。
あくびをする孫。おばあちゃんの声と、孫の会話。孫の笑い声。飼い犬タオの声も聞こえます。
孫の声は新録で、聞いたことのないセリフをたくさんしゃべります。ただしゲーム本編同様、何を言っているのかはわかりません。
ゲーム中に主人公がクッキーのおつかいをたのまれるのと同様に、孫もおつかいをたのまれます。「はい」「いいえ」の選択肢を選んだ効果音が鳴ります。ドアの開閉音。
小鳥の声。スライムのはねる音。タオの声。女性キャラ(フローラ?)と会話。ガセと会話。
0:53から、楽曲「flower waltz」が流れ始め、本格的に町の中です。
2:00から、flower waltzのメロディーに、町の人たちの声が歌のようにかぶります。ワンダやフローラやキュリオやベイカーやガセが、次々にボーカルを取る感じです。町の平和な様子を表現しています。
ここはけっこう好き嫌いが分かれそうです。ちょっとやりすぎというか、クサい感じがします。特に、お猿さんのように跳ねる孫の声が、ね。
3:10にflower waltzが終わります。聴いたことのない終わり方です。
虫の声・フクロウの声が聞こえ始め、夜になります。そこへ町の人たちが口々に話す喧騒が。
ゲームをスタートする際のきらめく音がします。
イビリーの声に続き、静寂のなか、大臣が演説を開始します。そこへ不穏な音楽(「勇気は死ぬまで斗う~勇者は孤独」に似た新録曲)が流れ始めます。
ゲーム本編では描かれることのなかった「白羽の矢儀」が開始されます。
きりきりと弓を引き絞る音。矢の放たれるコミカルな音。刺さる音、孫のうめき声が!タオが吠えます。大臣の放った白羽の矢が孫に刺さり、孫は勇者役に選ばれてしまったのです。
(余談ですが、この矢は名前を入力する際のカーソルだという説があります。だとすれば、プレイヤーが偶然にも孫と同じ名前を入力してしまった、そのために孫に白羽の矢が立ってしまった、と言えるでしょう。なんだかごめんなさいね)
ガサゴソという衣擦れの音と、イビリーの掛け声でお城の跳ね橋が上がる音。孫を引きずって城に連れてくる場面です。遠くで聞こえるタオの吠える声が悲痛です。
金属の音と、孫の悲鳴、うめき声。王家に伝わる鎧をむりやり着せられる場面です。ここで「勇気は死ぬまで斗う~勇者は孤独」のアレンジバージョンが流れます。うらさみしいギターで始まり、中盤は本編同様のオーケストレーションで荘厳に盛り上がります。この曲はイカれた勇者の不穏なテーマ曲で、少し怖い感じのする曲です。しかし、むりやり勇者に仕立てられる孫の姿を想像すると、聴こえ方が違ってきます。悲劇的すぎて涙を禁じえません。
曲の後半では、勇者が鎧をガチャガチャ言わせながら拝謁しに来ます。ピアノの伴奏に合わせてガチャガチャ言うのが悲しいです。竜の城を目指すよう大臣が命じ、王さまがそれを復唱します。勇者の去っていく音がして、冒険の始まりとなります。
曲の最後で孫の泣く声・苦しむ声が聞こえるのがまた、悲痛です。完全に正気を失ったわけではなかったのでしょうか。
教会の鐘の音とともに、第一幕はここで終わります。
幕間には劇場の環境音が聞こえます。
3.第二幕 酒場の客 6:20
小鳥の声からスタート。
町の人たちが興奮した感じで話し合っていますが、鎧の鳴る音が響くとすぐにみんな黙ります。
ここはゲーム本編で主人公が空から落ちてきた、中庭の場面ですね。
孫が明るい声であいさつしますが、それに応える者は誰もいません。孫の声は誰にも聞こえなくなっているのです。
鎧が去ると町の人たちは会話を再開し、「ハーブ花エレジー」に似たギター曲が流れ始めます。
無視されたことに傷ついたのか、孫は泣き出します。そこに、うなり声をあげる「くるったいぬ」が現れます。タオですね。孫は泣きながら剣を振り始めます。タオはびっくりし、逃げ始めます。それを鎧が追います。ていうかこれ、ほんと悲惨ですね。こんなことが許されていいのでしょうか。わたしにかめはめ波を出す力があれば、迷うことなく大臣にお見舞いしてるとこです。まだちょっと出せないので、ちょっと修行して、今月中には。
「FLOWER TRILOGY ~ ハープ花エレジー」のアレンジバージョンが流れ始めます。鎧は町の中を歩き、町の人(フローラとガセ。キュリオとベイカー)に孫はあいさつをしますが、誰もあいさつを返してくれません。孫は泣き出し、しずかに鼻をすすります。
虫の声・フクロウの声が聞こえ始め、夜になります。遠くで「MOON TRIPS」が聞こえます。ガセの声。
ドアベルがカランと鳴り、鎧はワンダの店に入り、「MOON TRIPS」がはっきり聞こえるようになります。ワンダが口早に何かを言いますが、鎧は頓着せず、例の下着どろぼうイベントをおっぱじめます。「MOON TRIPS」からシームレスに戦闘のようなBGMに切り替わります(この曲、聴いた記憶があるのですが、どこで使われていたのかちょっと思い出せません……)。
おそらく「おやめ下さい勇者さま!」の岡本信人ばりにタンスをあさり始めたのでしょう、ガサゴソ言う音、ワンダのあわてた声、ドタバタを表現するマリンバの音が重なります。
アイテムをゲットするときの音が3回流れます。「でんせつのかぶと」「でんせつのよろい」「でんせつのくつ」を手に入れました。アイテム獲得時に、孫が「え?」「え?え?えー?」と言っているのは、自分でも何をやっているのか理解に苦しんでいるということでしょう。ワンダもドン引きです。
鎧が歩き、ドアベルがカコンと鳴ります。店の外に出ました。
直後、何かに当たって孫はうめき、「え?」と言います。透明の主人公とぶつかったけど、何に当たったのかわからなかったシーンですね。
鎧の音が遠くに去っていきます。再び虫の声・フクロウの声が聞こえ始め、遠くで「MOON TRIPS」が流れます。
場面は変わり、小鳥の声が聞こえます。夜が明けました。「勇者の旅立ち」のリコーダーバージョンが流れます。FAKE MOONのフィールド画面で流れるBGMです。
キラドーの鳴き声と、スライムの飛び跳ねる音がし、何か(剣?)を振り回す音がします。エンカウントの効果音とともに、戦闘BGM「斗いの咆哮」が始まります。こちらもリコーダーバージョンになっていて、あんまり緊迫感がありません。かわいいです。
戦闘が始まってもしばらくは何事もありませんが、突如「カーミ・ナリビッカー」の音が!らちがあかないので、せいなるちからをはつどうすることにしたのでしょう。
スライムのいきのねをとめても特にファンファーレなどはなく、再び「勇者の旅立ち」のリコーダーバージョンが流れ始めます。鎧の歩く音に続き、岩を破壊する音、孫のあえぎ苦しむ声が聞こえます。
その後ガサガサ言ってるのは、きっとパンティー・ブラジャー・ストッキングを装備しているのでしょう。
そして、レインボーマシンのスイッチをひとつずつ押す音、虹がかかるときのハープの効果音、「おまえ精通したのか」と心配になるくらい恍惚とした孫の声が聞こえます。
その後、謎の「ゥフワァあ」というセクシーな声と、孫の「え?」が聞こえます。この謎の声は、よくわかりません。透明な主人公が勇者の痴態を見て照れたのかな。
第二幕はここで終わります。
透明な主人公がムーンワールドにやってきた瞬間から、レインボーマシンを作動させるまでが演じられました。
4.第三幕 古代の魚 10:11
個人的に、この第三幕は一番好きでした。とにかく濃い!
小鳥の鳴く声、鎧の歩く音から始まります。
エンカウントの効果音とともに、戦闘BGM「斗いの咆哮」が始まりますが、今度はリコーダーバージョンではありません。
ハズカシ岩が動く声がし、その声があわてふためきます。下着をかぶった勇者に面喰い、さすがに動いちまったのでしょう。
セミ丸の鳴く声、ニッカとポッカの声、バーンのギターソロ!なんという濃さ!
バーンはギターを隠してから勇者に話しかけますが、孫はハッキリ「No!」と言ってるように聞こえます。
「斗いの咆哮」からメドレーで「アダー・エレクトロ」へ。アダーの修行です。
孫は最初は「え?」を連発して戸惑っていますが、「いったれ!」にしか聞こえない掛け声のおかげか、次のターンでは「イェーイ!」とノリノリです。
レスポンスに合わせて剣を振る音が聞こえます。非常に物騒です。これでシト・ビシャスが殺された感じなんでしょうか。
タコ星人のUFO飛行音が聞こえ、「アダー・エレクトロ」は流れるようにホーンテッドハウスのBGM「ホーンテッドハウス ~ ブーデ・タナカの一生」へ。打ちこみドラム入りのアップテンポバージョンです。
ここから勇者は、ホーンテッドハウスのアニマルたちを次々にぶっ殺します。
──どんちゃんのジャンプする音。ニジデスの笛。ニジデスが現れるときのチンチンチンというベル。柱時計のボーンとなる音。おとだま(あの、時計に追い込むミニゲームの、オタマジャクシみたいなヤツ)の跳ねる音。おとだまが時計に入る音。
これ、アニマルたちを片っ端からぶっ殺しているはずですよね。孫のはしゃぐ笑い声がずっと聞こえていて、ちょっと怖いです。
なぜかポッカの声が聞こえ、このセクションは終わります。ハズカシ岩から始まり、ものすごい濃密な時間でした。
2:16から唐突に場面は変わり、「departure」が流れます。ヨシダといっしょにバリバリ島に行くときのBGMです。
孫の声、アニマルとおぼしき声(誰のだろう?)、勇者の戦う音、たいファイターの飛行音が聞こえます。──この、たいファイターの飛行音、個人的には1番ハッとさせられる場面です。「よくぞその音を!よくぞこのタイミングで!」と、いつも不思議な感動を覚えます。
たいファイターに加え、小鳥の声が聞こえてくるので、「ヨシダ観光よろしく勇者も空を飛んでいるのかな」と思ってしまいます。しかし、ガマカツの「カンパチ」や風車庵のおじいちゃんの怒鳴り声、玉屋平吉の声が聞こえてくるので、地上での出来事であることがわかります。
よっぽど注意深く聞かないと気が付かないと思いますが、小鳥の声が聞こえてくる2:37あたりで、ナッキくん(山猫軒前の、こもれびロードで超高速移動するアニマル)の飛ぶ音がします。
右に左にアニマルを切って回る勇者。花火を打ち上げる平吉。「あぁ~」という孫の声がして墜落音がするので、勇者も平吉の家に落ちたのですね。意外な事実です。歌子の声、トオルの泣き声が聞こえます。
このあとどうやって勇者が外に出たのかは不明ですが、すぐに鎧の音・剣を振る音がするので、元気いっぱいアニマルを殺しまくっているにちがいありません。
アメリカンファミリー(ママス・パパス・ダイア)の声がし、しばらくしたあと剣を抜く音がします。ペロゴンをぶっ殺そうとする場面です。孫が悲痛な叫び声を上げ、背後ではぬいぐるみの燃える音もかすかに聞こえます。ペロゴンのうなり声でこのセクションは終わります。
4:18からは、ホーンテッドハウスに行くタイミングと前後しますが、キノコの森です。
カクンテ人の声、フローレンスの声、キノコをかじる音とゲップ(?)、車のクラクションやテレビのノイズ、テープの巻き戻し音が聞こえます。キノコの森が現実世界とつながっている描写ですね。
4:56からは「勇気は死ぬまで斗う ~ 勇者、最後の戦い」のアレンジバージョンが流れます。うなり声がし、トットテルリとの戦闘になります。ゆがんだギターはまるでデスボイスのようです(実際、ヴォーカルも重ねられている感じがします)。勇者が魔法を使いまくる効果音と、トットテルリの咆哮が何度も聞こえ、カクンテ人の声のあとで4度の断末魔。音楽が止まり、トットテルリの魂は散り散りになっていきます。トロピカルフィールドの骨魚がコロコロいう音がします。
フローレンスの遠い呼びかけに対し、孫はラリったような、エコーの効いた笑い声を発し続けます。どういう意味だ。こえーよ。キノコを食わされたということかな?
7:40からは山猫軒です。鍋の煮立つ音。クリスとケンジの会話のあとで、猫の鳴き声の特徴的なドアの音。ドアが開いて勇者の入店です。
ケンジが二言三言同じことを言ったあと、勇者が剣を抜き、振り回します、孫が笑います。
ここでフローレンスが入ってきて何か言います。ドアが開いた様子はないので、ワープしてきたのかな。ケンジが答え、まな板で何かを切り、鍋に入れて煮ます。クリスが運んできた料理をバリボリ噛み、飲み込む勇者。ワープするような音がします。
8:57から「Tears of Machine」のギターアレンジが流れます。勇者が酔いつぶれた様子を表現しているのかも知れません。
第三幕はここで終わります。いやー、濃かった。たいファイター。
5.第四幕 最後の時 10:37
宇宙です。
孫は伸びをしながら気持ち良さそうに目覚めます。が、そこは見知らぬ宇宙船の中だったので、「ここはどこ?」という感じにあわてます。前述した「Tears of Machine」のギターアレンジは、酔いつぶれた様子を表現していただけでなく、宇宙船内へのワープをも表現していたのかも知れません。
花の種となって宇宙空間をただようフローレンスが、咲いては枯れ、咲いては枯れ、次々に何か言います。孫が1度だけあきらかに「えっ。おじさん?」と言っててちょっと笑います。
閉じ込められたんだとパニックになった孫──もしくは勇者は、壁を剣で突き破ります。宇宙船の外壁に穴が開き、酸素が逃げて行ってしまいます。しかし、船体にくっついてたカクンテ人がその穴をふさぎ、主人公たちは無事に航行を続けられました。危機を脱した希望から、明るい曲である「departure」が流れます。ここはゲーム本編と同じ流れです。
1:58から「moon TRILOGY ~ ALL WE NEED IS LOVE」が流れ始めます。
タコ星人が「WELCOME TO THE MOON」の文字をぶら下げて主人公を歓迎しますが、このCDでは新録された女性の声で「Welcome to the Moon」を繰り返します。
新録ボイスの「Welcome to the Moon」を除けば、3:15まで音声や効果音はなく、曲をじっくり聴かせてくれます。いやあ、いい曲ですよね。プレイ時は、月にようやく到着した喜びとあいまって、本当に震えるような感動を覚えたものです。
3:15にジェット音が聞こえ、ロケットは粘土の月面にぶちゅりと突き刺さります。月に到着しました。
宇宙船のハッチが開くと、主人公がソウルを救ったアニマルたちの声が無数に聞こえてきます。ヨシダが出てきて月の住人の皆様にあいさつを始めます。
ふたたびハッチの開く音がして、中から勇者が飛び出します。不穏な「勇気は死ぬまで斗う ~ 勇者、最後の戦い」が、徐々に音量を増していきます。
孫の「エイッ」という掛け声とともに、勇者は目にも止まらぬ速度でみだれうちをし、次々にアニマルたちを斬殺していきます。
「やめてくれ!こいつらを助けるために、俺がどれだけ苦労したと思ってんだ!特に一つ目ぞう!あいつ大変だった!おねがいだ、やめてくれー!!」
プレイヤーの多大な苦労を一瞬で水の泡にする、情け容赦ない殺戮。これは本当に胸のしめつけられるつらいシーンでした。
しかし、しかしですよ。孫が、「エイッ」って、言ってるんですよ!そして、勇者がアニマルたちを斬り捨てまくる際、孫が気味の悪い高笑いをしてるんですよ!
そして孫は、憑りつかれたようにボソボソと呪文をつぶやき、究極魔法オメテを連発します。高笑いは止まりません。主人公がFAKE MOONの終盤でやったような、すべてを蹂躙するオーバーキル。勇者の狂気が成せる業だと思っていましたが、孫も殺戮を楽しんでいます。正常な意識を失っているんだと思ってたのに、自分のやってることを自覚していながら、笑っている。これはショックでしたね……。
主人公がFAKE MOONで「きゅうきょくまほうをつかってみようっと」と、あたかも「晩ご飯はカレーにしようっと」というくらいの気安さでオメテを撃ちまくったのは、許されざる暴虐だったのだとまざまざと感じさせられます。
5:16から「勇気は死ぬまで斗う ~ 勇者、最後の戦い」が冒頭から演奏し直され、勇者が最大レベルで竜の間にやってきます。
女王とドラゴンが会話を交わします。
曲の盛り上がりと同期してヨシダが斬られ、奇盤と化します。ムツジローが斬られ、奇盤と化します。女王とドラゴンは連続攻撃を受け、最後の会話を残し、奇盤と化します。
そして、勇者が透明の主人公を斬る!と同時に、孫の「うわぁ」という声が。
何かが砕ける音がし、突然、お母さんの「こら!テレビゲームなんてやめて、早く寝なさい」の声が。
主人公は現実世界に戻ってきます。
ゲームのノイズ音と、「Yes or No」と問う女性の声が、交互に聞こえます。
主人公、あるいは孫は、「No」とはっきり宣言します。
小鳥の声が聞こえ始め、7:03から「moon TRILOGY ~ ALL WE NEED IS LOVE」のアレンジバージョンが流れます。女性ヴォーカルのハーモニーにより、教会音楽のような荘厳さがあります。
孫、あるいは主人公は、達観したかのように語り始めます。何をしゃべっているのかは意味不明なんですが、なんかうれしそうです。声がかぶることがあるので、孫と主人公の対話なのかも知れません。
その後、満足そうな大きなためいきのあと、扉を開ける音が。たくさんの小鳥が鳴き始めます。
奇盤が消滅します。曲が完奏します。ゲームのエンディングと同じですね。
9:20、「月の光」が流れ始めます。
おばあちゃんの座ったロッキングチェアが、きいきい言う音。
ドアが開く音がし、元気な声で孫が帰ってきます!タオが吠えます。
孫とおばあちゃんが会話を始めます。タオが時折吠えます。
孫は勇者の呪いから解放され、おばあちゃんの家に帰ってこられたのです。
「月の光」が、最後の音をリフレインさせながら終わります。
第四幕はここで終わります。
6.終演 2:41
観客席から拍手が巻き起こり、「KERA - MA - GO」のジャズアレンジのピアノ演奏をバックに、出演者たちが舞台あいさつをします。
おばあちゃんの紹介に導かれ、一人ずつあいさつをしていきます。
ちょっと誰が誰だかわからないところもあるんですが、もしかしたらこんな順番なんじゃないでしょうか。
フローレンス・ケンジ・クリス。
大臣・シュタインヘイガー・王様。
玉屋平吉・歌子・トオル。
フローラ・ワンダ・ヨシダ。
ガセ・キュリオ・ベイカー・フレッド・イビリー・アダー。
タオ。
勇者の足音が聞こえ、ひときわ大きな拍手。指笛も鳴りまくります。
孫があいさつをし、観客はスタンディングオベーション。
こうして、ムーンボイスシアターCD「The Child of Happiness」は幕を閉じます。
個人的な感想
いや~、めちゃめちゃ良かったです。
MDの曲は収録されていないので、「俺が聴きたかったのはこれじゃないんだよ!転売屋のせいでバカ高くて買えない、サントラのほうなんだよ!」という方もいたかも知れません。
しかしサウンドトラックは、CD5枚組BOXセット「EX-PO ’97 In memoriam the moondays」が別で発売されましたから、そちらのほうを聴けば良いと思います。
──当然ながら、「それも買えないんだよ!『サントラが買えないなら5枚組を買えばいいじゃない』って、てめーマリー・アントワネットか!」という声が聞こえてきそうですが、その件につきましては次の記事でどうにかします。
とにかくすごい密度と完成度でした。
「この一枚でmoonの世界を始まりから終わりまで一気に味わうことが出来る」という謳い文句は伊達ではありませんでしたし、前日譚である「白羽の矢儀」や、主人公が扉を開けたあと孫はどうなったかの後日譚も知ることができました。
勇者が訪れていないシュタインヘイガー研究所とメトロポリスはごっそり抜けていますが、勇者も花火屋に落ちていたという意外な事実とか、聴けば聴くほど興味深かったです。
ただ流し聞きしていると気がつけないような細かな小ネタも、今回じっくり文字起こしをすることで深く理解できました。
本当にすさまじい完成度でした。ありがとうございました。