オ イギリス
「イギリスでは何が有ったかの?。上陸して見る物もあったと思うが・・・」
「へえ。軍船は大きな港に着いで、レザノフ様を待つのだと凡そ七夜(一週間)停泊すますた。
その間にも燃料となる薪や食料等の買い付けが有った様で御座ます。
何すろ大きな荷物が殆ど毎日軍船に運び込まれでいますたがらね。
軍船も大っきければ乗っている人の数も半端でねゃ(ない)がら、後にも行く先々の港で薪も食料も水も用意すでいだのっしゃ(です)。
イギリスでも俺達は上陸すませんですた。太十(郎)は他の兵隊さん達と街中の見物に出がげでおります。
ロンドンの街はモスクワやぺテルブルグと同ず石造りだども、その壁は薄茶色(ベージュ)が多がった、家の入り口は三角屋根も四角い屋根もあったど言っていますた。
また、馬車も人も大きな通りや広場を忙すそうに走り回っていだど言ってますた。
太十(郎)は好奇心大ありで、銭子が無くても見るのはただだがんね、丈夫な足が有れば良いど言ってますた。
俺の感心すっ所だー」
質問を替えた。
「港かの?、地図。このイギリスと言う島の二か所に朱点があるのは何故か分るかの?
一つは次のアフリカも、カナリアという島々まで朱が延びても居ればまさに海路と知れるが、もう一つは?」
「分んねゃ(分らない)。
だども大砲騒ぎがあって、先にレザノフ様が四、五人の供連れでイギリスもロンドンと言う所に向かったと聞いでいだがらその着いた港でながんべが(ないでしょうか)。
(乗った)軍船は大砲騒ぎがあってもまだ一日海の上を走ったがんね(からね)」
「其方らの乗る軍船の着い港は何と言う?
「済ん(み)ません。覚えでねゃ(ない)。
太十(郎)だったら分がりもすたがもすんねゃ(したかもしれません)。
少すばがり横の文字も勉強すていだす(していたし)、上陸すたがんね(からね)」
吾が聞く前に津太夫の語るに同調した二人だ。うーん、太十郎がここに居たら、口が聞けたら・・・。
「港でレザノフ様の帰りを待って、軍船はそれがらアフリカ(環海異聞に阿弗利加の表記。以下、アフリカ)と言う所のカナリアという島々(環海異聞に加那里亜、伊斯把你亜領(スペイン領)の表記)に行ったのっしゃ(です)。