(サイカチ物語・第8章・遂志・25)
今年の三月、所沢から岩城先生の自宅に久しぶりに電話したときのことを思い出した。先に電話口に出たのは先生の奥様だった。お互いに、挨拶と近況の音沙汰を話した後、奥様が言った言葉だ。
「分らないものね。及川さんがお医者さんになって、お医者さんの息子の熊谷さんが歴史文学の分野に進むなんて。思ってもみなかった。主人の歴史好きが熊谷さんに迷惑掛けたんじゃないかって、主人と二人で心配してたの。でも大学職員として四月から助教としてスタートするんだものね。もう博士だもの。教授への道ね。
主人に寄越してくれたお手紙を私も拝見させて貰って、とても嬉しかった。結婚するんだもの二重の慶びよ。おまけにと言っちゃあ失礼ね。結婚式を田舎で挙げるなんて、謙虚で郷土思いの熊谷君だって、主人と喜んでいるわよ。頑張ってね。大して力にならないけどこれからも応援するね。応援させて下さい」。
そう言って先生と電話を替わった。いつも闊達で人を元気づける先生の奥様だ。私と梨花さんも先生御夫妻のように有りたい。私の中世史研究はまだ始まったばかりだ。隠された歴史の発掘は誰かがやらねばならないのだ。この仕事が私に課せられた宿命だ。誇りを持てる仕事だ。
四
今日午前十一時二十分頃、東北自動車道築館インター付近の上り線で大型ダンプカーと乗用車の衝突事故がありました。事故の原因はダンプカーを運転していた運転手の居眠り運転によるもので、追突された乗用車に乗っていた埼玉県所沢市の大学職員、熊谷準さん二十八歳は死亡し、ダンプカーを運転していた本吉郡南三陸町の山田健二、四十二歳は業務上過失傷害の疑いで逮捕されました。築館警察署は事故の原因を詳しく調べています。またこの事故の影響で東北自動車道上り線築館インター付近は、現在、片側通行になっています。
(了)
〔後書〕
小生の処女作、400字詰め原稿用紙1261枚の長編をお読みくださった皆様に感謝申し上げます。当初は1050枚の作品でしたが、ブログ投稿に当たり改めて加筆修正しております。小生の作品を当初から読み、ご意見、アドバイスをしてくれていながら、また作品の公表の背中を押してくれていながらこの一月に亡くなった友人に捧げるものでもあります。良くなったよと声をかけてくれるかな・・・。
サイカチ物語の舞台、岩手県一関市藤沢町で第四十六回・藤沢野焼き祭りが二〇二三年八月十二日(土)、十三日(日)に開催されます。併せて「高校生の熱陶甲子園・IN・FUJISAWA」が予定されております。関心のある方は是非に足をお運び下さい。
岡本太郎氏の「縄文の炎」の作品、船越保武氏の作品、そして信者殉教の地、大籠キリスト公園とその周辺も見学しいただければ幸いです。写真で幾つかをご紹介しますが、藤沢町の広報がインターネットで「縄文の炎」開催等をPRしております。












