(サイカチ物語・第一章・ルーツ・24)

 

「キーポイントになっている人物が平良(たいらの)(よしふみ)。こっちの吾妻鏡系図の一表を見てご覧」

同じバインダーから取り出した。平良文から千葉の上総(かずさ)下総(しもうさ)武蔵(むさしの)(くに)秩父(ちちぶ)で後々の千葉姓や畠山姓、豊島姓、葛西姓等が始まっている。(別掲、吾妻鏡系図(桓武平氏・良文)尊卑分脉(そんぴぶんみゃく)(脈)、本朝皇胤(ほんちょうこういん)(しょう)運録(うんろく)を基礎1~3)

「この三枚は吾妻鏡を口語訳にした貴志正造さん。今、及川君と熊谷君に貸してある吾妻鏡の訳者だけど、貴志先生がその巻末に整理しているものを私が罫線、ヒゲを付けて表にした物だ。あの吾妻鏡別巻には(より)(とも)北條(ほうじょう)時政(ときまさ)三浦(みうら)(よし)(ずみ)鎌倉景(かまくらかげ)(まさ)梶原景(かじわらかげ)(とき)和田(わだ)(よし)(もり)など鎌倉幕府草創期に関わった人達の系図が整理されている」。

「えっ、知らなかった。本は俺ん所にあるのにまだ見てないヤ」。

   及川君の言葉に、私は、別巻の系図を最初にざっと見ておいて本文を読んだ方が良い。対人関係のやりとりが理解し易い。鎌倉幕府を作った御家人同士が如何に平氏の大一族だったか、京の都から関東地方に下向して来て土着した同族だったか、血の繋がりが良く分ると言った。そして、頼朝の(みなもと)や、いずれ室町時代の足利将軍に繋がる新田(にった)、戦国武将の武田(たけだ)(しん)(げん)に繋がる武田の氏姓は清和(せいわ)天皇から始まり清和源氏の流れと言われている。その系図と皇室系図や藤原摂関家の系図も吾妻鏡の別巻に載っている、尊卑(そんぴ)分脈(ぶんみゃく)は南北朝時代から室町時代初め頃に作られたと伝わる日本初の系図集だ、と教えた。

「系図ってそんなに残されているんですか?」

及川君の質問だ