「うちの息子が言っていました。PCR検査が保険の適用になったのが今年の三月な

んですって。つまり、コロナが騒がれだした一、ニ、三月に保健所が必要と認めたコロナの疑いがある人しか検査を受けられないようにしたのは検査が保険の適用になっていなかったから、誰が検査経費を負担するのかが問題になったためなんですって。

 保健所が検査を制限したとかしないとかの騒ぎもありましたよね。騒ぎが大きくなって保険適用の対象になりましたけど、それでも何時でも何処でも誰でも検査が受けられるようになっていない、よその国が一日万単位で検査を実施しているのに日本はそれがない、可笑しいですよね。息子に言わせると検査が拡大しないのは保険財政が絡んでいるのだそうです。保険適用になって誰でもが検査を受けて一割、二割、三割の自己負担分を支払う。そうなっても残りの九割、八割、七割は国民健康保険財政、又は各会社等が入っている社会保険財政等から支出されるんですって。そうなると各保険の財政逼迫、破綻が起こりかねないんですって」。

 目の前のご婦人がそういうのに(おら)は驚いだ。

 「それなら保険適用の対象にす(し)ないで、特別法でも作って全国民に検査を実施す(し)た方が良えべ(良いでしょう)。下手な経済政策に回すだけの金で全国民(ぜんこぐみん)を対象に検査を実施す(し)て、陽性の人は陰性になるまで病院、施設、指定するホテルで隔離、療養す(し)てもらう。

 ワクチン開発が進んだら、あるいはコロナ騒ぎがかなりの確率で下火(すたび)になったところで改めで保険適用にすれば()え(良い)。今のままだどさっきも言ったけど検査も碌にす(し)ないで職を失った(ひど)どが(人とか)、休業などで収入が減った人どが、生計のために金が必要な人などが困んべ。小口(こぐず)の金を貸すだの補助するだの、地方(つほう)への移動制限だのど小手先の対策で何が国民(こぐみん)(いのづ)を守る、経済活動を守る、生活を守る何て言えんべ(言えるでしょう)。経済活動が如何(どう)のど言うげど(いのづ)あってのごどだべ。国のす(し)ているごどはやっぱす(り)本末転倒だべ。無駄な金の使い方をす(し)ているど(おら)は思う。す(し)かも俺達(おらだづ)が貰った特定給付金だって、旅館だの飲食業者等への補助金等だって、なんだかんだと言って使われる対策費は結局は国の借金だべ(でしょう)。今の若者(だづ)や子供(だづ)に将来に(わだ)って残る借金だ。今からでも遅くはねャ(ない)。何度も言うようだけど、さっさと検査体制を充実す(し)て何時(いづ)でも何処(どご)でも誰もが検査を受けられるようにす(し)た方が()え(良い)。そのために金を使った方が良えべ(良いでしょう)」。

 そこまで言うど畠山さんが冷えている缶ビールに手を出す(し)た。俺も由利さんも缶ビールを貰うごどにす(し)た。プシュっと音がす(し)た。畠山さんの側のご婦人(ふずん)が裂きイカの袋とピーナッツ袋を破り俺達(おらだづ)が手を出す(し)易いように広げだ。横のご婦人(ふずん)は丸テーブル側の方に座っていたご婦人(ふずん)に日本酒を手渡す(し)た。渡されたご婦人(ふずん)の目の前の缶は二個目も既に空いでいるらす(し)い。

 「検査が少ねャ(ない)のは、(おら)も何でだべ(だろう)ど思ってだ。息子さんが言っていだって話す(し)たけど、息子さんは何をすてん(してる)の?」。

(おら)が聞いだ。

 「埼玉県の大宮にある総合病院に勤めている医者なの、しかも感染症科」

 「なるほど、お医者さんが」。

 俺は納得す(し)た。畠山さんの側のご婦人(ふずん)だ。

 「今の政府は信じて良いのかしら」。

 「駄目駄目駄目、信用できない。コロナの話を聞いていてもそう思ったし、第一、何だっけ、加藤(・・)学園?どっかの県の獣医学部設置にかかる不正認可疑惑に、()()学園の国有地払い下げ疑惑、それに桜を見る会の公文書の隠蔽、法務省に責任をなすりつけた検事総長の人事の話、定年延長、どれもこれ今の総理大臣のの話は信用できるものではないでしょう」。