慌でで上がり湯を身体に掛けるどすぐに湯殿がら出だ。畠山さんが浴衣を身に着げで帯を腰に巻いでいる(どご)だった。由利さんはまだバスタオルを(こす)に巻いだまま洗面所の前で髭を剃っていだ。前だけ隠す(し)て裸のまま畠山さんの傍に立づど、(おら)の考えを言った。畠山さんは(すばら)(おら)の顔を見でいだげど、こうすっか(しようか)と言った。

 「旅館にアユの塩焼(すおや)ぎ、茶わん蒸す(し)、キュウリとワガメの酢のもの、皆が野菜不足になりがづ(ち)だがら適当な野菜サラダを頼んで、(あど)俺達(おらだづ)の持づ(ち)寄ったもので良いべ(良いでしょう)。漬物はあっぺ(有るでしょう)、ご飯と味噌汁(みそする)と煮す(し)めは皆の持って来た材料を出す(し)てもらっで(おら)貴方(あんだ)で土曜日の夕方に作っぺ。(作りましょう)煮す(し)めは大皿に盛るべ(盛りましょう)。ご飯も茶わん(めす)よりおにぎりにす(し)て大皿にでも用意す(し)た方が皆が食べたい時に手を出すべ(出すでしょう)。酒コにビール、ジュースの飲み物は皆が持づ(ち)寄る。刺身(さすみ)は自分(だづ)移動()販売車(るま)がら用足す。(なん)が、面白(おもすろ)ぐなってきたな。楽す(し)みだ」。

 畠山さんが自分(ずぶん)仕切(すぎ)る内容を言いながら自分(ずぶん)の言葉に酔っていだ。

 「(おら)刺身(さすみ)を買うお金を少す(し)出すべ(出しましょう)」。

(おら)が言うど、パジャマを着た由利さんが胸から上だげ見せで脱衣棚越す(し)に、なんぼが(幾らか)(おら)にも出させてけろ(下さい)と言う。

 「三人で一万円ずつ」。

(おら)が言うど、参加すんのはなんぼだ(何人だ)、と畠山さん。

 「七人。」

 「それに三万(円)では多すぎっぺ(多すぎるだろう)。最初から旅館に四千円の料理を頼むのど変わらねャぐなる(変わりない)。そん(れ)では金の出どごが分がったら後の皆が気が引けん(る)べ。三人が五千円ずつ、旅館に一人千円見当で作ってけろ(下さい)と言って、残りで刺身(さすみ)でも買うべ(買いましょう)」

畠山さんの考えだ。ちょっと沈黙す(し)た由利さんが、女房も参加させてけろ(下さい)と言う。俺も畠山さんもビックリす(し)た。思わず畠山さんと顔を見合わせだ。奥様を亡ぐす(し)て四、五年になるはずだと思った。由利さんが自分(ずぶん)から話す(し)た。

 「周りの勧めも有っでこの四月(すがづ)(はづ)めに結婚す(し)た」。

 畠山さんに報告するみだいに言う。由利さんの(はなす)(おら)自分(ずぶん)の脱衣籠を引き寄せで、着ながら聞ぐごどになった。臍から下をタオルのままでは格好が悪い。人数が八人になる。

 「一人、六千円ずつ出すべ(出しましょう)」。

畠山さんが決めだというふうに言った。脱衣室に湯気の立つ身体を見せた八重樫さんに、お先に、良い夢を見んべ(見て下さい)と畠山さんが声を投げだ。三人一緒に脱衣室を出るど、売店に寄って酒コを買って乾杯す(し)ようと言うごどになった。