「ほっとゆだ夜話」あらすじ

 東北の米作(こめづぐ)り農家の農閑期は田植えを終えだ六月と稲刈りを終えだ十月の後半以降だ。田植えを終えだばがりの6月に、(おら)は秋田の横手に抜ける北上線でほっとゆだ駅から湯川温泉奥の湯の高橋旅館に一週間投宿す(し)た。例年、夫婦揃っての湯治(とうず)休暇だが今年(こどす)は孫娘の結婚(すぎ)間近(まづか)(おら)の独り行となった。

 旅館には何時(いづ)もの顔ぶれが揃った。皆、あっちこっつ(ち)から来た米作(こめづぐ)り農家の仲間だ。その中でも川釣りに行ぐごどを約束す(し)ている畠山さんと何時(いづ)米作(こめづぐ)りに関す(し)てアドバイスをくれる佐々木先生が(おら)の特に尊敬する人だ。佐々木先生は小学校の先生を定年退職す(し)て親の後を継いで米作(こめづぐ)りを(はず)めだ。俺達(おらだづ)の中でも変わり種だけど、米作(こめづぐ)りの将来や世の中の動向等に一家言を持つ人だ。聞いでいで何時(いづ)も参考になる。

 投宿す(し)たその日の夜に(おら)の提案から先生ご夫妻の部屋で豚のしゃぶしゃぶ鍋をつっついだ。そこで聞かせていただいたのは技能実習生(じっすうせい)に掛かる法改正だった。政府は曖昧な言い(がだ)で胡麻化す(し)ていっ(る)けどそれは事実上移民政策の(はず)まりだど言う。農業等に五年間従事す(し)た外国人(がいこくずん)実習生(じっすうせい)更新(こうすん)す(し)て更に五年間働けるようになった。家族も呼び寄せるごどが出来るようになった。10年経づど永住権の申請資格が出来ん(るの)だど言う。この先、地方(つほう)の農家周辺に外国人(がいこくずん)が増える、10年先のその時になって人種差別になるようなごどがあってはなんねャ(ならない)、今から地域(ついき)で受け入れで行ぐ取り組み、準備が必要と言うごどだった。 

 翌日の夜の風呂上りに畠山さんと由利さんの三人で売店前のロビーでビールを飲んでいるど、前日、(おら)がほっとゆだ駅から旅館まで一緒になった埼玉県の行田()がら来たど言うご婦人方(ふずんがだ)三人と世間話(せけんばなす)をするごどになった。コロナ騒ぎに何故政府はPCR検査をす(し)ないのがど(はなす)コになった。まだ、コロナを罹患す(し)ても無症状の者、軽症者は自宅療養という対応は誰も理解出来ねャ(ない)、身の回りをコロナ患者が歩いでいる、政府のその対応で感染拡大を防止出来るはずなんてあり得ねャ(ない)どなった。

 中一日(いずにず)置いだ四日目の夜、親す(し)い仲間で先生の話コを聞ぐごどになった。畠山さんの希望だった。ん(そう)だけど、由利さんが再婚す(し)たと分がってその祝いを兼ねる場になった。先生は改めで外国人技能実習生の受け入れと政府のコロナ対策について(かだ)り、更に(おら)(はず)めで聞く生活都市についで思いを(かだ)った。(おら)はそうあった方が()え(良い)など思った。また由利さん夫婦のお祝いは仲間皆の協力と旅館の配慮で(おら)の考えでいだものよりズーっと()え(良い)ものになった。