海外駐在員にとって、一時帰国時の楽しみは、何と言っても食事である。ロンドンの食のレベルは上がってはいるものの、やはり日本と比べるとレベルはぜんぜん違う。日本ではそもそも何を食べても結構おいしいし、例えばコンビニの弁当であっても結構おいしいのだが、久しぶりに食べるとその「結構おいしい」というレベルは、「感動的においしい」というレベルに感じるのである。

ロンドンで「美味しい店」と思われる店のレベルは、日本では「普通の店」というような感じである。たとえば、牛丼チェーン店の味のレベルは、ロンドンで「美味しい店」と同じくらいのレベルであるように思われる。私の舌が正しければ・・。

さて、今回の一時帰国を振り返ってみて、いくつか美味しかったもののことを書いておこうと思う。

 

-          大阪谷九でひとりで食べた串カツ

大人数でワイワイ飲むのも良いのだが、一人で飲むのが最近楽しい。一人だと食べ物・飲み物に集中できるし、考え事をしながら飲んだり、本を読みながら飲んだり、なかなか充実した時間である。それに、誰に気を使うこともなく自分が好きなものを好きなように食べたり飲んだりできるので、至福の時間である。大阪の串カツ屋は、そういうのに最も適しているような気がする。値段も安くて美味しいし、一人で飲んだくれている人はちょくちょくいるので目立たない。場末の適当な串カツ屋に入っても、味のレベル的には、もはやロンドンの「美味しい店」を上回っているように思われる。

 

-          日本橋コレド室町テラスの博多ニューコマツ

東京で妻とふらっと入った博多料理屋。九州はなかなか行く機会がなく、博多にはじつはまだ行ったことがないのだが、モツ鍋やラーメンなど、博多料理は好きである。帰国後の早い段階だったので、日本の居酒屋に行けるのがそもそも嬉しく、味もすべて平均点以上で非常に良かった。ロンドンの食事のレベルに染まっているということもあるからか、もはやうまいとしか言えないレベルであった。

 

-          北新地のお好み焼き 尾道むらかみ

高校の同級生と行った、広島の尾道のお好み焼き屋。帰国後一週間以上経過していて、だいぶ舌も戻っていたはずだが、ここは特にうまかった。出汁がきいているのか、すべての料理が口の中に入れた瞬間から旨味を感じるようなイメージ。帰国中の飲み会は、いろいろ調べていずれの日も結構おいしい店を選んだつもりであった。しかしいざ久しぶりに古い友人に会うと、話すことに熱中するので、あまり料理がうまいと感じる暇はなかったのだが、この店だけは唯一皆食べながら旨い旨いと話しながら食べた。