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青年 

人生は競争ではない、と?


哲人  

ええ。誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいいのです。 




われわれは「同じではないけれど対等」なのです。




権力争いを挑まれたときには、ぜったいに乗ってはならないのです。




相手が闘いを挑んできたら、そしてそれが権力争いだと察知したら、いち早く争いから降りる。




怒りっぽい人は、気が短いのではなく、怒り以外の有用なコミュニケーションツールがあることを知らないのです。だからこそ、「ついカッとなって」などといった言葉が出てきてしまう。怒りを頼りにコミュニケーションしてしまう。




いくら自分が正しいと思えた場合であっても、それを理由に相手を非難しないようにしましょう。ここは多くの人が陥る、対人関係の罠です。




「わたしは正しいのだ」と確信した瞬間、すでに権力争いに足を踏み入れているのです。




哲人

そもそも主張の正しさは、勝ち負けとは関係ありません。あなたが正しいと思うのなら、他の人がどんな意見であれ、そこで完結するべき話です。ところが、多くの人は権力争いに突入し、他者を屈服させようとする。だからこそ、「自分の誤りを認めること」を、そのまま「負けを認めること」と考えてしまうわけです。


青年 

たしかに、その側面はあります。


哲人 

負けたくないとの一心から自らの誤りを認めようとせず、結果的に誤った道を選んでしまう。誤りを認めること、謝罪の言葉を述べること、権力争いから降りること、これらはいずれも「負け」ではありません。




われわれは競争や勝ち負けの眼鏡を外してこそ、自分を正し、自分を変えていくことができるのです。

岸見一郎・古賀史健

『嫌われる勇気』ダイヤモンド社 

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