害獣さんと私 | 野生農園日誌

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自然農法の農園「野生農園ザ☆ばん」の日々の記録
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3月も何とも慌ただしく過ぎ去っていきました。4月に入ったばかりだと思っていたのですが、またしても時空がゆがんで、もう12日になってしまいました。補佐の脳味噌も大分縮小してしまったのか、3月の記憶も忘却の彼方に消え去ろうとしていますが、思い出のかけらをかき集めて3月の報告です。

3月はなかなか寒かったです。
暖冬だったのに、立春過ぎてから冬が戻ってきました。この寒の戻りがいけなかったのでしょうか。
種取り用に残しておきたい大根は、例年だと土中に埋めて保存しておけば7~8割くらいは生き残っているのですが、今年は大蔵大根が全滅。
埋めた場所が浅すぎたのか、掘り出す時についた傷から腐ってしまったのか。もっと日照時間の長い別の場所に埋めておいた練馬大根の方は無事でした。畑に残ってた大蔵大根にもわずかながら無事なものがあったのですが・・・。

子供のころから害獣って言葉が嫌いでした。
獣の食い物や住処奪って、自分たちの家や畑や工場や遊び場にしておいて「害獣」呼ばわりはねえだろ!この害人が!って、自分のことを棚に上げて思ってました。
もちろん、自分が食うために他の命を犠牲にするのはこの世の理ですし、他の生き物だって、みんなそうやって他者の命を奪って生きてます。作物食われれば腹も立ちますが、自分を棚に上げてることを忘れて自分の行為を正当化し始めると、他者への害悪が大きくなりがちなので、なるべく害虫、害獣って言葉は使わないようにしたいものだと思ってます。
だけどビビ係長は畑の害獣扱いしたくなります。家族だからこそなのか。
家族って、いつも一緒にいる分遠慮がなくなったり、ありがたみを忘れてしまったり、嫌な面が目に付いたりしがちですね。
でも無邪気になんでもガリガリしてるビビを見ると、なんだか幸せな気持ちになります。
しかしこのビビ係長、トイレをなかなか覚えてくれなかったり、激しく要求吠えをしたり、野菜を食べる以外にも色々大変なことがあります。だけど激しく吠えさせてしまうのは、それだけ犬にストレスを与えているということなのかもしれません。
メキシコでは街の中でフリーな犬をたくさん見かけました。
野良なのか放し飼いなのか分かりませんが、昔インドで見たようなヤバめな雰囲気の犬は少なく、野良でも餌をもらって人に懐いているようでした。飼い犬もたくさん見かけたので、犬好きが多いお国柄なのかもしれません。
もちろんフリーの犬は、人に噛みつくことも、交通事故の犠牲になることもあるし、何かに驚いて逃げ出し、迷子になったりすることもあります。そして避妊をせずにフリーにしていると、野良犬がどんどん増えてしまいます。
人間も同じかもしれませんが、一匹ずつなら無害であっても、群れると気が大きくなって人畜を襲うこともあり、危険な存在になります。決してどこでもフリーにすることを推奨しているわけではないのですが、犬をよく見かける割には吠え声もうるさくなく、ノンストレスで幸せそうな犬が多いのを羨ましくも感じました。

メキシコついでに簡単にメキシコ旅の続きの報告でオアハカのことだけ。

オアハカはすっかり観光地化されて大分変わってしまったようですが、先住民比率が高く、先住民文化の色濃く根付いた街です。
華やかな伝統衣装を身にまとった女性の比率も高めです。
あちこちに壁画が描かれ、そこら中で楽隊が演奏を始め、アートの街でもあります。
市民はかつて非民主的な政府とも対立した人たちで、反権力の気骨もあるようです。
スターバックスは一件存在しているようですが、街のお店は殆どがグローバル企業ではなく地元のお店でした。
かつてマクドナルドがオアハカの街に出店しようとした時は、抗議運動が行われたそうです。
私の育った山口県宇部市では、10年くらい前にスタバを誘致する署名運動が行われたそうですが、そんな運動するエネルギーがあるなら、地元の喫茶店応援するか、自分が作るかしろよと思ったことを思い出しました。
と言いながら、私も子供の頃はたまに都会に出ると喜んでマクドナルド食ってましたが。

オアハカにはたくさんの民族がいて多くの言語がありました。
かつてこのあたりで都市文明を築いたサポテコ族はスペイン語だけでなく、今もスペイン侵略以前の彼らの言葉を使っています。
サポテコ文明の栄えたモンテ・アルバンを案内してくれたサポテコ族のガイドさんは、この文明では脳外科手術が行われていたんだと、施術後のある骸骨の写真を見せてくれました。

織物屋さんの少女はサポテコの文化に誇りを持って、しっかりとスペイン侵略前からの織物を受け継いでおり、観光客に何を聞かれても流暢に答えていました。

オアハカ州にあるイエルベイルアグア。山から湧き出た水が岩を溶かして作った絶景。

オアハカの広場に飾られてた伝説のボクサー、フリオ・セサール・チャベスさんの写真パネル

今回は行ってみたかったアグロフォレストリーの現場や、ラカンドンの密林に行き損ねたので、またいつかメキシコに来れることでしょう。

今年は色々忙しくてニンニクにもあまり氣を向けられなかったのですが、ニンニク虫は殆どいません。
少しは食われちゃったニンニクもありますが、元気に育っているものの比率が高めです。
長年畑を続けて微生物が増え、土がよくなってきたのか、あるいは虫のことを忘れていたのがよかったのか。
以前の4コマを再掲します。

 


そして3月末には「食べられる森づくり」も再開。
昨秋に始めた頃に比べると、風通しがよくなって大分心地の良い場所になってきました。

前回はここに初めての植樹!ポポーの木を植えました。
苗を植える場所には、枝を組んで土留めを作り、穴を掘って炭と落ち葉を入れておきます。
こうすることで空気と水の流れが生まれ、生き物たちが呼吸できるようになります。
炭は微生物の住処にもなり、植物の生育を助けてくれます。

これからも定期的に開催していく予定です。