「母の体を拭くのは、僕にやらせてもらえませんか?」 | 【変わらない短所が才能に変わる90秒の魔法】クライアントが自分で根本変容を遂げる実践心理学

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母は2014年に急死した。

 

動脈瘤破裂で即死だった。

 

葬儀の時感じたのは、

「これでは悲しむ暇がない」ということだった。

 

人の心と向き合う仕事をして20年の経験から、
感情をそのまま味わうと消化され糧になるが、

押し込めると後々まで知らないうちに引っ張られ、
自分では扱うことも難しくなると身にしみていた。

だから、遺族の一番大事な仕事は、
”その時にちゃんと悲しむこと”だと思っていた。

しかし、葬儀屋の進行に従っていると、
次から次へと事務的に進行していってしまう。

 

きっと遺族が悲しむ痛みを少なくしようと、

あえてそうしているんだろうと思ったが、 

 

これでは後々まで引きずることになると直感して、

思い切って葬儀屋に申し出た。

 

「母の体を拭くのは、僕にやらせてもらえませんか?」

 

驚いた様子ではあったが、快くやらせてくれた。

それを皮切りに、他の家族の一部も母の体を拭き出した。

 

僕はとても安心した。

こうやってちゃんと関わってこそ

本当に感情は消化され昇華すると思う。

 

しかし、油断していると、葬儀はまた事務的に進行する。

参列者への対応もあり、自分の気持ちを慈しむ暇がない。

 

そこでまた湧き上がる気持ちを尊重すべく

勇気を振り絞ることになった。

 

「母をしのんで歌を歌わせてもらえませんか?」

 

喪主である父、家族親族、その他関係者に許可を取って、

最後に棺を前にして歌を歌わせてもらった。

 

一人で人前で歌う、しかも葬儀でイレギュラーにアカペラで。

とても怖かったが、そうしないと後悔する気がした。

 

実はその日奇しくも、初めて人前で一人で歌うイベントに

チャレンジをしてきた日であった。

 

その時歌ったオフコースの「たしかなこと」という歌が、

なぜかこの状況で浮かんできて、母に捧げたくて仕方なかった。

 

歌い始めると思いもかけず涙がボロボロ溢れた。

 

僕もやはり押し込めている悲しみがあったんだなぁと実感した。

それにつられて、親族も しっかりと泣くことができたようだった。

 

歌ってみると、

歌詞は親が子に遺すメッセージのような感じがして

急死して話す暇もなかった母の気持ちを受け取れと

直感が知らせてくれたのかなと思った。

 

これを書いていて

また少し、残っていた悲しみがちゃんと出てきてくれた。

 

あなたも、今からでも泣いていい。

ちゃんと悲しむことがあなたの一番の仕事であり

供養になると思う。

 

もう、本当の気持ちを我慢するのをやめよう。

そして、人が本当の気持ちを味わう

余白を周りも与えてあげよう。

 

忙しくして忘れようと思っても

あなたの体は、心は忘れてないよ。

 

もう亡くなってる人には届かないから遅い?

そんなことはない。

 

その気持は、誰に一番わかってほしいか?

あなた自身だから。

 

あなたを通して亡くなった人にも届くと僕は思う。

 

そしてその涙の後に出てくる

あなたの本当の輝きは

今生きている周りの人すべてを輝かす。

 

世界のためにも、

ちゃんとあなたの本当の気持ちを

受け止め慈しんであげてほしい。