『STORMY NIGHT』

これはハートキャッチプリキュアと砂漠の使徒の決着から数年後。

 

ゆりは恋人・大神竜哉の部屋のベッドで一緒に裸で寝ていた。

 

朝になり、ゆりがベッドから起きて窓の外を見ると台風による

雨風で荒れていた。

 

「あら?酷い天気ね。」

 

「そう言えば今日は朝から台風で大荒れだとニュースで言ってたからな。夜まで止まないそうだ。どうする?今日も泊まっていくか?」

 

「えぇ、そうするわ。でもこんな雨を見ると思い出すな。氷室さんが「卒業する」って言ったツアーの最後。」

 

「あぁ、大雨と雷でアンコールの途中で中断したってやつか。あれは災難だったな。B'zの野外LIVEでもそういうのは結構あるぞ。DVDになってるLIVEでも雨の中のが多いしな。誰も雨には勝てないよ。」

 

「そうね。でも他にも思い出す事があるわ。あたしがダークプリキュアに負けて、コロンが死んで、キュアムーンライトになれなくなった日。あの時もすごい雨だった。まるでその時のあたしの心みたいに。」

 

「そうか。その頃、俺はアメリカに留学してたからな。薫子さんから後で電話で聞いたよ。本当、あの頃は災難だったな。」

 

「えぇ。あの頃、そんな心を開ける人は薫子さんしかいなかった。そしてそんな心を癒してくれたのは氷室さんの歌だった。」

 

「俺も悔しい思いや心に重みを感じる時はB'zの歌が癒してくれる。もうあれから何年も経つんだ。お前も大人になったもんだ。」

 

「あれからあたしも大学を出て、仕事に就いて、あなたと恋に落ちた。今のあたしにはあなたがいる。本当にありがとう。」

 

「なぁ、ゆり。親父が昔、言ってた。「台風が来ると天気は荒れるけど、それが過ぎると眩しくて良い天気が来る。それは人も同じだ。荒れた日々にもいつか陽が訪れる」ってな。お前もそれを乗り越えてここまで来たんだ。そんなお前を身近で見ていて俺も嬉しい。」

 

「竜ちゃん…。」

 

竜哉のその言葉に嬉し涙を流すゆり。

 

竜哉はそんな彼女に寄り添い、背中を抱いた。

 

「俺もお前と出会えた事を誇りに思える。お前は俺が生まれて初めて本気で愛した女だ。」

 

「あたしもあなたが本気で好きになった男よ。竜ちゃん、愛してるわ。」

 

「俺もだ。ゆり、結婚しよう。お前とならこの先の未来も明るく生きていける。我が大神家も安泰だ。」

 

「えぇ。あなたがいれば何も恐れるものはないわ。ありがとう、竜ちゃん…」

 

こうして台風が外で吹き荒れる中、愛の契りを交わすのだった。

「STORMY NIGHT」

Words by松井五郎

Music by氷室京介

Arranged by西平 彰,SP≒EED

 

BREAK UP 星屑を

嵐(かぜ)が盗んだ時刻

BREAK DOWN また誰か

二人を傷つけにくる

 

きりがない 氷の雨が

からみあう 吐息まで壊す

 

BREAK AWAY 孤独から

どこへ逃げればいいの

BREAK OUT 脱ぎすてた

服はなにを知っている

 

抱きしめることしか

答えのない夜

 

もうどこへも行かないで

このまま瞳閉じて

胸のメトロノームを

ひとつに止めてみたい

この胸にSTORMY NIGHT

 

BREAK UP ひびわれた

記憶 吹き込む涙

BREAK DOWN なぜいつも

愛は狙われている

 

ためいきに消えてく

いつか見たあの憧憬(ゆめ)

 

もうなにも追いかけずに

このまま瞳閉じて

なくしてきたものより

まぶしい夜明け 待とう

ふたりきりSTORMY NIGHT

 

~TATSUのコメント~

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1991年に出た3枚目のオリジナルアルバム『Higher Self』に収録の

このバラード。

ファンの間では隠れた名バラードとして愛され、バラードベストにも収録されたものの、LIVEで披露されたのは2004年の全国ツアーが初めて。

僕もそのツアーの大阪と京都公演に行って、そのバラードに深く酔い痴れたのが最高の思い出です♪

前にsilentblueさんからもリクエストされたのを思い出し、明日のFILM LIVEに先駆けてこの曲を使い、ゆりが愛の告白を受ける場面を描きました。

氷室さんはこういうラブバラードも実に美しい!

次の話でもそんなラブバラードを使った小説をアップします♪