『WISH』
新しい朝が来た。
そこは魔法も、魔法界もないナシマホウ界。
いや、日本の街と言って良いだろう。
朝日奈みらい。津成木第一中学3年生。
ベッドから目を覚まし、カーテンを開けると
綺麗な朝日が輝いていた。
隣のぬいぐるみ・モフルンに挨拶する。
「モフルン、おはよう。」
そう言ってその腹部のスイッチを押すと音声が鳴った。
「おはようモフ~!」
モフルンは大人気のくまのぬいぐるみ。
小さい頃からの愛用品だ。
支度をしてリビングに顔を出すみらい。
「おはよう!お父さん、お母さん、お祖母ちゃん!」
「あぁ、おはよう、みらい。」
元気に目を覚まし、朝食をとる。
父・大吉が言った。
「みらいも中学3年生か。来年は高校生だね。」
「うん。第1志望の公立高校に行けるよう頑張るから!」
「あぁ、その意気だ!」
丁度、その頃、朝日奈家のすぐ近くに住む十六夜家。
「おはよう!」
「もう遅いよ!リコ!」
「はーちゃんはいつも早起きね。」
十六夜リコ。津成木第一中学校3年生。
父・リアンは大学教授。
母・リリアは料理教室の講師。
姉・リズは大学生。
そして花海ことは。通称はーちゃん。
津成木第一中学校3年生。
その親戚で、十六夜家で居候している。
「行って来ます!」
朝食を終えるとリコとことははみらいを迎えに行った。
「みらい、リコちゃんとことはちゃんが迎えに来てるわよ!」
「すぐ行きま~す!」
母・今日子に呼ばれ、すぐに玄関へ向かうみらい。
「お待たせ!リコ、はーちゃん!」
「じゃあ、行こうか!」
「は~!今日も元気に行こう!」
3人は幼馴染の親友同士で、登下校はいつも
共にしている。
「行ってらっしゃい!」
そんな3人を見送る今日子。
そのすぐ後、大吉も仕事に向かおうとしていた。
「じゃあ、僕も行って来るよ。」
「あなたも最近、嬉しそうね。例の新入社員の子の事?」
「あぁ、この春から入社したアスカくん。
彼もお父さんの影響でBOOWYと布袋寅泰の大ファン
らしくて、その話でいつも盛り上がってるんだ。
良い後輩が出来て仕事も楽しいよ。」
「もう、あなたったら。」
「じゃあ、行って来る。」
「行ってらっしゃい。」
そう夫も見送る今日子。
「あら?今日子さん、ごきげんよう。」
そこにリリアもやって来た。
「あらリリアさん。こちらこそ。相変わらず綺麗ですね。」
「そんな。今日子さんこそいつもお綺麗で。
みらいちゃんに似てお元気なこと。」
「リコちゃんとことはちゃんもいつも元気ね。
いつも楽しそうでこっちも嬉しくなるわ。」
今日子とリリアは親同士としても、とても仲が良い。
そこにかの子が出掛けようとしていた。
「あら?かの子さん、お出掛け?」
リリアが訪ねた。
「えぇ、友人と日本武道館まで
エリック・クラプトンのコンサートを観にね。」
「そう言えば今日だったわね、クラプトンのコンサート。」
今日子がそう言った。
「かの子さん、クラプトンがお好きなんですね。
うちの主人も聴いてますよ。」
「そう?それなら嬉しいわ。クラプトンはわたしの青春そのものだから。
友人とお食事をしてからそのまま行くわ。」
「楽しんで来てね。」
「えぇ。」
そうして出掛けるかの子。
その途中、そのコンサートのチラシを見た。
その日のコンサートに演奏参加するベーシストと
キーボーディストは以前の“世界”で魔法学校の校長だった
チャールズとクシィだ。
学校に登校するみらい達。
「おはよう!みらい、リコ、はーちゃん!」
「おはよう!まゆみ、かな!」
長瀬まゆみと勝木かなが校門前で3人を出迎えた。
2人とも仲良しだ。
グラウンドでは大野壮太がサッカーの朝練に励んでいた。
そんな彼を見てみらいが言った。
「壮太くん!朝から精が出るね!」
「あぁ!中学最後の試合も近いからな!頑張って勝って、
最高の思い出にしたいぜ!」
日々、サッカーに励む壮太。
その腕前からサッカーの名門校から推薦も
届いている程だ。
その後、授業を受けるみらい達。
みらいとリコ、まゆみは同じクラス。
ことはとかなは別のクラスメイトだ。
でも食事の時などは5人揃って行う事も多い。
美術室の前を通ると1人の女子生徒が作品作りに励んでいた。
吉井ジュン。
みらい達の同級生で、美術部に所属している。
「よぉ!みらい、リコ!どうだ?あたいの新作!」
「へぇ、上手だね!」
「だろ?今度の美術コンテストに出すんだ!」
ここでも芸術家志望だ。
するとジュンのスマホが鳴った。
「もしも~し。あっ?兄貴?え!?嘘!
今度のイエモンのLIVEのチケット取れた!?
やりぃ!TATSU兄ぃと兄貴と3人で行けるんだ!
サンキュー!」
そう嬉しそうに電話を切るジュン。
「ジュン、すごく嬉しそうね。」
リコがそう言った。
「あぁ!イエモンだぜイエモン!イエモンは
あたいの憧れ!そのLIVEに行けるんだ!
あぁ~楽しみ!そうだ!その日の為に
メンバーの似顔絵を書いて持って行こうっと!」
そうますます張り切るジュンだった。
音楽室に行くとあるバンドが練習をしていた。
ギターとボーカルは清水ケイ。
キーボードは坂本エミリー。
2人もみらい達の同級生だ。
歌はケイが大好きなback numberの「青い春」。
その様子を見てみらい達は拍手した。
「ケイ、エミリー!上手上手!」
「みらい、リコ。ありがとう。今度の文化祭で
やるから見に来てね。」
「もちろんだよ!」
「ついでだしもう1曲、聴いて行って。
エミリー、よろしく!」
「うん!じゃあ、「君の好きなうた」。」
キーボードを奏でながら歌うエミリー。
彼女が大好きなUVERworldの歌だ。
ジュンもケイもエミリーもここではみらい達と
同じ学校に通う普通の女の子だ。
「皆さん、気を付けて帰るのですよ!」
校長が校門前で生徒達を見送る。
その校長は魔法学校の教頭だった女性だ。
下校時、近くの民家の前を通ると、その家の女性と顔を合わせた。
「あ!ロレッタさん!こんにちは!」
「あら?みらいさん達。学校の帰り?」
「ハイ!ロレッタさん、いつもお綺麗ですね!うちのお母さんも
よく言ってますよ。」
彼女の名は河村ロレッタ。
人気作家・河村龍一の妻で、ナンシー、ドロシー、シシーの
3人の娘を持つ母親。
みらいの家であるパワーストーン店の常連で、
リリアの料理教室にも通っている事から
朝日奈家と十六夜家とも仲が良く、美人である事から
近所でも街一番の美人と評判の存在である。
「そんな。みらいさん達もいつも元気ね。
また娘達とも遊んであげてね。あの子達も
皆が大好きだから。」
「ハイ!」
すると娘3人がロレッタ達の下に寄って来た。
「お母さん、お腹空いた~!」
「早くご飯作って~!」
「ハイハイ。待っててね。すぐ作るから。
じゃあ、みらいさん達、またね。」
「みらいお姉ちゃん達、またね~!」
そう挨拶して家の中へと入って行くロレッタ達だった。
皆、それぞれ以前とは違った自分として生きる世界。
魔法も無い普通の人としての生活。
これこそマザー・ラパーパが望んだ本当の世界だったのだ。
そしてそのマザー・ラパーパはここでは有名な占い師。
そのおまじないの呪文は「キュアップ・ラパパ!」
その呪文をみらい達はよく唱えている。
幸運を呼ぶおまじないだ。
それからその年の12月9日と10日。
ジュンは兄・ロビンとその友人のTATSUと
THE YELLOW MONKEYのLIVEを観る為に
東京ドームを訪れた。
プレゼントBOXにこの日の為に用意した
自作の品を届けた。
更にその月の23日と24日。
ロレッタは娘達をみらいの家に預け、
夫とさいたまスーパーアリーナを訪れた。
大好きなLUNA SEAのLIVEを観る為に…
「WISH」
Song byLUNA SEA
Written&Arranged byLUNA SEA
I wish for こんな夜には
I wish for 夢みて
I wish for 失くしたすべてに
I wish for 今も
溜め息が時を刻む 長い夜の途中
思い出すたび あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
永遠を欲しがっても 刹那を感じてる
BLUEな気持ち ちりばめた時の中
答えさえ無いままで
I wish for こんな夜には
I wish for 夢みて
I wish for 失くしたすべてに
I wish for 今も
一人きりの自分がいた 暗い迷路の中
自分の居場所さえも まだ分からずに
行き場所も分からずに
明日さえ怖がっていた 冷めた瞳のまま
だけど今は 擦り切れたこの夢を
抱きしめて
I wish for こんな夜には
I wish for 夢みて
I wish for 失くしたすべてに
I wish for 今も
溜め息が時を刻む 長い夜の途中
思い出すたび あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
永遠を欲しがっても 刹那を感じてる
BLUEな気持ち ちりばめた時の中
答えさえ知らず
明日さえ怖がっていた 冷めた瞳のまま
だけど今は 擦り切れたこの夢を
優しく抱きしめて
I wish for こんな夜には
I wish for 夢みて
I wish for 失くしたすべてに
I wish you 今も
La La La La…
La La La La…
La La La La…
La La La La…
キュアップ・ラパパ![]()
12月9日と10日も…
12月23日と24日も…
いい日になあれ![]()
![]()
~Fin~




